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Interview 河西実さん “人と人をつなぎ、新たな価値を作る”

人生の新たな章のはじまり。

はじまりの扉を開けた瞬間に気づく人はどれくらいいるんだろう。

今のわたしが、この日が新たな夢への大きな一歩になっていたことに気付くのはまだまだ先な気がします。

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エシカルな活動をされている方をインタビューさせていただく、新しい私の夢への道。

エシカルジャーナリスト初の活動。

初めてのインタビューは、人と人をつなぎ自身の2つの軸の可能性を広げるために、エネルギッシュに活動をされている、河西 実さん (フェア・プラス事務局長)。


2時間を超えるインタビューの模様を伝えていきます。

まずは、河西さんのプロフィールやフェア・プラスの活動について。

プロフィール

河西 実さん (フェア・プラス事務局長)
商社マンとして世界中を飛び回り宇宙開発のためにロケットや飛行機開発に携わる。退職後、「企業のことしか考えない企業人にはなりたくない」とNGO・NPOの道へ。その後、フェア・プラスを立ち上げる。

FAIR +

•ミッション
あらゆる人が自分の力を発揮できる場を作る
障がい者支援、フェアトレードを2つの軸とし、自立支援のため商品開発や販売支援を行う。

•活動
人と人。ご縁をつないで商品を作り、売る
大学や企業と連携し、新たな価値の創造と社会の変革を行なっている。
eg, 京都造形芸術大学の学生との「アバカ・フェアトレード開発プロジェクト」
シサムコーヒー。コーヒー生産者団体へのフェアトレード認証を取得するための研修プログラムの提供。

イベント

ふたつの村の布 ーマリナオのアバカと上世屋の藤織りー

日時 : 9/18(土) 〜 9/26(日) 10時-17時 ※9/21(火)休館

会場:錦水亭竹生園 

フィリピン マリナオ村のアバカ・マクラメ編みと京都 上世屋の藤織り。
山間地域の暮らしの中で育まれた美しい繊細な手仕事。
竹林を望む広々とした空間で、自然の風を感じながらマリナオ村と上世屋の美しい伝統文化の融合を間近で見られる。


今回はこのイベントへの意気込みも踏まえてお話を伺った。

インタビュー

以下、私→A   河西さん→K

A『本日はよろしくお願いします。』

A『まずは、河西さんのことについてお伺いしたいのですが、フェアプラスを立ち上げる前まではどんなお仕事をされていたのですか?』

K「商社マンとして宇宙開発のためロケットや飛行機開発に携わっていました。1カ月に1回、数カ国海外出張をしていました。ずっと時差ボケが続いているような生活をしていました。」

A『宇宙開発ですか!先を読むことが求められるお仕事ですね。世界中を飛び回って、いらっしゃったんですね。』

A『では、なぜフェアプラスの活動をはじめようと思われたのですか?』

K「もともと途上国の貧困に興味がありました。悲しいけれど今の世界の仕組みは大企業で働いていても貧しい人たちに恩恵はいかない
そんな時に心筋梗塞で倒れて一度生死をさまよったんです。
その時に、死ぬ前に自分のしたいことをしたいと思いました。
自分も障害者であるので、フェアプラスのミッションとして、障がい者支援フェアトレードを2つの軸にしました。」

A『死ぬまでに自分のしたいことをする。とっても素敵な考え方ですね。』

A『フェア・プラスの商品は障がい者の方が作っているものや、フェアトレードのものが多いですよね? これらは、フェアトレードや障がい者の手で作られたものですと伝えているんですか?』

K「いいえ。フェアトレードだから買ってもらうというのは違うと思うんです。なので、フェアトレードや障がい者の手によって作られた商品というのはあえてふせています。フェア・プラスでは、あらゆる人が自分の力を発揮できる場を作ることを目指しています。だから、フェアトレードや障がい者の手で魅力的なモノを作って売る、その後でリーフレットなどで生産地や生産者のことを知ってもらう、このことを大切にしています。」

