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『響け!ユーフォニアム3』の日記ぽいやつ。その1

⚠️注意
本記事は一日一話ユーフォ生活を始めた人間の日記です。Xに上げるには長くなり過ぎたので、なんのまとまりもないメモ代わり&めんどくさがり屋なので多分そんな続かないです。それでも良い方はどうぞ。

6月17日

第一話を見返したが、想像以上に今後の展開の仕込みがなされていたように感じる。第一話は最初のカットとして滝先生の職員室の机が写されるが、ここで明らかに強調して描かれている幹部ノート。OP明けも一発目が幹部ノートの描写から始まっているので、三年生編において最大のキーアイテムなのだと提示されているし、見返した事でそれを強く感じる。後は、やはり滝先生を語る上では外せない写真立て。第十一話でそこら辺の描写がなされたばかりなので、より印象的なアイテムとして見える。

その後に練習中に寝落ちた久美子が描かれる。ここら辺はこれまでも散々描かれてきたが、改めて彼女が部活に全力なのだと感じさせるきっかけを与えている。また、鏡の前で制服を整える直前のカットで画面の端にファッション雑誌らしきものがあって、彼女も女子高生らしさがきちんとあるのだと感じ取れるのが良い(いや、ここら辺は京アニ伝統のクソダサファッションのせいなんですけども...)。そして、その直後に父親から「三年生だろ」という発言と、その少しあとの副顧問の「何者になりたいか」台詞から進路を絡めた側面が本作にあることがこの時点で感じ取れるのが良い。

また、タイトルコール直前の

「どこかふわふわとして落ち着かないまま、私の三年生は始まってしまった」

という久美子の台詞。ここでは、一年生の入学当初の久美子が描かれる。第1期第1話では高校生活に期待を膨らませ、浮かれている久美子が描かれていたのに対して、今回の久美子はかなり重々しい雰囲気を纏っている所から、彼女が迷っている事をより強調しているように思うし、ここら辺の”部長”という役職が本作の久美子にとって重要な課題であることが示唆されている。

低音組が揃った場面で奏が久美子に月永の緑に対する姿勢について問いかけているが、実際にその後にかなりの尺を割いてそこの背景が描かれているので、ここら辺も今後に向けた仕込みだったのだと、見返していて強く感じる。同時に、奏についてもこれまでも描かれてきてはいたが、より多くのカットで奏の久美子に対するな懐き具合が丁寧に描かれている。これも真由がこれからユーフォ組に入り久美子と様々な展開があり、その中で奏も久美子を想っていろいろと行動していたので、その仕込みとして、奏の久美子に対する懐きっぷりがよく描かれている。

麗奈についての描写だと、新入部員がたくさん入るか不安になっているところに息を勢いで答えてしまうところや、再びの「ライクでなくてラブだから」発言や、久美子とのタックルから今後にそういう麗奈の感情がもとで二人がぶつかり合うことが伺える(いや、まあ、これは私の妄想すぎる気も気もしますが...)。で、全国金を取りたいという久美子とのやり取りを金色の夕日が刺す会談で繰り広げられたが、ここら辺、二人の視点の差を描いてもいたのかなと今更ながらに感じたりもする。

低音パート脂肪志望の新入生のくだりでは、吉井さんに鈴木が反応しているところや、すずめの自己紹介のめんどくささや姉に腕に抱き着いているあたりも今後の仕込みだったのではと思えてくるがどうだったのだろうか。

さて、個人的に第一話の見せ場は二つあると思っていて、一つは部活の活動方針を決める場面。ここら辺は全体的な演出により、”みんなの思いが一つになっている”という良い場面だが、ここの裏で久美子が抱えているのは反対者が出ないようにという祈りだった。それは、彼女が一年生のころに経験した出来事が起因していることは映像としてもわかる。で、やはり重要なのはこの決をとる場面に黒江真由がいないことであろう。 ここの場面はここだけを切り取れば素晴らしい場面であるが、やはりその根底で描かれているのは久美子の北宇治の全員で全国金を目指したいというエゴだ。

この多数決の後に、第一話において初めて黒江真由がきちんと描かれる。ここが第一話における見せ場の二つめだと思っている。真由自体はこれより前にも少し描かれていたり、彼女の演奏が流れていた。しかし、黒江真由がきちんと描かれるのはこの多数決後が初めてである。ここで恐らく大切なのが、久美子にとって"あすか先輩を想起させる音色を奏でる人物"というのが出会う前から久美子には第一印象的なものとして刷り込まれている。この間の悪さと演奏の上手さなどが今後の久美子に大きな悩みの一つになることが提示されていたのではなかろうか。

