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戸郷の気迫にグッときた

戸郷、149球完投勝利で10勝目。

思えば近年の巨人投手陣の中で、戸郷の存在は異質だった。ドラ6入団なのに、ルーキーイヤーの優勝が見えてきた大事な時期にいきなりプロ初登板初先発。そこで結果を残し、翌年からはローテーションに欠かせない存在に。
今村、桜井、畠、鍬原等々、ドラフト上位指名で先発として期待された投手が悉く伸び悩んでリリーフに配置転換されるチーム状況で、当たり前のように先発に定着した戸郷は菅野に次ぐ存在に成り上がった。

他の投手がそんな感じなもんだから突然出てきた若手投手の台頭を喜びつつ、自然と求めるハードルも高くなってしまう。2年続けて夏場に失速して9勝止まりだし、何より先発としては早いイニングで降板してしまうことを物足りなく思っていた。実際20年、21年は1試合平均で6回投げられていない数字になる。2年間で完投は1度だけ。

そもそも球界全体が先発にあまりイニングを投げさせない傾向になっていると思う。山本由伸ですら去年が4完投2完封、今年は完投が1回だけなんだから、今のままだともう沢村賞の選考基準を全て満たす投手というのは現れなくなるかもしれない。

まあ昭和の投手が20勝30勝するくらい投げる時代から、段々と分業制が進んだ流れの行き着く先が今の状況だと言われればそうなのかもしれない。
ただ私も完全にセットアッパー、抑え等中継ぎの地位が確立された時代から野球を見ているけど、それでもここぞというときにはエース級の投手が1人で投げ抜くというのを見ているから、そういうのが少なくなっていく流れになるのは寂しかった。

そんな戸郷も昨年は170回を投げて12勝と飛躍してタイトルも獲得。そして今年は投手キャプテンとなり、WBCを経てシーズンでは離脱した菅野の穴を埋める活躍。近頃の中継ぎ陣の負担を自分が減らすためにできるだけ投げたいというコメントも力強くて頼もしくなったなーと感じていた。そして今日の試合である。

8回まで120球投げていて岡本のHRで勝ち越した時は、流石に9回は中川に託すかなーと思っていた。だからキャッチボールをし始めた時は驚いたとともに、「いいぞ、そのまま行っちまえ!」と興奮した。むしろ戸郷のほうが志願してマウンドに上がったということではないか。ピンチを作っても、普段なら我慢できずマシンガン継投をかましがちな原監督も戸郷に任せたと言わんばかりに動かず。サンタナへのアウトローストレート3連発は痺れた。

徐々に大きくなっていく戸郷コール、そして試合終了の瞬間の大歓声など観客の人たちもこういう試合を待っていたのではないか。Twitter、じゃなかったXとかYouTubeのコメント欄には原が壊そうとしてるだの昭和の采配だのといった書き込みもちらほらあったけど、多くはやっぱりみんな戸郷の気迫のこもった投球に感動しているようだった。

令和の時代に見たことのない球数を投げながら最後までマウンドを守り切った若き右腕。もう言っても良いだろう、君が今の巨人のエースだと。

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