清水の舞台から飛び降りて講習会に参加した話in京都
不定期稽古録第三弾。
今回は予定を急遽変更してとある講習会に参加してきました。そこで得られた教訓についてまとめていきたいと思います。
そもそも骨ストレッチって何さ
実は、私は10月8日にこちらの大会に出場する予定です。トレイルランという、ようは山道を走るスポーツがあるのですが、その大会に出る予定で、昨今は居合道の稽古よりもランニングの練習をしています。YouTubeでもランニング系の動画をあさっていまして、こちらの動画に出会いました。
古武術走法…。やっぱ武道をたしなんでいる(?)者としては興味をそそられるじゃないですか。こちらの動画では「骨ストレッチ・ランニング」なる走法が紹介されていて、この動画の元ネタとなった本がこちら。直接紹介されていた本は、2014年発売とやや古くて、2017年にほぼ同じタイトルの本が出版されていたので、とりあえずそちらを購入して読んでみました。
結論から言えば、結構しっくり来たんですよね。とくに、骨ストレッチをやって、注意深く体を観察すると、普段よりも身体の奥の筋肉が動いていることを感じました。「あ、これはなかなか良いかもしれない…。」
身体を扱う書籍は結構読んでいるんですが、その時に心掛けているのは「正解かどうかは分からないけれどとりあえず言うことを聞いてみる」です。それでしっくりきたら使い続けたらいいし、来なかったら「そのうちしっくりくるかも」と思ってそっと記憶にしまい込む。自分の身体感覚レベルだと受容できない次元(つまり自分より高次元)の技術の場合は、本当にわけわかんないんで、その可能性がある限りは「放置」と言う選択を選びます。今回は今までで一番身体にしっくりきました。
それで、とりあえず最初の一冊をなるはやで読み切って、残りの関連書籍を密林でポチり、著者の松村さんのことをネットで調べていると、「関西で講習会しているじゃん。ていうか明後日講習会あるじゃん。まだ枠空いてるじゃん…。」
こういう講習会の参加費はなかなかどうして値が張るのですが、、、、「ええぃ、ままよ!」と講習会に申し込んでしまいました。
「骨身に任せる」の私なりの理解(現時点)
松村さんの骨ストレッチとは、要は骨から動くことができる「體」に戻るための体操法です。手の親指と小指をつなげるポーズが基本姿勢で、身体の末端を動きにくくすることで体幹の骨(鎖骨・背骨・仙骨など)から身体を動かすことのできる骨が豊かな「體」への回帰を目指します。この状態を特に、「骨身に任せる」と松村さんは表現しています。
実際にこのストレッチをやってみてまず思ったことは、確かに普段のストレッチよりも身体の奥から動いている感覚があることです。あと、私の場合は骨がポキポキ鳴ります。さらに、自分でも意識しないうちに、無駄な筋肉の力みがあることに気づきました。例えば、大腿四頭筋の筋肉で身体のバランスを取ったり支えたりしているのです。ランニングする際の動力源も大腿四頭筋の占める割合が大きいです(感覚ですが、8割くらい)。
講習会では、鎖骨・肋骨・肩口・蝶骸骨・こめかみ辺りの骨と肉の間をぐりぐりほぐすことからスタートし(これがめちゃくちゃ痛い)、骨ストレッチや、それの応用、実際にそれらをする前とした後での身体の動きの変化を実感するドリルなどをしました。
現時点での私の「骨身に任せる」動きの理解は、こうです。
普段の動き:筋肉が動いてから骨が動く、身体の表面の筋肉だけが動く
「骨身に任せる」に近い動き:骨が動いてから筋肉がそれに従う、身体の奥の筋肉から動く
一点補足です。講習会ではまずは筋肉をほぐすことからスタートしましたが、これは普段過剰に緊張している筋肉を緩めて、筋肉からではなく骨から動かしやすくするためと理解しています。実際、「あ・・・・自分こんなに筋肉に頼って動いていたんだなぁ」とほぐしながら実感しました(特に胸骨の辺りの筋肉がガチガチ・・・)。。