6月18日

第二話は黒板に書かれた黒江真由の文字が写るカットから始まる。黒江真由の自己紹介を聞いた久美子の感想は「上手くて当然だった」であり、ここの台詞だけ少し力がこもって聞こえる。第一話で真由の演奏を聞いてあすかを想起した久美子や麗奈とのやり取りで彼女の演奏の実力が描かれれていたが、ここの場面でもう一度久美子の内心として描かれる。やはり、久美子にとってユーフォの演奏が上手いというのは心に刺さるところがあるのだろう。それに、持っているユーフォが銀色というのが、余計に彼女を刺激するのではないだろうか。

さて、真由がクラスメイトの名前を確認する中で、「よろしくね」と挨拶した後に描かれたのはつばめだった。この時点では、つばめがやや微妙な返事を介していたが、ここから真由の一番の味方になる事を知っていると、そこら辺の過程がかなり気になるところである。

個人的にやはり気になるのがこの後の真由の発言である。

「滝先生から黄前って人が部長だって聞いてて、会った瞬間にわかったの」

と言っている。直後の久美子の台詞にもあるように、真由は初対面で相手が久美子であると当てていた。ここら辺を、黒江真由の直観の鋭さとして捉える事もできるが、もう一段あるのではないかと第十一話視聴時点では思えてしまう。

さて、加えて興味深いのは、真由は吹奏楽部に入るのかと聞かれ「迷惑じゃなければ」と答えにくそうにしながら回答した。ここの場面の真由の微妙な表情もさることながら、つま先をくっ付ける仕草を入れている。サブタイトルが入った後に久美子に相談する真由が描かれるが、ここでも第一話に引き続き階段でのやり取りとなっている。この場面においては二人で階段を下っており、久美子が先に歩いているので、当然位置関係は真由が上、久美子が下となる。その後、久美子と同じ場所まで降りてきた真由は久美子に

「だって嫌じゃない?(中略)...あたし、皆と楽しく演奏したいから」

と告げてその場を去っていく。この時点から久美子と真由のかみ合わなさというか、久美子の本音を押し殺した様な姿勢と、真由の一歩引いた姿勢がお互いに見事に溝を生んでしまっている。

この後に麗奈のきちっとした姿勢と友人を心配する義井が写るが、これは次回に向けた伏線であることが伺える。さて、場面は移り、低音パートの新一年生を指導する葉月が描かれる。ここの場面やこの後の描写においても、すづめの意欲と成長の速さが描かれており、後のオーディションに絡んでくる事の伏線だったと今だとわかる。その後に、奏と真由の舌戦(奏の一方的なもの)が繰り広げられたが、ここでも足が写されており、奏と真由がどんな心境なのかが足の位置で示されている。その場に久美子も合流し、真由との会話に参加する。

「小学校の頃はママって呼ばれてました」

アツい。

さて、ここで印象的なのは久美子、奏、真由の三人をわざわざカメラに収めているところである。これは、作画量のカロリーコントロールの側面もあるのだろうが、この後にコンクールの自由曲の案として滝先生は三曲出しており、この後の久美子、麗奈、塚本の会話と位置関係を含めて三人でのやり取りであることが強調して描かれている。やはり、本作において3というのはかなり特別な意味を待っている事がこの時点でも伺える。この後のコンビニ前でのやり取りも踏まえると、塚本はきちんと麗奈に自分の意見を主張し、誤りを認めてもいるので、きちんと三角関係が良い方向に機能していることが感じ取れる(麗奈、ガチ勢過ぎて面白い笑)。

ここのコンクール曲の場面で重要な描写がもう一つある。それは、自由曲を久美子たちに相談しているというとことだ。なぜ相談したのかと久美子は滝先生に尋ねると、

「色々試してみたほうが良いかと思いまして」

と答えており、第十一話を踏まえると滝先生の迷いが個々の時点で描かれていたことが台詞や演技として伺える。と、同時に久美子が進路に悩んでいる描写も少し後に挟まれているのが印象的だ。

にしても、梨々花、りりりぃー先輩と呼ばれてるのか...良いね!!

さて、場面は体育館練習に移り、威嚇する月永が描かれるが、ポニテ真由にすべてを持っていかれる。やはり、女の子のポニテは偉大だなと痛感する素晴らしい場面である。ここでの真由と久美子は特に問題なく会話を行えており、そこに嫉妬したのか奏が参戦してくる。この場面くらい上手いやり取りが続けば良いのに...。後、今だと強く感じるのは奏が一方的に真由に噛みついているというところだろう。完全に久美子の忠犬 (自称) である。

その後に練習の遅れに苛立つ麗奈をいなし、思い込みで暴走しているすずめの相手をする久美子...お疲れ様である。ただ、ここら辺のすずめの行動力の大きさは良くも悪くもといった感じなので、非難しきれるところではない。

