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中国各地の銘酒総まとめ!味わいや生産地の環境もあわせて紹介!

広大な土地を誇る中国には各地方に数えきれないほどの銘酒が存在しています。一般的に中国のお酒は、蒸留酒(中国語:白酒(báijiǔ))と醸造酒(中国語:黄酒(huángjiǔ))に大きく分けられています。アルコールが大好きな日本人なら、現地のさまざまな銘酒を一度は試してみたいですね。

またすでに中国のお酒を嗜まれている方であれば、お気に入りのお酒についてもっと知りたいと思うこともあるかもしれません。ここでは、酒造で有名な地域の銘酒を紹介しながら、その産地の風土についてもチェックしていきましょう。

日本人におすすめの銘酒

貴州省

茅台酒(máotáijiǔ)

世界的にも特に知名度の高い茅台酒。それ故に、中国の『国酒』とも呼ばれることもあり、仕込み始めてから発酵や蒸留を何度も経ることから、実際に飲めるようになるまで5年もの歳月を費やすと言われています。お酒の味わいはもちろん、その独特な香りも茅台酒ファンには評価の高い部分でしょう。

中国酒の代名詞 Wikipediaより

中国貴州省の仁懐市茅台鎮の地名から名づけられたこの銘酒は、この地方で収穫される良質な高粱(モロコシ)を原料とし、さらに酒造に最適な高温多湿な環境で製造され続けています。

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董酒(dǒngjiǔ)

そして、もう1つの中国貴州省産、幾度も栄誉ある賞を受けたのが董酒です。貴州省の遵義市董公寺鎮を中心とする地域で製造されており、酒はきらびやかな透明感を持ちながら、優雅な香りと芳醇で濃厚な味わいが有名となっています。

遵義市は山々によって分かれた河川の支流が多く存在する場所で、抜群の水資源の豊富さこそがこの銘酒を生み出せる秘密だと言えるでしょう。

四川省

五粮液(wǔliángyè)

中国でも特にさまざまな酒が造られる四川省。5つの糧(小麦、米、とうもろこし、高粱、もち米)をミックスして仕込まれた五糧液は、ご当地で最も有名な蒸留酒です。

広大な長江が通り、いくつもの支流が存在する四川省宜賓市で生産される逸品であり、非常に高い品質基準を持っていることでも知られ、これが海外の多くの国で評価されている大きな理由となっています。

剑南春(jiànnánchūn)

次に、四川省錦竹市剣南鎮で製造される剣南春と呼ばれる蒸留酒は、唐代にまで遡れるほど歴史も非常に古いものです。5つの糧を製造に使うため、厳密に言えば五糧液と原料は同じであるものの、全く異なるブランドになるでしょう。

赤いパッケージがトレードマーク http://www.tidesight.com/

錦竹市は盆地が存在し、湿度も高く、年間の日照量も非常に多いことから、肥沃な土壌が形成され、酒造用の微生物も育ちやすい環境にあります。

泸州老窖特曲(lúzhōulǎojiào tèqū)

かつて、1950年代に、茅台酒とともに中国の「四大銘酒」に挙げられたこともある瀘州老窖特曲。明代から400年以上の歴史を持つこの蒸留酒は、四川省瀘州市の温暖な気候によって育まれています。

このお酒は、瀘州市で取れる良質な高粱を主な原料としますが、小麦を混ぜて天然発酵用の非常に大きなクッキーを生成し、醸造していくのが大きな特徴です。ちなみに、名称にある「曲」はその原料の塊であるクッキーを指しています。

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江蘇省

洋河大曲(yánghé dàqū)

中国江蘇省が誇る人気の高い蒸留酒である洋河大曲。良質な高粱はもちろん、米や麦、トウモロコシ、えんどう豆も使った極上の蒸留酒で、柔らかな甘みと爽やかさを併せ持ちます。

青い瓶が印象的

江蘇省の泗陽県洋河鎮で生産され、ここ一帯は漢代からの酒処としても有名です。上記の瀘州老窖特曲と同じく、大きな発酵用クッキーを作ることから始まり、さらに洋河鎮にある豊富で良質な水を使って酒造りを進めているのです。

双沟大曲(shuānggōu dàqū)

さて、中国江蘇省には、洋河大曲にも決して劣らない銘酒がまだ存在しています。その名も双溝大曲と呼び、江蘇省宿遷市にある泗洪県双溝鎮で生産されている蒸留酒です。秦と漢の時代には、既に酒造技術が確立していたと言われています。

