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「選べる名刺は主体的な組織づくりへの第一歩」初めてのブランドロゴに込められた思い

2024年春、ARCHI HUMAA株式会社(以下、アーキヒューマー)は、初めてのブランドロゴをつくりました。今回、アーキヒューマーのブランドロゴの制作を手掛けたのは、株式会社タタ(TATA Inc.)代表、アートディレクターの立石 拓さんです。2人はプライベートでも友人であり、拓ちゃん、晋平と呼び合う仲です。この記事では、立石さん(以下、拓ちゃん)とアーキヒューマー代表 石丸(以下、晋平)の対談を通し、どのようにしてアーキヒューマーのブランドロゴが生まれたのかについてご紹介します。


「さまざまな視点から未来を考えられる会社に」
ブランドロゴに込められた願い

− はじめに、今回誕生したブランドロゴについて教えてください。
石丸:僕たちのロゴは、「ARCHI HUMAA」のHを表しています。Hの縦線である2本の柱は現在と未来、ヒトと社会のように、距離の離れた2つのものを表現し、横棒の波線がつなげます。波線にしたのは、現在のある地点にいる人間が未来と結ばれていくなかで、その結び方には多様な可能性があると伝えたかったからです。アーキヒューマーに関わる人々が、さまざまな視点から未来を考えられる会社にしていきたいという願いを込めました。

アーキヒューマー ブランドロゴ

− ブランドロゴの制作はどのような流れで進められましたか?
立石:晋平とは、さまざまな対話やヒアリングを重ね、一緒に表現のコンセプトを固めていきました。通常、デザインの軸となるブランドそのもののコンセプトを決め、そこから表現のコンセプトを考えていきます。晋平はやりたいこともビジョンも豊富だったので、要素の整理から取り組みました。

石丸:僕たちがどのような活動や事業を進めていきたいかという世界観が爆発していたタイミングだったこともあり、拓ちゃんと対話をしながら要素をまとめていった感じですね。

− 広がっていく世界観をまとめていくのはとても大変な作業ですよね。
立石:アーキヒューマーという存在とその解釈を理解していくのは大変でした。人間のあり方からデザインしていく野心的な会社というのは晋平の話から伝わってはきたのですが、やりたいことが多岐に渡るからこそ、取り組みたい事業や描く未来を把握していくのは難しかったです。そのため今回は、「アーキヒューマーとは何者なのか?」というところから考えていきました。

変化していくロゴにたどり着くまで

− ブランドロゴの方向性が固まったきっかけは何でしたか?
立石:「カチッとしたロゴよりかは、変化していく方向性なのかな」とインスピレーションが固まったのは、対話中に晋平が話してくれた画家、ゲルハルト・リヒターがきっかけでした。リヒターは戦争や歴史から着想を得て、光と影、映像などの技法を使い、人間の感情を表現する現代アーティストです。いろいろな手法を用いて変化を表すリヒターの作風は、アイデアのきっかけになりました。

石丸:拓ちゃんとロゴ制作のやり取りをしていたのは、ちょうど日本でリヒターの展覧会が開催されていたタイミングでした。今振り返ると、この展覧会を見た直後の打ち合わせだったこともあり、僕自身もインスピレーションを受けていたのだと思います。

− ブランドロゴを制作するとき、立石さんが大事にしていることを教えてください。
立石:会社のシンボルとして、タイムレスなものをつくることです。そのためにも、会社の根底にある考えをデザインとして具現化すべきだと思います。特に、会社の立ち上げやサービス開発へ至るまでにどのようなプロセスを経ていくかは大事にしたい点です。

だからこそ、1つのロゴにまとめるとき、伝えたいことを一言に集約しないといけないと僕は考えていて。アーキヒューマーの場合は、「人間の進歩」だと思いました。晋平とはいろいろと話しましたが、どれを噛み砕いても、ヒトや生命の起源へとつながっていくからです。晋平の考えの根幹が見えてきたことで、今回のデザインへとまとまっていきました。

自分の個性にあわせて選べる名刺。誕生の背景にあったのは「どんな会社にしたいか?」だった

− アーキヒューマーの名刺を作成するとき、ブランドロゴのカラーと波線の模様を、それぞれ70種類から選べるようになっていました。「選べる名刺」にしたのはどうしてですか?
石丸:僕がアーキヒューマーを「どんな会社にしたいか?」というこだわりが関係します。創業を考えたとき「社会的な価値を第一に考える会社をつくりたい」と思いました。誰でも起業できる時代だからこそ、社会に責任を果たすための会社であることは、もはや当たり前です。それに加えて、社会で今起きている問題を解決したり、解決策を提案したりするために、僕は僕でいろいろと考えるから、みんなもそれぞれで考えてみてほしいーーだからこそ、ヒエラルキーのあるチームではなく、興味関心を持つ人たちが自然と集まり、主体的に参加できるような会社にしたかったのです。