A『確かに、フェアトレードや障がい者支援の商品と伝えすぎるとそれだけで敬遠されてしまいますよね。』

A『では、今回のイベントの目玉でもあるフィリピンのマリナオ村のマクラメ編みについて教えてください。』

K「マリナオ村の人たちは、畑作収入で生計をたてています。しかし、農作物だけでは収穫が少なく、アバカを大切に育てサンダルなどの小物や日用品を編みながら収入を補っていました。
マクラメ編みは子育ての時間の中で育まれ、子供とともに成長し次の世代に引き継がれていきます。」

こんな風にね!とマリナオ村の女性たちが家の中でマクラメ編みを行っている動画を見せていただきました。

A『すごい!机の上に釘を打って固定して編んでいくんですね。子供も近くにいて、見て覚えていくんですね。生活に根ざしていますね。

河西さんはどうやってマリナオ村とつながったんですか?』

K「2010年関西の国際団体を回ったときにアバカに出会い、魅力を感じました。
フィリピンにつながりを持つ団体からマリナオ村を紹介してもらい、村にアポを取り直撃しました。(笑)」

A『河西さんの直感が働いたんですね!!』

K「初めは、サンダルなどの小物の輸入販売を行いました。
その後、さらなる収入向上のため、商品開発を始めました。
そして、生まれたのが「JIU(慈雨)」というブランドです。
全て日本でデザインし、村で編んで商品を作っています。」

今では、国内外からも注目され、スローファッションのイベントでも出展するほどに。

これが商品です。と実際に見せてくださいました。

繊細ながらデザイン性もあり、とても素敵な商品。
その上、軽く実用的なところが愛されている理由なのかもしれない。

マクラメ編みで作られた八寸帯は夏の着物や浴衣と相性がいい、涼やかな仕上がり。

着物雑誌でも特集されるほど、注目を集めている。


A『ここまで、国内外でアバカ・マクラメ編みが注目されて生産者の生活環境の改善や変化はありましたか?』

K「貧困状態は改善しています。
もともとは台風ですぐに壊れてしまうような竹でできた家に住んでいたのが、レンガ造りの家を建てた人もいます。
学校へ通う子供に洋服を買ってあげられたり、普通のお弁当を持たせてあげられるようになったみたいですね。
フィリピンでは、小学校の授業料は無料ですが、洋服やお弁当が貧しい子供も多いので、、。
マクラメ編みによって収入が安定することを知り、教えて欲しいと人がマリナオ村に集まってきているようです。初めは5、6人だったのが、今では20人ほどに増えて来ているようです。」

A『家を建てるまでになっているんですね、アバカ・マクラメ編み御殿ですね。(笑)
村で育んできた伝統が安定した収入源となっているんですね。
教えて欲しいという人が増えてきているのは、いいことですね。伝統が引き継がれていくだけでなく、村が自立していく第一歩ですね。』

河西さんは嬉しそうに生産者が来日した時のエピソードも語ってくださいました。

K「来日した時に、彼女たちが作ったアバカの商品が販売されている銀座の高級着物専門店に連れて行ったんです。
その彼女は幼い頃から親の手伝いでサンダルを編んでいました。学校にも行けない、友達と遊ぶ時間もなかったので、マクラメ編みが大嫌いだったそうです。
親からは仲買人がまた来るから早く編まないといけないと言われ、窓の光だけで泣きながら
編んでいたそうです。
唯一の楽しみは、編みながら友達と話すことだけ。
そんな、彼女を彼女たちのマクラメ編みの商品が販売されている高級着物専門店に連れていくと、

“ 嫌で仕方なかったマクラメ編みを、こんなにも大切に扱ってくれてありがとう。”

と、とても感謝していました。」

A『自分が作ったものを手に取るお客様の存在を知ることで、彼女たちの自尊心も上がりますよね。
私たちも作った人の顔が見えることで、そのモノに愛着が湧きますし、やっぱり顔が見える関係って素敵ですね。』