洋河大曲と同様に、複数の穀物を混ぜ合わせて作り上げていき、泗洪県にもたらされる淮河と洪沢湖からの豊富な水が、甘みを持ちながらも重みのある味わいを提供してくれるのです。

浙江省

绍兴酒(shàoxīngjiǔ)

おそらく日本人であれば誰もが知っている紹興酒。『東洋のベニス』と称されたこともある、生産地の浙江省紹興市から名づけられていますが、その最大の特徴はもち米による醸造酒であること。中国酒の多くが蒸留酒であることから、紹興酒は中国産醸造酒の代表と言っても間違いありません。

紹興酒にもいろんな種類が https://aucview.com/yahoo/1051388252/

紹興市の鑑湖の水を使って醸造しており、常温で飲んでも美味しいですが、温めて飲むと香りを放つ特性を持ちます。また、アルコール度が比較的低いことから、他の中国酒よりも飲みやすいと感じる方もおり、日本酒が好きな方であれば誰もが癖になる銘酒でしょう。

陝西省

西凤酒(xīfèngjiǔ)

中国内陸部の陝西省宝鶏市の鳳翔区柳林鎮で生産される、有名な蒸留酒である西鳳酒です。1950年代に茅台酒と同じく『四代銘酒』に選ばれたこともありますが、中国の一般的な蒸留酒とは製法が若干異なり、地下貯蔵庫と大型の器を使って仕込んでいきます。

西鳳酒の爽やかなパッケージデザイン https://zhuanlan.zhihu.com/p/465915731

生産地である陝西省宝鶏市には長江の支流である嘉陵江が通っているなど、水に恵まれた土地柄ですが、西鳳酒の製造には一般的に良質の地下水が使用されています。

安徽省

古井贡酒(gǔjǐng gòngjiǔ)

中国安徽省の伝統的な銘酒と言えば、古井貢酒です。安徽省毫州市で生産される特産蒸留酒であり、『酒の中の牡丹』とも例えられる優雅なお酒になります。その歴史は、西暦196年まで遡るほど古く、皇帝に献上されたことも多いことから、この名が付いています。

また、毫州市一帯は雨も多すぎず、そして暖かいことで、日照も水も安定して確保できるほど気候のバランスが非常に良いとされ、この部分が常に生産供給量を高められている理由かもしれません。

その他地域の銘酒

山西汾酒(shānxī fénjiǔ)

中国北方の内陸部に位置する山西省では、既に触れた『四大銘酒』にも選ばれたことがある山西汾酒がとても有名です。その歴史は南北朝時代まで遡り、山西省の汾陽市杏花村で生産される蒸留酒であることから、またの名を「杏花村酒」とも呼びます。

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この杏花村では良質な地下水が豊富で、アルコール度が高いものの、刺激がそれほど強くないことから、多くの方に愛されているでしょう。生産プロセスも常に見直されながら品質維持がなされており、かつては「国酒」としての名誉を受けたこともあるのです。

特制黄鹤楼酒(tèzhì huánghèlóujiǔ)

中国湖北省武漢市一帯で生産される特制黄鶴楼酒も非常に名のある蒸留酒の1つで、その前身は数々の評価を受けた「漢汾酒」と呼ばれるお酒でした。かつては液体発酵による仕込みを行っていましたが、1990年代の市場低迷を機に現在発酵用クッキーによる仕込みを守り続けています。

桂林三花酒(guìlínsānhuājiǔ)

中国広西省桂林市の『三大宝物』と呼ばれる特産品の1つに挙げられる、桂林三花酒は比較的小型の発酵用クッキーを使う蒸留酒です。蒸留酒には珍しく、米を主な原料にしているのが特徴で、醸造酒の日本酒とは基本的に性質が違うものの、無色透明で適量で健康に良いという部分は非常に似ています。

中国米酒の逸品 https://www.sohu.com/a/572435679_121366044

水流豊かな桂林らしく、珠江水系で非常に混じりけのない漓江の水を使用しており、夏場は涼しく冬場は暖かい岩場で貯蔵を進めることで、熟成すればするほど香り深く仕上がります。

まとめ

中国の酒処もやはり、良質な材料と水に恵まれたところばかり。そして、お酒の味を維持していくために、街全体で絶え間ない努力を日々続けていると言えます。地域のお酒が時代を超えて育っていくのは、そこにお酒を愛する人がいるからです。日本から中国にご旅行などの際は、お酒好きな方は積極的にご賞味ください。