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"医食同源"を意識したヘルシー食生活!薬膳の基礎知識を徹底解説!

東洋医学においては「医食同源」と呼ばれる非常に重要な概念があります。健康というものは普段の食生活に基づくという考え方です。

これを体現した料理形式は「薬膳」と呼ばれ、中華圏を中心に広く健康維持に活用されていますが、日本ではまだまだ身近な存在とは言えません。ここでは、医食同源と薬膳について、日本での現状も含めてさまざまな視点で詳しく学んでみましょう。

医食同源を基にする食生活「薬膳」のメリット

自分の体に合った食生活を構築できる

現代では各栄養素がどのような働きがあるのかをすでに体系づけていることもあり、それらを含む食物を使って食事のバランスを整えること自体を重視していますが、薬膳ではそれ以外に、体質に合わせたメニューのカスタマイズが考慮されます。

つまり、同じ栄養素の含まれる食物を同じ量食べたとしても、身体への影響が人それぞれ異なるのは、体質が人それぞれ異なっていることの表れという視点が置かれ、食事のメニューも食材の組み合わせや食べ方までを大きく重視するわけです。

これにより、薬膳には自分の健康状態を考慮した食生活を細かく構築できるメリットがあり、非常に専門性の高い食事概念だと捉えることができるでしょう。

薬膳は体質に合わせて調理

長期的に健康な体を作ることができる

また、薬膳の効能によって健康状態が長期的に良好な状態になっていくことも大きなメリットです。現代人は、体の症状が悪化してから病院に行き、主に薬を服用して健康状態を取り戻すことに慣れています。

しかし、人間の体は、程度の差はあっても薬を飲めば飲むほど効果が得にくくなりますので、西洋薬中心の健康維持では長期的な健康維持には限界があるのです。


そのため、いかに西洋薬を飲まずに長期的に健康を維持していくかという視点であれば、食生活から見直していくことが必須となり、その場合に薬膳が最適な方法となります。もちろん、健康維持の段階で体質も徐々に変化していくことも十分に考えられますし、その場合でも自分に合ったメニューを調整できる薬膳は欠かせない存在と言えるでしょう。

薬膳に使われるさまざまな食材

医食同源の考え方から言えば、どんな食材にも薬用性があるわけですが、その中でも特に薬膳に使われるメジャーな食材をここでは紹介しましょう。

薬膳の食材は無限

田七(tiánqī):サンシチニンジン
高丽参(gāolíshēn):チョウセンニンジン
灵芝(língzhī):レイシ
枸杞(gǒuqǐ):クコの実
●    爽やかな甘みがあることから、エキスに活用されることもあります。

陈皮(chénpí):乾燥させたミカンの皮
生姜(shēngjiāng):ショウガ
草果(cǎoguǒ):ソウカ(ショウガの一種)
黄芪(huángqí):オウギ
丁香(dīngxiāng):チョウジ
肉桂(ròuguì):シナモン
山楂(shānzhā):サンザシ
红枣(hóngzǎo):ナツメ
胡桃(hútáo):クルミ

卷心菜(juǎnxīncài):キャベツ
●     高丽菜(gāolícài)と呼ばれることもあります。

芹菜(qíncài):セロリ
大葱(dàcōng):長ネギ
韭菜(jiǔcài):ニラ
南瓜(nánguā):カボチャ
牛蒡(niúbàng):ゴボウ
芝麻(zhīma):ゴマ
●    通常は、黑芝麻(hēizhīma):黒ゴマが活用されることが多いです。

鸡肉(jīròu):鶏肉
●    特に、乌骨鸡(wūgǔjī):烏骨鶏(うこっけい)は薬膳ではお馴染みの食材です。

鸡肝(jīgān):鶏の肝臓(レバー)
鲨鱼鳍(shāyúqí):フカヒレ
甲鱼(jiǎyú):スッポン
●    正式には、(biē)と言いますが、日常会話ではあまり使われません。

現代日本人の薬膳に対する認識と現状

漢方薬配合による料理が主流

さて、日本人にとって薬膳とはどのようなものであるかを考えてみると、本来の医食同源によるものとは異なる方向に発展してきたと言えます。

基本的に日本的な薬膳は、料理に漢方生薬を加えて調理する流れがメインになっているため、日本人は薬膳と耳にするだけでも、「特殊な味のする料理」とか「薬用人参っぽい風味」であるなどの印象固定がなされてしまった可能性もあるかもしれません。

日本独自の薬膳の美味しさ

ただ、日本人向けに薬膳が独自に発展してきたことは決して悪い傾向ではなく、日本人が好む美味しさとの調和や融合を考慮したメニューも専門レストランを中心に数多く提供されているのも事実です。これにより、普段私たちが食べている和食を主体とした薬膳も増えてきているので、今後は日本人にとってより興味深い存在になっていくことでしょう。

食材薬用性への対応の難しさ

さて、日本で独自の形で薬膳が発展していった背景には、中華料理を含めた料理人が食材に本来含まれる薬用性に対応するのが難しかったことが1つの大きな要因になっているとも言えます。そのため、料理そのものに生薬を加えることで、食としての健康価値を高めるという流れにならざるを得なかったという見方も存在しているのです。

それでも、最近では医食同源としての薬膳が再認識されている現状もあって、「薬膳コーディネーター」や「中医薬膳師」などの認定資格も存在しており、調理師以外にも健康に携わるすべての方が本来の薬膳に関する知識を蓄積できる環境が日本にも徐々に整ってきています。

さらに、すでに述べたように、薬膳和食の概念も徐々に認識され始めている状況を見れば、医食同源としての和食が中国人にも受け入れられる可能性もあるでしょう。

まとめ

薬膳と言う言葉は80年代にできたもので、実は比較的新しい言葉なのです。それまで、医食同源という考え方は長く存在していたものの、日本人にとっては馴染みのない概念だったわけです。しかし、薬膳という言葉が生まれたことで、その医食同源の概念が数十年で日本に急速に広まったと言えるのかもしれません。

また、日本人で手軽に美味しく楽しめる薬膳メニューと言えば、薬膳火鍋や薬膳スープが代表的です。特に、基本の味付けは上で紹介した食材が基になっていることも多く、できるだけ熱い状態で食べるのがおすすめ。これにより、発汗作用も生まれ、長期的な健康維持に必要な代謝をスムーズに取り戻しやすくなるでしょう。