さて、今回の最大の見せ場である自由曲に何を選ぶのかと麗奈が久美子に問いかけ、答える場面。ここはシンプルに声優の演技と演出の勝利と言える、とにかく力強い映像に仕上がっている。北宇治が金に向かって邁進している事が、ハッキリと伝わってきてシンプルに心を揺さぶってくる。また、この後の麗奈の部員の前で話す台詞も、この後の展開を見た後では、不安要素を感じてしまうが、純粋に良い演説をしていると思う。

そして、定番の久美子による締めの台詞。

「次の曲が始まるのです」

この後の事を知ってると、これだけ希望に満ちているのも珍しい。

6月19日

第三話を見返した。この回、やはり印象的なのは前回で暴走していたすずめが、かなりの策略家だった事が明らかになった事だろう。某久美子が大好きなパイセンとメガネをかけているせいか、かなり重なって見えてしまうのは私が悪いのか、仕組まれたものなのか。

話を第三話の冒頭に戻そう。第三話は沙里が家を出る前に神社にお参りする所から始まる。浮かない顔をし、髪を耳にかけるが、かかりきらずにこぼれ落ちてしまう。この時に彼女は何をお祈りしていたのか、それは今回の話を最後まで見ればわかる仕組みになっており、第三話は沙里にフォーカスした回である事がここで提示される。

麗奈に進路を問われ、困る久美子。そこですかさず音大を勧めるあたり、流石麗奈である。割とストレートに久美子に音楽続けて欲しいというあたり、流石麗奈である(二回目)。

そして、麗奈が部室に入るのと入れ替わりで登場するすずめ&沙里。すずめの解説や、沙里の台詞から分かる様に、沙里は本気で全国金を目指している事が分かる。また、一年生のリーダーとすずめに言われている事から、周囲の面倒見が良いことも伺える。そして、彼女の揺れる瞳のアップが写る。麗奈を見つめる沙里の目は揺れており、ただならる何かを麗奈の姿から感じ取っている事が伺える。

サブタイトル明けにはサンフェスに向けた練習を行っている場面になる。ここで、麗奈、久美子、塚本のそれぞれのスタンスが幹部ノートを通じて描かれており、塚本の考えにツンツンした返答をする久美子。そりゃ、この後にすずめに「2人は付き合ってるんですか?」と世間話のネタとして使われるわけですわ。

話を戻そう。ここの場面の練習、やはり重要なのは前回に引き続き、麗奈のストイックな一面がハッキリと描かれる。未経験者とかはやはり中々練習についていけず、泣き出す人まで現れる。この事に対して、気まずさというか、何かを感じている一年生達と、暗い顔をした沙里が再び描かれる。

さて、サンフェス衣装お披露目会がスタートし、麗奈のバチバチに決まった感じがお披露目された後に、ダークホース黒江真由のダイナマイトな一撃が放たれ、完全敗北をする黄前久美子。

大丈夫、成長しているぞ!!

久美子をキルしてスッキリしているのか(絶対に私の思い込み)、すぐにその場を立ち去る真由。真由の完全勝利である。

そして、始まるサファイア緑の動物診断。奏の「ニャン」が聞けて、視聴者の9割はニヤけていると断言できる。そして、白蛇と言われて固まってしまう麗奈。そして、緑は真由の事をクラゲと評していたが、回を重ねる毎に物凄く的を得た発言である事がわかる。

そして、今年も先に帰る帰らない論争に巻き込まれる久美子パイセン。ガチでおいたわしや...。そこを、なんとかであるが丸め込んでいるあたり、久美子も部長なんだなぁとしみじみと思う。さて、その後に、帰宅する沙里達の後ろ姿を見つける。一年生が「いつも残っているのに」と言及しているところからも、沙里の真面目さと本気度合いが伝わってくる。そして、帰宅する姿に何か不安を感じる久美子。

次の日、再び朝一番に来る久美子と麗奈。滝先生の苦労を見て、つい「大人になるの大変そう」と漏らす久美子。失言王、ここにあり。滝先生の青さというか、若さが感じ取れる会話であると共に久美子が将来を全く想像できてない事が伺える。久美子達の次に部室に到着した沙里とすずめ。沙里のうっかりの悩みというか、本音を吐露してしまうこの場面、彼女が精神的に追い込まれている事が強く感じ取れる。ここまで短くも何度も描いていたので、視聴者視点だと、より強く彼女の追い込まれ具合を感じ取る事ができる様になっている。ここで、久美子は驚いた顔をしているが、確かにここまで久美子レーダーにはほとんど引っかかっていないので、視聴者的な「しっかりしろよ久美子!」となるかもしれないが、気づかないのはしょうがない。

