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【韓国】新羅騎馬人物形土器

場所:国立慶州博物館、慶州、韓国
時代:新羅時代(6世紀初頭、三国時代)

2023年2月に初めて訪れた韓国ですが、歴史とか文化に興味を持っていたら最初に行くべきところはやはり慶州ですね。日本で言えば京都か奈良といったところでしょうか。街中には古代の史跡や古墳群があちこちにあって、広い公園のようになっていますが、その中のひとつの古墳から発見された有名な土器について調べてみました。

新羅騎馬人物形土器
新羅騎馬人物形土器

国宝第91号に指定されているというこれら2つの騎馬形容器は、古代新羅王国の代表的な工芸品であり、韓国の文化遺産の象徴となっています。日本統治時代の1924年(大正13年)に京都大学の考古学者によって、慶州金寧宗古墳(金鈴塚)から発見されたものです。対をなしているユニークな陶磁器はすぐに人々の注目を集め、今でも国立博物館で最も人気のある展示品のひとつとなっています。発見された地である慶州にも国立慶州博物館という立派な博物館がありますが、国宝だからでしょうか、通常は首都ソウルの国立中央博物館に展示されているそうです。しかしちょうど私が慶州を訪れていたときは、里帰りしていて国立慶州博物館で見ることができました。

別方向から
その他の土器の副葬品

騎馬形容器が発見された金鈴塚古墳の被葬者は、装飾品や副葬品などの性格から、年少の新羅の王子と推定されていて、精巧な金製の鈴2個が発見されたことから「金鈴塚」と呼ばれるようになりました。故人が収められた木棺の側に副葬品が入った小さな棺があり、そこから騎馬形容器が見つかったそうです。容器に象られた騎手の大きさの違いや騎手と馬の服装の違いから、彼らは異なる社会階級に属していると推測でき、ひとつは三角帽子をかぶって大きい馬に乗っている主人と、もうひとつはまげを結い上半身は裸で、背中に荷物か荷物を縛り付けている従者を描いていると思われます。
馬の背に載せられた鍑(ふく)のような容器に注入口となる穴があり、馬の頭の前には突き出した注ぎ口があって、酒などの液体を入れるのに使われていたと考えられています。騎手の服装や馬具なども非常にリアルに表現されていて、当時の新羅人の日常生活についての重要な情報を提供しています。これら2つの容器のように、人に似せて作られた器は、おそらく日常使用ではなく、馬に乗って冥界へ行くという他界観が表現されたものと考えられているため、儀式の目的で作られたと考えられます。専門家らは、これら2つの器は葬儀や追悼式で使用され、故人の冥福と死後の再生を願う会葬者の願いを表現したものだと考えています。

お土産品として販売されているもの


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