【社長インタビュー】完全キャッシュレス駐車場精算システム 「ScanPa(スキャンパ)」のこれまでとこれから
こんにちは。株式会社アルゴです。
私たちは、機械設置不要の完全キャッシュレス 駐車場精算システム「ScanPa」を提供しています。
今回のnoteでは、2024年8月に当社新社長に就任した光藤 可奈子(みつふじ かなこ)にインタビューを行い、「これまでに辿ってきたキャリアステップに加え」「光藤が考える成熟した市場で戦うためのScanPaのバリュープロポジション」を紹介します。
「不動産業務のすべてに関わること」を目標に至った現在地
ーー光藤社長がアルゴに入社される前のキャリアについてお聞かせください。
私はアルゴに入る前に、不動産関連企業を2社経験しています。
まず、私のキャリアのスタートは、新卒で就職したマンションデベロッパーです。物件を販売するタイミングで販促物や看板を作成したり、LP・チラシを活用して集客を促したりといった「広告宣伝業務」に従事していました。
そこではマーケティング能力だけでなく「関係各所と連携をとり、プロジェクトを円滑に進行するノウハウ」を学ばせてもらったと感じています。
各関係者の意見を取り入れつつ、視座を高くして戦略を練る必要がありますので「不動産に関わるさまざまな方の役割」を認知するキッカケとなりました。
とても有意義な仕事でしたが、大企業ですと業務が多岐にわたりますので、社員は1つの業務に特化した「専任者」となる風潮が根付いています。
当時の私は不動産業の面白さに気付き始めた頃で「不動産業務のすべてに関わりたい」という思いが芽生えていましたので、より多くの経験を積むために「不動産仲介会社」へ転職を決意しました。
1社目が「新しく物件を作る」会社でしたので、2社目の「すでに流通している物件をやり取りする」仲介会社でそれぞれの違いを学べれば、不動産に対する視野が広がるのではないかと期待したのです。
ーー2社目に転職されてどのような変化がありましたか?
予想どおり、仲介の現場はやりがいがありました。不動産業務のなかでは賃貸仲介が一番面白いのではないかと思ったほどです。
デベロッパー時代は不動産を売ることがゴールという認識でしたが、賃貸仲介は貸してからがスタートで、借主との関係性がそこから始まるという点で異なっています。お客様とともに時間を重ね、パートナーとして歩むスタイルが自分には合っていると感じました。
また、賃貸には多くの権利と権利者が存在します。土地を購入すれば所有権が発生するのはもちろんですが、それを誰かが借りれば借地権が発生し、さらには貸借権や地上権など、用途に応じて権利も姿を変えます。
取引に関わるすべての人によい影響が生まれる関係を構築する経験は、今振り返ってもとても貴重な学びで、私の財産になっています。
ーーそこからアルゴに入社されたキッカケは何だったのでしょう?
私が描くキャリアプランは「不動産業務のすべてに関わること」です。これを踏まえて自分のキャリアを見つめ直してみると「土地売買というもっとも原始的な部分にはまだ触れられていないな」と気がつきました。
そこで次の転職先として選んだのが、アルゴの母体である不動産開発・コンサルタント業を展開する「北極星コーポレーション」です。
北極星コーポレーションには、新規プロジェクトである「駐車場運営の立ち上げメンバー」として参画しました。
本音を言うと、駐車場運営に高い興味があったわけではありません。「プロジェクトを軌道に乗せてノウハウを構築できたのちに、土地売買部門に参画できれば……」と考えてジョインした、というのが本当のところです。
ある程度形になったら仕入れ部門に行くという話だったのですが「新しい駐車場精算システム(※現在のScanPa)を作る」という話になって、気がついたら担当者になっていました。
成熟した駐車場市場で戦うための「ScanPa(スキャンパ)」
ーー ScanPaが生まれた経緯を教えてください。
実は、当初から現在のサービスの形を目指していたわけではありません。
当初は自社で駐車場経営をするなかで試行錯誤を行い、「捨て鉢のような思い」に至って生まれたプロダクトでした。
駐車場市場という確立したマーケットにおいて、私たちは後発中の後発です。多くの実績ある企業がひしめくなかで戦わなければなりませんでした。
特に苦労したのは「借り上げる土地の賃料入札で勝てなかったこと」です。少しでも良い条件を提示する必要がありましたが、コストカットには限界があります。
「これは、かなりのインパクトがなければ市場に切り込んでいけないな」と感じました。
その結果「もうどうにでもなれ!」と半ばやぶれかぶれな気持ちで、「精算機を置かない」「決済用のQRコードを看板に貼り付けるだけ」という駐車場をオープンしてみたのが ScanPaの原型です。
どうなるかはわかりませんでしたが、蓋を開けてみると予想以上の収益が出ました。
そこから「このサービスを確立させれば、自社だけでなく、競合となっている他の駐車場運営会社にも有意義なのでは?」と思ったのが、 サービス開発の経緯です。
その後、仕組みを洗練させて確立したのが完全キャッシュレス駐車場精算システムである「ScanPa」です。
低コストで、設置負担の少ない駐車場精算システムを支えるのは「シンプルさ」
ーーそうして生まれた「ScanPa」がどのようなサービスなのか教えてください。
「ScanPa」は、従来のコインパーキングに当たり前にあった精算機をなくした「SaaS型の駐車場精算システム」です。
精算機どころかフラップもゲートも不要で、設置が必要なのは「QRコードのついた駐車場看板」のみです。
駐車場利用ユーザー様はスマートフォンで看板のQRコードを読み込むことで、利用開始から精算までをWeb上で完結できる仕組みです。
ーーScanPaの強みとは何でしょう?