先ほども述べた様に、今回の話ではすずめの立ち回りの上手さが描かれる。ここですずめに告げられた集団退部の可能性。久美子は一年生の頃に、集団退部が残す傷跡の大きさをよく知っており、部長という立場も相まって、重凄い重みを持っているのだろう。ここら辺からも久美子が、麗奈と部員に板挟みになっている様が感じ取れる。

「みんな上手くなりたいんだよね」

麗奈の厳しい言葉にめげずに練習している後輩を見て、幹部ノートに書いた自分の言葉を見つめ直す。しかし、4人が休んでしまい、大慌てな二年生メンバー達。今回の話を最後まで見ると、すずめに見事に踊らされていると分かる場面だが、初見ではここのさつき達の心配し具合は納得でしかないだろう。

さて、今回で個人的に一番印象深いのは、終盤の久美子の場面でなく、すずめ達の様子を見ると言い出した後の真由の反応だ。黒江真由の頭を画面の手前に置き、他の吹部メンバーとの距離感を煽る演出が入り、その後の少し自信あり気に「辞める事は良い事だ」と言う真由。その後に教室にいる彼女達を横から捉えたカットが映され、ここでも真由と他のメンバー達に大きな思考の乖離が感じ取れる。ここですかさず真由に皮肉たっぷりに返すあたり、流石奏である。その発言に"ごめんね"と謝る真由。ここで、京アニお家芸(お家芸と言えるほどかはちょっとわからないけど)、髪を触る事による深層心理の描写が挟まり、真由が本音を隠しているであろう事が伺える。さて、ここの場面、真由が異質な発言をしているをしている様に感じるが、発言内容自体は悪いものではない。また、真由に悪意が無かったであろう事も映像から伺える(これで悪意あったら、あんたは女優になった方が良い)。ここら辺、やはり,北宇治"の空気に対する異質さであり、北宇治の空気をきちんと理解できてはないが故の発言であろうことは押さえておくべきだろう。

沙里のお見舞いに来た久美子軍団。他の人に比べて久美子が色々と必死と言うか、気を遣っている所から、久美子がやれる限り精一杯部長をやっている事が感じ取れる。そして、久美子と沙里のきちんとしたやり取りがここの場面では描かれる。2人の会話を夕陽が包み込んでいる所から、この経験も北宇治が金に向かって進んでいる事の証明なのだと思いたい。ここで、学校で練習している生徒達が一瞬映像に挟まるっており、沙里の気遣いの影響もあるのだろうが、全員が精一杯頑張っている事が伝わってくる。ここの場面、やはり大切なのは描かれてる限りでは一番苦しんでいるのは沙里だという事だろう。沙里は努力家であり、真面目なキャラとして描かれている。しかし、その真面目さが裏目に出てしまい、周囲のサポートする中で、他人の気持ちも背負ってしまった。ただ、学校で練習している生徒のカットが写った事で、彼女のサポートはきちんと他人には良い影響を与えてる事が伺えるので、すずめの言う通り、彼女は部長の素質があるのかもしれない。

そして、沙里の思いを受け止めた久美子もまた、本音を沙里に告げる。ここで、現時点での部長としての久美子のスタンスが同時に描かれており、初見じゃないからこそ、真由との溝が余計浮き彫りになった様に感じる。

久美子は全てを受け止めると言っていたが、彼女も「解決になってないよね」と言っていることから、それがベストではない事を理解してるのだろう。それでも、久美子はこの方法がベターだと思っている。それは全員が同じ方向を向いていると考えてるからであって、ここでもより、真由と久美子の溝が今見返すと感じられる。

完全復活した沙里は、久美子達よりも早くに部室に来ており、そこには彼女が悩みを吹っ切れて、部活に全力になれている事が伝わる。きっと、登校前に神社でお祈りするのは辞めたのだろうね。

6月22日

第四話は求が家族とお墓参りをするところから始まる。

ここ、以前見た際には何故か気づかなったのですが、音楽をお墓の前で流してたんですね。BGMだと思ってた(間抜け)。さて、ここの場面では求だけがかなり後ろに控えており、足元を写すカットからも求とそれ以外の人の間に距離感があることが憂いかがわかる。その後にも、月永と呼ばれたことに激昂する求が描かれ、今回は求にフォーカスした回なのだとよくわかる。緑の気遣いでもあるが、いつもの緑らしくない弱気な姿勢だなと感じるし、実際にその点についてはこの後に言及される。

駅で求の事について話し始める久美子たち。ここで、求の祖父の説明などが入る。ここの場面では、緑がいかに求に気を使っているのかがわかる。

さて、場面はサンフェス当日に移る。ここで、久しぶりの立華高校と梓が描かれる。立華の熱いコールが描かれ、その後に久美子の気の抜けた「北宇治ふぁいと~」の台詞が入る。なんか、この少し抜けた感じみたいなのが北宇治らしさに思えるのは私だけだろうか。

