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土壌を守る


なくなるもの

耕起する農業の持続可能性は証明されていないそうです。
畑を耕やす事で土壌は強制的にかき混ぜられます。するとそこに住む生き物がいなくなるので、多様性がなくなり自然界の仕組みを壊してしまいます。
食物連鎖は完全になくなり、炭素循環が崩れ地球温暖化の一因にもなっています。

また、表土がさらされるため雨風に弱くなり土の流出が起きやすくなります。

1931年、アメリカの中西部で巨大な砂嵐が発生。強風にさらされた土が吹き上げられ、巨大な黒雲がシカゴの空を覆います。ワシントンD.C.やニューヨークをも覆い大西洋に消失。
ダストボウルと呼ばれた砂嵐、それから約9年もの間断続的に発生します。
原因は人災。一大草原だったエリアを耕起し、環境を無視した農機具でのすき込み、肥料の過剰に投入された事によります。

第一次世界大戦後の世界恐慌によって小麦の価格が暴落。農民達は土地を放棄。その後起きた干ばつによって砂嵐が発生。耕作放棄地は完全に砂漠化。肺炎を患う子供が増えた事で住民の大移動が起こる。その後井戸掘削、ポンプによる灌水により改善はみられるが、未だ元には戻らず、2012年にも大規模の砂嵐が起きている。


土壌を損なうは国を損なう
フランクリン・ルーズベルト

アメリカだと約4000平方メートルの広さの一年の土の流出は3トン

1センチの土ができるのに日本は100年。アフリカは1000年

2.5センチの表土を失うと自然回復に500年かかるとも言われている

増えるもの

耕起された土は空気を多く含み柔らかくなります。作物の根が伸びやすく、作業性も良くなり雑草も生えにくくなります。
一見するといい事ばかり。

しかし、空気を含むと土中の微生物の活動が活発化し、有機物の分解が急速に進みます。
その結果、温室効果ガスが大気中に放出。
地球温暖化の一因にもなっています。

ちなみに土壌の中の炭素の量は大気の3倍以上ともいわれています。

空気中の炭素はほとんど二酸化炭素として存在しているので、減らすなら有機物を土の中に埋めて置くの理想的かもしれません。

作物にも良い事になるので一石二鳥。



スマート農業

アメリカやオランダで急速に進むスマート農業。ドローンや自動制御システムによる徹底管理が行われています。

特にオランダでは、
ビニールハウスの中24時間体制で作物にとって適切な環境を維持。
天候や季節に関係なく作物を作る事ができ、病気や虫よる被害は無縁。
もちろん農薬を使うこともない。

九州程の面積で輸出世界第2位の農業大国へと成長した。
ただ輸出のほとんどが農作物ではない。

日本の半分以下の作付け面積で痩せた土地も多く、日照時間も短い不利な条件。





転換

日本では従来の慣行農業がほとんどをしめ、有機農業は0.2〜0.3%だといわれています。

化学肥料、農薬、機械。
食糧を自給していく上で必要なものだと思います。
しかし、先の事を考えない過剰な投入はよくありません。

アメリカも有機農業やスマート農業は大きな成長をみせている現代において、日本はあまり変わらずにいるのはなぜだろう。
政治的な事も多分にあると思うけれど、自然の事もしっかりと考えられた農業へと変わらなければいけないと思います。

環境に配慮した有機農業なのか。
オランダのようなスマート農業なのか。

いずれにせよ、
資源の前借りをしない持続可能な方向に向かって欲しい。