正直私のレベルでは、まだまだ「骨身に任せる」動きを心得た!とは言えませんが、今の私の分析はこんな感じです。
「居着かない」こと
今回の講習会とか松村さんの書籍を通して「え、そうだったの」と思ったのは、「居着く」という言葉の使い方です。私は、「居着く」を「腰が落ちていたりして脱力しすぎていてすぐに動けない状態」を指す言葉として認識していました。
ちょっとネットサーフィンしましたところ、この「居着く」という概念はどうやら多義的で、この概念事態を考察することは本稿の趣旨から外れそうなのでここでは割愛します。私がこの骨ストレッチの文脈の中の「居着き」について言いたいことは、「目に見える分かりやすい部分にこだわってもそこには答えがない」ということです。
例えば、早く動きたいから思いっきり地面を蹴るとか、人を力一杯投げ飛ばしたいから腕の筋肉を鍛えるとか。パワーを出そうとして一部分にこだわっても、結局は体全体のパワーを使った方が求める結果が出るんですよね(特に私の性別が女であることを考えると、筋骨隆々になるったって限界があります)。
筋力は電力源だと考えるなら、骨は回路です。結果的に外に作用する筋出力を電球の明るさとでもしましょうか。電球の明るさ(筋出力)は、電力源の大きさ(筋力)✖️回路の通りやすさ(骨)で決まります。
この回路はところどころ途切れてしまっていて、その途切れている原因の一つが「居着いている」状態なのかな、と思いました。
筋力ばっか鍛える方向にシフトするより骨を使える方向にシフトして筋出力がアップさせる作戦にチェンジした方が良さそうです。
「緩める」ことの大切さを本当に納得するには
そして、以上に述べたことを本当に実感できるようになるためには、普通の人は多分一回ガッツリ筋トレとかをして筋力アップ・筋肥大をさせてからじゃないと無理かもなぁ,,,とも思いました。別に筋トレじゃなくてもいいんですけど、とにかく運動経験がいると思います。じゃないとあんまり納得できない。
居合道を始めてしみじみ思いましたが、身体感覚はとても大切です。「今自分の重心位置は足の裏のどこに乗っていて、どういう動きをすればどの方向に動いて、、、、」とか。「今自分は歩いているけれど、大腿四頭筋にいちばん力が入ってっている」とか。「一生懸命刀を振ろうとすると、肩が上がってしまう」とか。こういう動作に伴って生起する身体の反応を認知できるようになることで、始めて「じゃあこの身体の無駄をなくすためにはどうしたらいいんだろう」って考え始められます。そしてこの身体感覚は、持って生まれた才能の部分もあるし、後天的に運動経験を通じて鍛えることもできると思います。
骨ストレッチは身体の内部(骨)から身体を動かせるようになるためのストレッチですから、身体感覚もそれなりに磨かれたものを持っている人ではないと効果を実感するのは難しいだろうなぁ、とも思いました。そういう意味では人を選ぶストレッチでしょう。
まとめ
冒頭述べた通り、今回私が講習会に参加したのは、書籍の内容が「なんかしっくりきた」からでした。おそらく、現状の自分の身体感覚レベルでぎりぎり受容できるレベルの、身体的な知識に接触できたから「なんかしっくりきた」と思えたんだろうなぁ〜と思います。講習会も偶然開催時期が直近だったし、なんかタイミングが良かったです。
今後の私の課題としては、今回学んだことをどうやって居合道とランニングに落とし込んでいけるかです。松村さんは元々陸上競技の選手だった方で、書籍にも「骨ストレッチ・ランニング」のやり方が紹介されていたりするので、ランニングに落とし込んでいくのは比較的容易なんですが、、、。居合道の方でうまく消化するのは、なかなか時間がかかりそうです。自分の中でなんとなくのイメージはあるので、それを実践しつつ、固まったらこちらでご報告できたらいいな、と考えてみたり。
そんな感じで第3弾は終了です。
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