そして、その後に黒江ママの素晴らしきママ力が発揮される。さすが黒江先輩というかなんというか。この点については今後も何度か言及することになりそうだが、真由自身はかなり積極的に他者との関わりを持とうとしている。真由は北宇治側に歩み寄る努力し、他者との交流に喜びを見出してもいる。彼女は重苦しい空気になる事を望んでいないことがよくわかる(それを望んでいる人間などいないだろうが、彼女の場合はその傾向が人より強いと思う)。これまでの衝突や今後の衝突は、真由にとって譲れないアイデンティが原因なのだろう。

サンフェス終了後、麗奈はイケメンすぎるフォローを後輩に入れている。これまで、厳しかったからこそ、この言葉は凄く染みると思う。この後の久美子の発言から、考えるに久美子が何かしら言ってはいたのだろうが、何よりも麗奈のまっすぐな性格を知っている視聴者的にはこの発言に嘘はないことがハッキリと感じ取れるのが良い。。

続けて、久美子は麗奈をべた褒めする(あすか先輩を引き合いに出すのは、久美子的には最上級のほめ方な気がする)。ここの場面で改めて麗奈が周囲に対してだけでなく、自分にもストイックであることが伺えるし、部活に本気である人ほど、こんな先輩がいたらそりゃ、「麗奈先輩まじエンジェル~」というよね。

さて、龍聖の人間に話しかけにいく久美子と緑。本作の劇中では求の祖父に対する直接的な描写はほぼ皆無だが、他者からの評価や数少ない場面から、決して悪意を持った人間ではなく、純粋に尊敬に値する人物であることが伺える。そして、求に関する新たな事実が明かされ、Aパートは終わる。

久美子は求が祖父とのいざこざでこのような事態になっていると考えていた事を恥じていたが、劇中でのこれまでの描写からそのような推測が立つのは至極当たり前だと思うし、私もそう考えていた。ここで、求に対する姿勢を反省する緑が描かれる。緑はここで求と向かい合うことを久美子に宣言し、それに安堵する久美子。この後の彼女たちの台詞にも描かれているように、彼女たちは最高学年として色々と考えているんだなと、再認識できる場面でした。

場面は移り、求の肩を持つ久美子に怒る奏が描かれる。それに対して、真由の強力な一撃がお見舞いされる。ここの真由の動き、ガチで可愛いと思うだけどほかの人はどうなんだろうか。これに対する奏の反応も可愛い。そして、真由のこの発言がこの状況を収めるための行動だったと、久美子とのやり取りでわかる。ここの場面からも、真由の協調性的なものが感じ取れる。

やはり、真由はママなのだ。

求から何も話してもらえない緑と対照的に、滝先生から求の話を聞かされる久美子。ここら辺、この後にも描写があるように久美子の部長という立場の特別さというか、重さが描かれている。実際に、その後に求は久美子に緑がお願いしても明かさなかったことを話している。

ここで、明かされる求家の事情。彼女の姉がどのような経験の果てに音楽に対する熱量を失い、亡くなったのか、短い尺の中でイスなどを使った演出と、求の台詞に乗った演技から伝わってくる。続けて、なぜ祖父のもとを離れて北宇治に来たのか、なぜ緑にあそこまで懐いているのかが明かされる。

ここの求の姉に関する話、内容を聞いていると一年生の頃の麗奈のソロのくだりを思い出す。加えて、求は楽しい吹奏楽をやるために北宇治に来たと言っており、それが達成されていることが彼の台詞から感じ取れる。ここら辺から、実力主義の良さみたいなものが間接的に描かれているように感じるのは私だけだろうか。

「気持ちは演奏に出るよ」

久美子のこの台詞、今後の久美子のおかれていく状況を知っていると、彼女自身に帰ってきたように感じられ、印象的だ。

そして、第四話は緑と一緒に演奏をしながら幕を閉じる。ここで二人が演奏しているのは『愛の挨拶』であり、冒頭のお墓参りの際にも流れていた曲である。ここら辺、音楽に造詣の深い方なら、何か見出すこともできるのだろうが、私はそこらへんがからっきしなので、曲の背景を調べて「ふーん」となることしかできなかった。悔しいね。