4900パターンの「選べる名刺」

石丸:多様なメンバーが集まれば、問題の見え方や解き方は1つではありませんし、さまざまな可能性も見えてきます。だからこそ、名刺に載せるブランドロゴにもその人らしさを持たせたいなと考えました。当初は「選べるというよりも、各々が手書きなどで表現できたら楽しいよね」というアイデアも上がったぐらいです。一人一人の未来へのプロセスを考えていきたいという気持ちから、選べる名刺は誕生しました。

− そんなこだわりが隠されていたのですね。ちなみに石丸さんはどのカラーと波線を選びましたか?
石丸:僕の選んだカラーは、コーポレートカラーです。波線については、拓ちゃんが70種類ある中から、一筆目に書いたものを選びました。この線が基準となり、多様な線を生み出していったからです。メンバーにも選んだ理由を聞いてみましたが、さまざまでした。

【カラーと波線を選んだ理由】
カラー:
・アーキヒューマのイメージです!
・好きな色です!見ていて落ち着くのでこの色にしました。
・他の人が選ばないような色にすることで、みんなで並べた時に色とりどりにできたら楽しそうだと思いました。

波線:
・「H」を一番キレイに形作れていると思ったからです!
・一番きれいなバランスに見えたので!
・「一周回っていい道のり」のイメージです。こうであるべきという自己概念を早期に崩していたため、ここからいい縁に助けられながら登っていきたいなと思います。

名刺をきっかけに、ゆるりと社会につながってほしい

− 今回の名刺を考えるなかで、立石さんが工夫したポイントを教えてください。
立石:2つあります。1つはロゴの柔軟性です。変化するロゴであり続けるためには、しかけが必要だと思いました。アーキヒューマーの会社としてのあり方が、一般的な会社と異なるとしても、一人一人がバラバラでは組織になっていきません。会社とメンバーがつながるためには、活動を「自分ごと化」する必要がありました。その方法として、会社が決めた名刺を配布するのではなく、メンバー自身が選ぶ過程をプロセスに加えました。

もう1つは、コミュニケーションツールとしての意味を持たせたことです。70種類のカラーと波線があれば、自然と個性が現れます。社外はもちろん、まだよく知らないメンバーとも名刺を見せ合うなかで、「なんとなく黄色っぽい人」「線がゆるゆるの人」などお互いを知るきっかけにもなればと考えました。

− 改めて、ここまでの制作活動を振り返ってみて、いかがでしょうか?
立石:すでに、さまざまなメンバーが関わっていたため、今回はいろいろなバリエーションのブランドロゴをつくりました。組織の拡大に合わせ、チームをより柔軟に捉えていくと、各々が書いた波線が名刺に反映されたり、波線以外のものが入ってきたりするかもしれません。今後、ブランドロゴがどのような面白い広がりを見せるかが楽しみですね。

− 最後に、石丸さんからこの記事をご覧の方にメッセージをお願いします。
石丸:これからアーキヒューマーの活動が広がっていくなかで、参加メンバーが親しい人に活動を話したくなるようなコミュニティーになってほしいと願っています。これは参加メンバーの社会参加という側面にもつながります。

あまり活躍できていない、副業参加だからと全力を投入していない活動に対し、「参画している」とは言いにくい、そんな遠慮の意識を、日本人なら誰しもが感じています。たとえ参加の度合いが薄かったとしても、アーキヒューマーの名刺を渡すことが楽しいと感じてもらえたら、その意識は変わっていくと思います。名刺を持っていいのかなという遠慮から、持ちたいという欲求や選びたいという意識に変わり、渡すときには周囲へ自分から説明をしたくなるーーこの変化が社会と関わり、参加することにつながると僕は考えるからです。
実際にアーキヒューマーは、雇用契約を結んでいない方でも、コミュニティメンバーとして参加できます。現在のメンバーも、普段の仕事や生活を優先した上で活動している方が大半です。僕たちの合言葉は、「何もしなくても、居て良い場所」であり、活動に参加する場合には「無理することなく、超真剣に」です。この名刺を持ってみたいという方がいたら、ぜひ一度お話しをしましょう。

終わりに:自分も名刺を持ってみたいと思われたみなさん、お話ししましょう!

最後までご覧いただき、ありがとうございます。ぜひ、アーキヒューマーの名刺をご自身も持ってみたいと思った方は、お気軽に「info@archi-humaa.jp」までご連絡いただけますと幸いです。企業や自治体以外の団体に所属されているみなさまからのご連絡も大歓迎です。

少しでもアーキヒューマーの目指す世界や活動に共感できる部分がありましたら、本記事をSNSでシェアまたは興味のありそうな方に送っていただけると喜ばしい限りです。僕らに感想を教えていただけるのも嬉しいです。