女は磨かないで女でいられるわけじゃない


第1の結婚からセカンドインパクト(夫の逮捕)まで私は自分に金を全くかけていなかった。子どもが産まれたら多かれ少なかれそうなるし、私だってなにもデパコス揃えたい♡とか思っていたわけではない。
人並みに日焼け止め、化粧下地、コンシーラー、ファンデーションで顔面を整え、安くていいからアイシャドウをし、涙袋を作りまつげをあげてマスカラしたかった。シェーディングとハイライトもしたい。鼻低いから。
でも別にね、本当に高いものが欲しいわけじゃなかった。キャンメイクでよかった。セザンヌでよかった。そりゃジルスチュアートが好きなのでもらえたら嬉しいけどそれは贅沢というものだ。

結婚当時1本、1000円しないくらいのリップティントが欲しかった。リップ高いやつはめちゃくちゃ高いじゃん。1000円なんてかわいいものだと思うんですよ。
渡されたのは3本で100円のメンソレータムだった。そうじゃねえんだよ。

私はおしゃれがしたかったのだ。お金を渡されてなかったから誰かに会うことも出来なかったし、出かけなかったし、どんどん自分が女から遠ざかっていくのが嫌だったのだ。
新しい服がほしいとかじゃないんだよ、ただリップくらいは家にいてもつけていいと思った。

2回目の離婚したあと、また他人と会うようになった。いまでこそでかいバニティポーチにぎちぎちに化粧品が詰まるようになった。

最初の頃は学生の頃に買ったようなボロボロの化粧品で化粧をなんとなくして、ずっと最新のメイクとかも知らなかったからだっせえメイクしてたと思う。
離婚後の私は、人に会う度にみじめだった。
髪の毛は黒髪でこけしだったし、みんなきれいに髪を染めていて、色んな化粧道具を持っていて流行りのメイクをしていた。可愛かった。可愛い女に私はなりたかった。

女は出産すると母親という生き物になってしまうと言う男がいる。いや女もいる。
でもそうさせているのは周りの人間だ。4時間子どもの面倒をみてくれれば髪を染めてトリートメントして髪が切れる。きれいなままでいられる。
化粧品はいまやインターネットで買える。便利だね。でもその買うお金は家計からは出せないんだよ。
最近お前女捨ててるよなじゃないんだよ、捨てさせてるのはお前だ埋めるぞ。
あと加齢と共に肌がやばい、スキンケアとベースメイクくらいはいいものを与えてあげてほしい。

嫁が可愛かったら嬉しくないのか?死んだ目をして育児をしてほしいか?
子どもがどんなに可愛くても自分の時間はほしいし、身だしなみは整えてえんだ。

女は後天的要素が多い生き物だ。
化粧をしてお洒落をして可愛いものや好きなものに触れてそうして女になる。

子どもを産んでもいつまでもきれいで、女でいて欲しい。大いに結構だ、女側だってそうしたい。
そのためには協力が必要だということを忘れるな。美容院に乳児はつれていけない。

2人目の夫は、「化粧しなくていいよ」「そのままでいいよ」と言っては私に化粧品は与えてくれなかった。必要ないと言われていた。でも私にとって化粧品は武装品で、女であるために必要不可欠なものだった。
あとお前のために化粧がしたかったんじゃない、私は私のために化粧したかったんだ。

見た目が醜いというのはもうずっと思っていることだが、化粧品をなくした私はそれに拍車がかかり近所すらほぼ出かけなくなった。誰にも会わなかった。結婚生活のうち誰かと会ったのは1回だけだ。その子は死んでしまった。

いつだって私たちは生きていてそして死んでいく。事故で、病気で、自殺で、寿命で死んでいく。
私はそのときにせめて私の中でマシな自分でいたい。

これから誰かの夫になる人、恋人になる男に伝えたいのは女は存在しているだけでは女にはなれない。
浮気をして欲しくない、そのために綺麗でいたいんだよ。でもそれには時間とほんの少しお金がかかる。男から見たらこれもいるのか?これもか?何種類も顔に塗って何が違うんだ?と思うことだろう。でも違うんだ。

大事なパートナーをきれいな同世代をみるたびに、みじめにさせないでくれ。
おいしいものを食べに連れていく、旅行に連れていくだけが家族サービスではないんだ。今日は1日自分が子供の面倒をみているから好きなことをしてきていいよ、という言葉がどれだけ嬉しいことか想像して欲しい。

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