6月24日

第五話を見返した。この回は、終盤の演出で騙されそうになるが、箸休め&仕込みの側面が強く出ていた回であったように個人的には思う。

部活から帰宅してきた久美子が、家に新しくおかれた二匹の金魚を見て父にこれは何なのかと尋ねるところか第五話は始まる。ここのやり取りで印象深いのは、姉に相談してみろという提案だ。それは、一年生編でゴタゴタがあったからより強く感じてしまうだけなのだろうが、やはり、先に苦労をした人間というのは、後進からすれば良き相談相手になりうる。家族という関係性の中でも、姉妹や兄弟の関係性は親子とはまた違った距離感があるし、何よりも、年が近い分、悩みも共有しやすい(まあ、私は長男なので、妹のとかの年下視点の気持ちは推察でしかないですが…)。短い場面だが、こういう家族間のやり取りをきちんと、何回も挟んでくるのは流石といったところである。

タイトル明け、進路の話を久美子は吹部の人間と話している。アンコン編から登場したつばめが、ここで会話に交じっているのは印象的だ。帰りの電車では熱烈に音大をアピールする麗奈が見られる。ここら辺の押しの強さがなぜなのかは、今回の話を最後まで見れば明らかだろう。後、これは私の記憶力の無さが原因なだけな気もするが、ユーフォ三期は改札付近の描写が多いのではないだろうか。こないだの求とのくだりとかでも描かれたいましたし。この点は、一期や二期をを見返す際には気にしてみることにしよう。

さて、その後にユーフォ三期が波乱に満ちた物語になった原因であるオーディションに関する話合いが描かれる。ここで、見返して「うわ~」となったのが、真由の出身校の形式を参考にしているところ。幹部視点では、この制度はかなり好評だが、その制度を経験してきた真由がこの場にいたら何を言っただろうか。第十二話を視聴した後だと非常に気になってしまうし、この後の彼女の発言を考えると、「やめた方が良いんじゃないかな」くらいは言いそう。この後に滝先生は久美子たちの決断に賛成を示し、「あなた方の負担も覚悟がいりますよ」と幹部たちに告げる。いや、ほんとに覚悟のいる事態になったなと私は強く思いますね笑。

その決断を部員たちに伝えると、混乱が走りますが、奏の質問と反応、それに乗っかる麗奈の発言で上手く収めることに成功している。ここの奏の行動、わだとだと私は思うのだが、ほかの人はどう感じたのだろうが。私の中の奏ちゃん像は割とこういうことを平気でやる気がする。で、重要なのはこの後の真由の発言。

「このオーディション、私もやるんですか」

この質問の時点では、真由の制服は清良女子のままなので、彼女の異質さがより浮き彫りになる。改めて思うけど、真由って無害そうに見えて、濁すものの発言はしており、緑の動物診断がほんとの的を得ているなと改めて感じる。さて、第三話を見返した際に言及した髪の毛を触る話。この場面でも真由は髪を触っており、彼女の表情は納得していないところか、何か言いたいことを押し殺していることが伺える。本作は、黄金の夕日が印象深いが、それと同じくらいにこのジメジメした暗い描写も印象的だよね。そして、その気まずい空気感を残したまま場面は移り変わる。

ここでは久美子、奏、真由の三人の会話が描かれる。この時の座席の配置の仕方は三角形になっている。ここでは、久美子&奏/真由という分断が生じており、それは真由を説得する久美子の発言に同意する奏の表情から読み取れる。久美子は真由に、「北宇治の部員でしょ」とか「それは一緒だよ、北宇治でも」というが真由の北宇治に対する理解はこの時点ではそこまで高くないだろうし、後の部員の描写を見れば、これは久美子たちの過信であることが理解できる。とはいえ、別にこの会話において、誰が悪いなどというのは存在しない。それぞれが、これまでに経験してきたことの違いが大きく表れているだけである。

あとは、さすがにこれは深読みが過ぎるのかもしれないが、真由は久美子に対して、よく目を伏せる描写があるように思う。これは、第十二話で描かれたことが起因しているのではないだろうか。久美子にかつての友の姿を見てしまうからこそ、久美子の言葉を信じきれないのではないかと思ってしまう。

真由が立ち去った後に、麗奈と吹くのは久美子だろうと奏は言い、気丈に久美子は振る舞うが、内心は嬉しいんだろなということが伺える。ただ、ここでもそうだが、久美子は徹底して「上手い子が吹く」ということを言っており、それが今後のあのような形の収束していく事を知っていると、ある種の言霊のように感じてしまう。

さて、久美子はいつもの定位置に移動し、移動中に出会った塚本と話しているが、ここで重要なのは久美子のテリトリーである影によって生み出された三角ゾーンだろう。ここを背景としたやり取りは、これまでの描かれてきた。ただ、今期では、久美子の心理的な領域を可視化したものとしても描写されている。そして、そこに塚本は容易に踏み込めている。その点からも、塚本にどれだけ気を許しているのかが伺える(いや、まあ、こいつら付き合ってたし、別れた理由も別に喧嘩したとか、そういうのじゃないですからね…)。ただ、ここで塚本の描写が入ることで、この後に現れる真由との描写より含みが生まれる。