河西さんが人と人をつないで作り出している世界は、とても優しくあたたかいものだなと心があたたかくなりました。

A『では、もう一つの目玉である藤織りについて教えていただけますか?』

K「藤織りは山野に自生する藤の皮から繊維を取り、その糸で織ったものを指します。京都府北部の山間の村、上世屋で女性の冬の仕事として途絶えずに受け継がれてきたものです。
村の高齢化や離村に伴って減少し、植物の繊維を取り出して藤織りを行っているのは地元の村では90代の女性ただ一人になってしまっています。」

A『90代の女性一人ですか!深刻ですね。』

K「しかし、齊藤麻弓さんという方が村で暮らしながら受け継いでいっています。」

A『今回のイベントは斎藤さんとのコラボ企画でもありますよね。河西さんはどのように藤織りや斎藤さんと出会ったんですか?』

K「アバカにも似たものが日本にもありますよ!と教えてもらったんです。その後は、マリナオ村の時と同じでアポを取って飛んでいきました(笑)」

A『またしても、河西さんの直感ですね!
そして、今回のコラボが実現したわけですね。

では、今回の展示会イベントのコンセプトついて聞かせていただけますか?』

K「今回の展示会イベントの目的は伝統文化が長年積み重ねてきた美しさを伝えることです。
藤織りのように衰退の危機にある伝統文化は多くあります。
今回のイベントでは伝統文化を守りたいという伝え方ではなく、伝統文化の美しさを伝えたいんです。
アバカ・マクラメ編みと藤織りには、植物由来の素材であること以外に共通するところがあります。
それは、どちらも村の暮らしの中で育まれてきたものであること
長い年月をかけて村が磨きをかけて築いてきた文化です。
会場では作られる過程を動画や写真を使って伝えたいと思っています。」

A『伝統文化の衰退と聞くと暗い気持ちになるものが多いですよね。守らなければならないけれど、自分には何ができるんだろうと思います。
しかし、河西さんは伝統文化の美しさにスポットライトを当てられたんですね。
作られる過程や暮らしの様子も感じられる会場になるようで、今から私もとても楽しみです。』

K「会場の後ろには竹林もあってとても雰囲気もよい場所になっています。
ぜひ、お越しください!」

A『最後に、河西さんのエネルギーの源について聞かせてくれますか?
今までの活動を伺っていると、フェア・プラスの立ち上げから一人でマリナオ村に飛び込んでいったり、藤織りの斎藤さんに会いに行ったり、エネルギッシュに活動されているなと思いまして、何が河西さんを動かしているんですか?』

K「人生観が影響しているように思います。
私は限りある時間、ご縁を大切にしたいと思っています。
自分の直感を信じて、いいな、会いたいなと思う人とはつながりたいと思うし、迷わずに飛び込んでいくんです。
まず、動いてみる。それで結果がついてきますからね。」

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人生の先輩である河西さんのお話は、学ぶことが多く、これからエシカルを発信していく上で大切にしたい指針をいくつかいただけた、そんな気がします。

限りある時間、ご縁を大切にしたい

と優しく語ってくれた河西さん。

今回、河西さんと繋いでくださった方とのご縁。

河西さんとのご縁。

そして、これから繋がっていくであろう新しいご縁。

これらが、長く続いていくことを嬉しく思います。

フェアトレードやエシカルの世界は広いようで狭い世界。

同じ志や価値観を持っている人が多い。

エシカルジャーナリストとして、

地球や他人、そして自分自身に優しい気持ちになれる人が増えていくように、
エシカルの現場を伝えていきたいな
と改めて思えた時間でした。

そんな、河西さんが開催するイベント

「二つの村の布 ーマリナオのアバカと上世屋の藤織りー」
9/18(土) 〜 9/26(日) 10時-17時 ※9/21(火)休館
会場:錦水亭竹生園 


河西さんが伝えたいことが、マクラメ編みや藤織りの美しさを通して感じることができるそんな展示になっているんだろう。

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