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「良いシステムを作る」「技術者が幸せになる」と考えるようになったきっかけ

まだ若かったころ、「良いシステムを作る」ためには時間をかけるしかないと思っていました。当然、残業も休日出勤もあるのが当たり前。
それが技術者のかっこよいスタイルだと思っていました。
当時は残業100時間なんて普通で、ある意味、それを誇り思っていたように思います。

転機になったのは、とある都銀(最近、トラブルで話題の青い銀行ではありません。念のため)の開発プロジェクトです。
当時、私は東京で稼働していたのですが「大阪の都銀プロジェクトがやばい」という話になって、メンバー数名を連れて助っ人に入りました。

「俺たちが何とかしてやる」って気持ちで意気揚々と乗り込んだのですが・・・まったくだめ。
私たちも泥沼に入り込み、やれどもやれども成果がでない状況に陥りました。業界用語(?)で「お祭り」とか「プロジェクト崩れ」と呼ぶ状態です。
最近は「デスマーチ」と呼ぶそうですが。
どのくらい「デスマーチ」かというと。
残業が月200時間!
通常の勤務だけだと月160時間くらいですが(一日8時間×月20日=160時間)、残業月200時間ということは総稼働360時間は越えているわけです。
ほとんど毎日泊まり込み、土日も稼働・・・・そんな状態が3ヶ月ほど続きました。
皆、トイレに閉じこもって出てこなくなったり、私はエレベータに乗ったわずかな時間に寝落ちし夢を見たくらいです。
まさに「デスマーチ」・・・・
そこまでしたのに、というか、そういう状態だからこそ良いシステムなんかできるわけがありません。
技術者は疲弊し、そのくせ良いものはできない、という誰が得するんだ状態でした。

この開発がどうやって収束できたのか、未だに不思議でなりません。
実はよく覚えていないのです。大変だった場面場面は覚えているのですが、最後に「終わった」という瞬間をまったく覚えていません。
きっと、倒れ込むようにひたすら寝ていたんだと思いますが・・・
あの当時一緒だった皆さんはどうしてるかな?
ノハラ君、元気にしてるかな?
当時は若手だったけど、今はおっさんだよね~ww

渦中は「どうしてこうなった」というところまで考えられませんでした。
終わってしばらくしてから考えるようになりました。
良いシステムを作る、というのはどうすれば良いのか。
技術者の誇りや幸せってなんなのだろうか。
ただ時間をかけたり人手をかければ良いシステムができる、というものではなさそうだ・・・
さらに、「もうあんな思いはしたくない」という気持ちも強くありました。

このことがきっかけで「良いシステムを作る」ということと「技術者にとっての幸せとは何か」が私のテーマとなりました。

前の会社が解散した時、他の会社に転職するか、いっそ自分で会社を作るかで悩んだのですが、この二つのテーマを実現していくためには、既にある会社では自分が思うようにはできない、と感じ、新しく会社を作ることに踏み切りました。そうしてできたのが今の会社です。

このふたつのテーマについて、今の私がどのような答を持っているかはまた別の記事で書きたいと思います。
今回は、ふたつのテーマを持つことに至ったきっかけのおはなしでした。


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