真由は、久美子のテリトリーに入り、声をかける。たまたまタイミングが悪く、声をかけられた事に驚いてしまう久美子。これだけなら、特に変な描写ではないが、この後に久美子は日陰を出ている。そして、真由の誘いを嘘をついて断ってしまう。ここの場面、久美子としては麗奈と行くつもりまんまんだろうから、断るという選択肢をしたこと自体はおかしなことではない。でも、それだけなら、もっと胸を張って断ってもよいはずだ。けど、真由と久美子の間には気まずい空気が流れてしまう。この久美子の真由に対する警戒感というか、苦手意識が映像を構成する全ての要素から感じ取れる。そして、気まずい空気に気を使って真由は楽譜の話をしだす。ここで、楽譜をみる久美子の視線は揺れており、先ほどの発言の動揺を引きずっていることがわかる。加えて、自分の思いがつづられた楽譜をみられたというのが、それに追い打ちをかけているのだろう。そして、真由の提案で久美子は二人で演奏をする。この後に久美子は、真由の演奏のレベルの高さを褒めており(褒めるとう表現は正しくないが)、改めて真由のレベルの高さを感じ取れる形になっている。

そこに現れれた正妻、麗奈。嫉妬満載といった感じで少し距離を開けてるのがほほえましい。そして、集団で行くのは嫌だという麗奈。ここで変な探り合い始まるの、まじで、まじで。で、痺れを切らしたのか麗奈が久美子を家に誘う。ちょっと響きがえっちだな。そして、それに目を輝かせる久美子。この提案が想定外であり、同時にものすごくうれしいものだと伝わってくる。

さて、Bパートは久美子と副顧問の二者面談からはじまる。ここの場面で印象的な台詞と言えば副顧問の

「迷いを怠けの言い訳にするなよ」

だろう。この台詞は中々に私にも刺さるのだが、これは割と共感してもらえるのではなかろうか。さて、その後に副顧問になぜ先生になったのかと問い、その平凡な回答に驚く久美子。ここら辺、久美子がなかなか進路を選べない大きな要因をよく描いているように思う。副顧問も言っていたように、久美子は未来のビジョンが描けない。それは、決して悪いことではないが、少なくとも久美子が望むような特別なあり方とはかけ離れたものだろう。だからこそ、久美子は教師になった理由を聞いて強く驚いたのだろう。

この人が、そんな普通な理由で教師になったんだ

くらいは思っていたのではないだろうか。けれど、久美子はここで一つ知ることになる。特別な理由などなくとも、胸を張れる存在にはなれるのだと。加えて、意味深に映される輪に入れないマグネット。会話の流れとしては、久美子が既に周囲に流される存在ではなく、一人で悩み抜いていることをより強調しているのだろう。けれど、この回の真由の馴染めなさっぷりを見ていると、真由が孤立している状況も重ねて描いているように見えてしまう。まあ、これは深読みのし過ぎなのだろう。

さて、疲れ果てた久美子が教室に戻ると、お祭りに誘われる。ここで、ナチュラルに真由をママ先輩呼びしてるのはナイスすぎる。おれも呼びたい。で、ここの場面では真由のキーアイテムの一つであるカメラが握られている。真由はここで

「写真好きなんだ」

と言っており、第十二話まで見た後だといろいろと感じるものがある。やはり、この写真という世界を特定の時間のまま止めて置ける道具は、彼女にとってものすごく大きな意味を持っているのだろう。そして、月永呼びしても華麗に求に受け流される奏ちゃん。マジで負けヒロインというか、わからせられまくってる。メスガキ、完敗である。

場面は少しながれ、麗奈と合流して麗奈ハウスに到着する久美子。麗奈ハウスのデカさに私も思わず横転。お金持ち過ぎる…。そして、登場する麗奈ママ。ママライブが始まってしまう。ここで、麗奈ママにあって緊張する久美子可愛いよね。この回のエンドカードも激熱でした。

再び場面は変わり、今度はお祭りを楽しんでいる北宇治メンバーが描かれる。その中で、写真係を務めるママ先輩と緑先輩に視線を引っ張られる求。集合写真を撮る場面で、しれっと葉月と塚本の会話が描かれる。別に、何か重たい展開があったわけではないが、二人とも成長したなと感じる良い場面な気がする。さて、ここの写真を撮る場面で印象的なのは求の緑に対する行動と視線だろう。

