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【都市の経済構造を考えてみる!】(第32回)「東日本大震災の前後で比べてみた!(仙台経済圏)」

仙台経済圏の粗付加価値の内訳をみるにあたりまして、前回も盛岡経済圏のものと比較してみました。結果、人口規模の大きな仙台経済圏の方が、人口単位あたりの数値で、盛岡経済圏よりも小さくなってる項目もあり、東日本大震災での経済的な被害が仙台経済圏の方が大きかったのかもしれん、としておりました。

・(第31回)「全体像を把握する!(2)粗付加価値(仙台経済圏)」
https://note.com/areaia/n/nb48a53e06c17

ということで、今回、仙台経済圏について、東日本大震災前後の産業連関表を比較して、東日本大震災の影響を確認してみたいと思っております。

    

◯ 統計情報を入手

今回も、例のごとく、産業連関表です。平成23年のものと、その前のが平成17年のもの、そのあとに、平成25年のもの、を発見できました。産業連関表は5年ごとに作成することになっているようで、平成27年のものが公表されててもおかしくないのですが、発見できませんでした。

・宮城県の経済構造~平成23年宮城県産業連関表~
https://www.pref.miyagi.jp/soshiki/toukei/h23rennkann.html

・宮城県経済の構造-平成25年宮城県産業連関表(延長表)-
https://www.pref.miyagi.jp/soshiki/toukei/h25rennkann.html

平成17年のものは、平成23年とか平成25年のもののように、まとめられたページは発見できなかったのですが、産業連関表は、上記のページの下の方にダウンロードできるリンクがございました。

キャプチャ

         

◯ 比較表

まずは、主要指標について、エクセルで比較表を作ってみました。

時系列1

パット見だと、数字がたくさん並んでいて、見にくいので、差額と変化率も入れてみました。

時系列2

見る人や、その時に持っている問題意識で、気になる項目が異なるところでもありますが、皆さんは、どこが気になりますでしょうか?

     

◯ 平成17年と平成23年の比較

まずは、震災前の2005年と震災直後の2011年の比較です。東日本大震災の影響と、6年間の変化が含まれていることになりますが、やはり、東日本大震災の影響の方が大きい印象で、ほぼほぼ全ての指標でマイナスとなっていますね。

時系列21

県内生産額は、13%減少、内訳としては、「稼ぐ力」で29%減少、「回す力」で12%減少となっていて、この落ち込みを、「支える力」の26%増で支えようとしています。

県内需要額は、4%の減少で留まっています。内訳としては、「回す力」で12%の減少、内生部門で10%の減少、民間消費支出4%減少、となっている落ち込みを、「支える力」の26%増加が支えてくれています。

粗付加価値については、全体で15%の減少、県内生産額が13%の減少ですから、それ以上の落ち込みといえます。内訳では、営業余剰で24%減少、雇用者所得で9%減少です。

個人的には、雇用者所得が9%も落ち込んだ一方で、民間消費支出は4%の減少、「外の力」も2%減少で済んでいるのが、ちょっとした驚きでした。震災は一時的なものでもあり、また、生活再建のための出費増もあったということなのかもしれません。このあたりは、「雇用者所得」ー「民間消費支出」の赤字が18%増加ということで、所得が減っても消費はそれほど減っていない数値となっています。

大きな流れとしましては、被災による「稼ぐ力」と「回す力」の大幅減少と、復興に向けた「支える力」の増加による下支えという構図でしょうか。

      

◯ 平成23年と平成25年の比較

続きまして、震災直後の2011年と震災から2年後の2025年の比較です。今度は、東日本大震災からの復興の影響と、2年間の変化が含まれていることになります。

時系列22

総じて、数値が改善しています。イメージとしては、震災で減少となった数値が、V字で回復してきている印象です。

  県内生産額    17%増加
   稼ぐ力     16%増加
   支える力     7%増加
   回す力     20%増加
  県内需要額    14%増加
   民間消費支出   4%増加
   外の力      7%増加
  粗付加価値部門計 16%増加
   雇用者所得    6%増加
   営業余剰    30%増加

例外は、支える力で、前項でも26%増加で、本項でも7%増加が続いています。県内需要が2兆円ほど増加している一方で、民間消費支出は2000億円ちょっと、支える力も3000億円ちょっとの増加ですので、この表では不明ですが、総固定資本形成(民間)の需要が大きく、回す力の1.5兆円増も、建設業が大きいのかもしれません。

     

◯ 平成17年と平成25年の比較

最後に、震災の6年前の平成17年と、震災から2年後の平成25年で比較したいと思います。東日本大震災の影響もありますが、一定の回復後でもありますので、8年間の構造変化も感じたいと思います。

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