ScanPaの強みは「導入・運営コストの安さ」「簡単で馴染のある仕組みの採用」「キャッシュレス化の時流」「レイヤー式のビジネスビジネスモデル」の4つであると考えています。
1)導入・運営コストの安さ
ScanPa最大のバリュープロポジションは、運営者目線での「コストの安さ」にあります。
精算機やフラップといった設備投資がないため、ランニングコストはもちろんですが、メンテナンスが不要という点も大きな強みです。
修理費・人件費など、長期的にも大きなコストカットが期待できる点を多くの運営者様にご支持いただいています。
イニシャルコストの安さもポイントで、「利用期間の短い/定まらない土地でも気軽に駐車場運営を始められる」との好評の声があります。
また、機材を設置しないのでスペースをフルに活用できますので、狭小地でも導入していただきやすいのが特徴です。
2)簡単で馴染のある仕組みの採用
ScanPaでは、QRという馴染みのあるテクノロジーを転用しています。
ふとしたインスピレーションから始まったアイデアでしたが、もしScanPaが最新技術を活用した複雑なシステムだったら、今ほど浸透していなかったと思います。
駐車場はITリテラシーに関係なく、すべての人が利用するものです。
そのため、すでに「社会に普及したテクノロジー × 新しい駐車場の形」という新旧の組み合わせが、どんな世代の方でも使いやすいサービスになった理由だと思っています。
それに、シンプルで馴染みあるテクノロジーは汎用性が高いのが特徴です。例えば、小売業のお客様は店舗駐車場にScanPaを導入して「近隣店舗の駐車場と違ってキャッシュレスで停められる」という来店動機を作っていらっしゃいます。
また、近隣のイベント時だけ民家の空きスペースをScanPaを用いて駐車場として開放するお客様もいらっしゃるなど、多彩な活用方法をお客様から提案していただいている状況です。
シンプルだからこそアレンジしやすいという強みは、私たちにとって思わぬ副産物でした。
3)キャッシュレス化の時流
現在は、キャッシュレスという決済方法そのものが時代の追い風を受けています。
ここ数年、電子帳簿保存法の改正やインボイス制度のスタートなどに伴って、データの残る決済方法を望む声が増えました。
極め付きが今年(2024年)に実施された「新紙幣の発行」です。新紙幣対応の精算機に変えようにも「何十万円もする設備投資を行う余裕はない」と頭を抱える経営者は少なくありません。
こうした社会背景がキャッシュレス化を加速させ、その時流にScanPaが乗れているのだと感じています。
4)レイヤー式のビジネスモデル
ScanPaは車を固定するフラップがないので、開発当初は不正利用を懸念する声もありました。
しかし、実際はフラップがあっても不正利用は一定数起きてしまうものです。
そこでフラップを設けないまま実証実験に進んだところ、ScanPaの不正率は「3~5%程度」と非常に低い数値に留まりました。
さらに、運営者のニーズに応えるため、防犯カメラのランナップを拡充し、警備会社と連携して不正駐車を取り締まる巡回警備のサービスも提供しています。
つまり、ScanPaの基本機能はシンプルに保ちつつ、その上に運営者が求めるサービスや機能をレイヤーのように追加できる仕組みになっています。
これまで高額だったコインパーキングシステムを分解し、柔軟に選択できるレイヤー式にしたことが、ScanPaが多くの運営者に受け入れられている理由の1つだと考えています。
「社会につながりを生む」をミッションに据え、駐車場を“目的地”にすることを目指す
ーーアルゴの新社長に就任された心境をお聞かせください。
正直なところ、身が引き締まると同時に「なぜ私が?」とも思っていました。
今でも私で良いのだろうかと思うことはありますが、「自信がない」というのも選んでくださったり、応援してくださったりしている方々に申し訳ないのも事実です。
「選ばれたからには懸命に取り組んでいこう」と自分にいい聞かせています。
