中国語学習における大きな難関のひとつである補語。ひとくちに補語といってもその種類や用法は幅広く、一般的な理論というものがあまり存在しない領域なので、ひとつひとつ覚えていくしかありません。。今回はその中で日常生活で使用頻度の高い「不去(búqù)」「不来(bùlái)」(方向補語)について詳しく解説していきます。
「-不去」の一般的な用法と例文
動詞+「不去」の意義は非常に明確で、主語となる人の動作が相手方向へ「行く」イメージを持ちながら、結果的に動作「できない」という意味を形成するわけです。
つまり、使う動詞は基本的に「移動」を伴うものになりますが、使用する動詞のほとんどが「进」と「回」になります。ちなみに「できる」という肯定形の場合には、「-得去」が使われます。
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「-不来」の一般的な用法と例文
一方で、動詞+「不来」は話し手のほうに「来る」という方向を意識した用法になりますが、話し手自身が動作を担わないケースは非常に多く、特に別の人を主語として動作を表す際においても頻繁に使われます。
動作の「不調和」を示す「-不来」の用法
また、動詞+「不来」には方向を意識しない使い方もあり、動作が「噛み合わない」という意味を成す場合もあります。
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「-不去」「-不来」に関する疑問
助動詞との比較
これまで、「-不去」「-不来」の用法について述べてきましたが、助動詞(例:「能」「会」など)の否定形と比較した場合、その違いはどこにあるのでしょう。
一般的に「-不去」「-不来」を使った言い回しは動作が「できない」ことを意味するものの、その理由や背景を考慮しない言い方になります。「能」「会」の場合、「できない」物理的な制限や制約が明確に存在するため、文章上でもその使い分けはそれほど難しくはないのです。
類似の補語
一般会話でも使われる汎用否定形としては、動詞+「不了」もかなりメジャーな表現です。しかし、「-不去」「-不来」と比べると使い方のイメージがつきにくいかもしれません。
実は、この違いは非常に分かりやすく、動詞で表す動作を「完了」できないことを指します。「-不去」「-不来」が意味するのは、動作そのものが「不可能である」ことを指すことから、厳密にはニュアンスが少し異なっていることが分かります。
また類似の表現に「-不到」があります。こちらは文字通り「到達できない」という意味で「走不到」のように使われたり、「達成できない」という意味で「做不到」「办得到」のように使われたりします。また他にも定型表現で「想不到」(思いつかない)「意料不到」(予想できない)などの用法があります。
このようにそれぞれの補語の使い分けはひとくちに説明できるものではありません。しかし普段から意識することで少しずつ感覚がつかめてきますので、地道にがんばっていきましょう。
まとめ
「-不去」「-不来」は、とっさの会話でも自分の意志をスマートに伝えるのに相応しい用法です。自分の現在いる場所を問わず、遭遇するあらゆる状況で使う可能性が高いことから、普段から会話でシミュレーションをしておくことを強くおすすめします。