緑のそばにより、それを少しうれしそうに横から見上げる緑。対して、何かを意識するように前を向いたままの求。そして、緑の斜め後ろにつくと緑を含みのある表情を浮かべながら見つめる求。ここの場面、どう見るか非常に難しいと思う。これは真面目な話として、ここの場面での緑のうなじは妙に色気がある。そして、その視点の主はカメラではなく求だ。そう考えると、求は緑に性欲的な感情を抱いているように思える。しかし、これまでは求は純粋に緑を先輩として尊敬していたことが伺える。ただ、それは緑を通して姉を見ていたからではないだろうか。血縁関係を緑の中に見たいたからこそ、これまでは緑を一人の女性として意識してこなかった。しかし、前回で求は緑と演奏することで、自らの過去と一つの決着をつけた。緑の中の姉を弔ったと言ってもいい。そう考えると、求が緑を一人の異性として意識するのもおかしな話ではないように思う。とはいえ、ここの場面は姉のあり得たかもしれない姿を緑の中に見ている場面と取ることも可能だろう。とにかく、その求の心情の緩やかな変化や絶妙な心情を感じ取れる素晴らしい一場面だったと私は思う。

再び場面は変わり、こんどは麗奈ハウスで食後の紅茶を楽しむ二人が描かれる。ここの場面でもそうだが、きちんとキャラごとの性格というか、育ちを反映した動きを描いているの偉すぎる。直近だとアニメではないが『鎌倉殿の13人』くらいだろう、そういう描写を徹底していたのは。さて、麗奈に二者面談の事を聞かれ、答える久美子。ここでも久美子に音大を進める麗奈。ここで、久美子は「正直、音大はないかなって思ってる」と答える。続けて、彼女は言いう。

「大人になっても演奏を続けていたいって人が行くべきところだと思うから」

麗奈はそれの言葉を否定する。しかし、久美子は少なくとも今のままで行くのは嫌だという。ここに、第十二話での久美子の話が詰まっているように思う。久美子にとって、吹奏楽はやはり部活なのだ。ある時期の、特別な期間でのみのお祭りの様なものでしかない。それは、決して悪いことではない。むしろ、麗奈の様なタイプは稀なのだ。みぞれとはまた違った特別さ。久美子は決してそこには届かない。それは、彼女が自分で認識しているように、平凡な人間だから。それは、この後の久美子の台詞にもよく表れている。ただ、ここで注意すべきは部活というものを軽んじるべきでは無い。高校生という時期に、集団で何かに目標を持って全力で取り組む。その行為の尊さを、ぜひとも意識してほしい。

麗奈は音楽ではダメなのかと問う。その時、久美子は顔を伏せて考えている。ここで重要なのは、テーブルにあるカップが少し離れたところにある事だろう。本作は、特に三期は鏡の描写を大切にしている節がある。鏡は、自分を映す。だからこそ、そこに自分の探しているものを見つけることも出kる。もしくは、自身の迷いを鏡を通して描くこともある。そして、この場面では映すとういうことが可能な道具を同じが描く内に配置しながら、演出に用いない。これは、彼女が少なくとも音楽は無いと強く感じていることの証なのだと私には思える。

そして、その久美子の心情に気づけないのか、もしくは気づいたからこそなのか、麗奈は久美子に一緒に吹こうと提案する。ここの場面、真由と二人で演奏したことを根に持っているの凄く良い。やはり浮気は許さないのだ!!

さて、地下室に移動した二人は演奏をするが、ここの場面で印象的なのは久美子が持っているユーフォが銀なのと、久美子の演奏を麗奈は「好き」と表現しているところだろう。第一話で帰り道に真由の演奏を聞いた時点では「久美子の方が上手い」と言っていたのに、ここでは「好き」といっている。この言葉の変化は麗奈はわだとやっているのか、どうなのか。そんな二人の少し寂しい演奏の背景として、お祭りでの一幕が描かれる。この短い中で各々をきちんと描写しているのが、さすが京アニというかなんというか。そして、何よりも注目したいのがさつき達と一瞬だけ交わり、すぐに分かれた香織達。ここら辺に、部活の世代が少し開いた先輩後輩のリアルさを私は感じたし、何よりも、本作の物語において、卒業生は舞台を降りた人たちなのだということが良く描かれている。また、一人カメラを覗く真由も描かれる。こんなにも北宇治の人たちが近くにいるのに、彼女は独りぼっち。凄く、胸が締め付けられる。

麗奈は全国で久美子とソリを吹きたいと告げる。表情を映さなくとも、映さないからこそ伝わってくる彼女たちの願い。それが、美しくもつらい。

そして、散歩する麗奈と久美子。ここで、麗奈の脆さが描かれる。ここの場面では一本道が描かれており、二人の道が、本当の意味で分かれる事は無いんだろうなと感じさせる。あと、二人のこういう弱さというか、秘めた感情を爆発させる場面を京アニさんは宝石みたいに描くよね。

凄く、好き。

三匹の金魚と、三つの席を描いて、第五話は幕を閉じる。



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