幸いなことに、アルゴには個性豊かで、異なるエネルギーを有する頼もしい仲間たちが揃っています。
ScanPaというまったく新しいサービスを形にできたこの仲間たちとなら、成し遂げられないことはないと確信しています。
実は、キャリアについては以前から自分なりに感じていたことがあります。
それは「自分に与えられた道は自分だけのものであり、自分しか歩めない」ということです。
当たり前ですが、自分の進む道を誰かに代わってもらうことはできないので、腹を括って歩みを進めるしかありません。
目の前の仕事に真摯に取り組み、歩みを止めないのが自分の強みだと思っています。これからも柔軟に、でも芯を持って、顧客や社会のニーズに応えていきたいと考えています。
ーーアルゴの将来的なビジョンは何なのでしょうか?
社長に就任するにあたり、社員と一緒になってアルゴのミッションを考えました。そして決まったのが、「社会につながりを生む」です。
これからの時代、自分たちの利益だけを考えるようなビジネスは淘汰されていくと思います。
社会にとって必要なサービスを思いやりを持って提供したその先に、自然と利益が生まれる。そんなビジネスモデルが理想だと考えています。
「綺麗ごと」に聞こえるかもしれませんが、ありがたいことに応援してくださる方々が増え続けていることからも、同じ志を持つ方は少なくないのだと感じています。
サービスを展開させる上でテクニカルな要素は重要ですが「サービスはホスピタリティに根差したものでありたい」と常に思っています。
当社のようなBtoBビジネスは「組織対組織」という感覚になりがちですが、粒度を変えれば「人対人」だと考えています。コミュニケーションの構造は、家族や友人に接するときと同じなのですよね。
目の前の人に喜んでもらおうと双方が思っていれば、自然とwin-winの仕事になると信じています。
「社会につながりを生む」というミッションは、今後のサービス開発にも通じています。
ScanPaは駐車場運営者のコストカットに貢献し、これまでは諦めざるを得なかった「短期間の土地運用をしたい」「狭小地も運用したい」という運営者様のニーズを解消してきました。
運営サイドには一定の価値をご提供できていると自負していますが、次は駐車場利用ユーザーサイドにも価値を提供していきたいと考えています。
ーー駐車場利用ユーザーサイドへの価値提供というと、アルゴとしてどのように取り組まれる予定でしょうか?
目下の目標は「ユーザビリティの向上」ですね。
例えば「MEO(Map Engine Optimization)を強化して駐車場利用ユーザーの駐車場探しの手間を解消する」といったように、駐車場利用ユーザーの利便性向上に向けたサービス開発を進めているところです。
「つながる」のはアルゴだけの話ではありません。私たちはScanPaのシステムを活用して「駐車場運営者と駐車場利用ユーザーが交流できる仕組み」を提供できたらと考えています。
これまで多くの駐車場は無人だったので、運営者と駐車場利用ユーザーがコミュニケーションを取るという発想すらなかったと思います。
ですが、ScanPaを介すれば「ポイントを付与してリピートしやすい仕組みを作る」「キャンペーンを告知する」といった形で、運営者と駐車場利用ユーザーをつなぐ新しい駐車場ビジネスを実現できると考えています。
運営者と駐車場利用ユーザーだけでなく、ScanPaから駐車場付近のイベントを告知して集客と町おこしを同時に叶えられれば、人だけでなく「街」ともつながることができますよね。
迷惑駐車を無くしてイベントも盛り上がるとなれば、地域住民にとっても好ましいことではないでしょうか。
これまでは「駐車場は目的地に向かうための通過点というイメージ」でしたが、いずれは「あそこに行けば何かある!」と、駐車場自体が目的地になれば素敵ですね。
アルゴでは、当社サービスを“ハブ”として、関わる人すべてが幸せになれるようなビジネスを目指しています。
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