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アリス・コード ~wind of kowloon~⑦奪還屋の"有朱"

高級住宅街、シロガネの地にある大きな公園にある大きな木の上に小さなキラキラ光る首輪を着けた猫がいる。
その下には長身赤髪の奪還屋見習いの令夜の姿があった。

令夜「ミーちゃん、探したよぉぉ!待宵さん
          この子で間違えないんだよね!」
令夜は端末で写真を撮り、
朧屋にいる待宵にその画像を送り付ける
待宵「その子ですよ、令夜さん。
   依頼主の猫で間違えてありませんね。」
待宵「とにかく!くれぐれも!逃げられない様にしてくださいね。」
令夜「ちょちょいのちょい、任せてよ」
木に登り始める令夜、登ってみると意外とその高さがあり令夜は下を見ない様、ゆっくりと慎重に登ってゆく

大きな木の枝の先には依頼主の猫がいる。
令夜はその先に少しでも近づき、懐から落ちない様に猫じゃらしを取り出した。
令夜「ほらほら〜、ミーちゃん〜怖がらないで〜
 おうちに帰ろう〜ほらほら〜」
しかし、猫は完全に令夜を馬鹿にしているのか
知らん顔をしている。何度も猫じゃらしを令夜は揺らしたがまるで効果はなし
痺れを切らせた令夜は力づくで捕獲に乗り出した
令夜「早く依頼終わらして、、、
          美味しいご飯食べたいんだよー!!」
木の枝に足を踏ん張らせて、令夜はミーちゃんに
距離を詰め、両手が使える様に足を力いっぱい木の枝に締め付ける。

令夜「もう逃げられないぞ〜」
令夜が猫を掴みかかるがそれは空を切り
猫は高い木から落下し、華麗に着地しした。
上にいる令夜に「にゃあ」と一言、挨拶し
その場を後にした。
令夜「あーっ!ずるい!
   くっそーあともうちょっとだったのに」
端末をかける令夜
「有朱ちゃん!出番だよ、そっちの方に向かったから、後よろしくね!」
端末をきる令夜、下を覗いてしまい足がすくむ
「た、高いとこ。怖〜い!」


猫は軽快に住宅地の隙間を巧みに使い移動している。そんな猫を追う一人の女性がいる。
赤色のベレー帽に紺色の和服
彼女の名は有朱。かつては反照にいた壱の巫女
"廻光"と呼ばれており黒宮有珠の白い部分だけを残した存在だった。

3年前、黒宮有珠と共に"融合"を果たし
白い部分、そして黒い部分も分かちあって
廻光は"有朱"として生きる事を決意したのだ。
そして有朱は今、奪還屋の一員として生活している。

有朱「猫ちゃん〜!すばしっこいよ〜!」

息がどんどん上がる有朱、
だが距離は着実に近付いてきている。

有朱「よしっ、、、こうなったら!」
有朱は持っていた鞄の中から
おもちゃのフナを取り出した。
有朱「ふっふっふ!マタタビ入りです!」
有朱はマタタビ入りのフナ人形を猫めがけて
投げると猫の手間でフナ人形が落ちる。
警戒する猫だったがマタタビの力で
ごろにゃーん、フナ人形を離さない。
そして有朱はやさしく、その猫を抱き抱えた。

有朱「これにて良!奪還成功!やったー!」


超一流財閥の会長、金平清盛の御屋敷
何個もある個室にジャグジー
そして庭付きのプールしかしどこか品性がかける
装飾が施されている。大広間に二人
金の趣味が悪いスーツ、金髪(カツラ)
金平清盛は行ったり来たり往復したりどこか
落ち着きがない表情で叱咤した。
金平「本当に大丈夫なんだろうね!比蘭さんよ」
黄金の趣味の悪い椅子に脚を組んで
気怠い感じで清盛に伝える。
比蘭「だーいじょうぶですって、
うちの奪還屋に任せてもらえれば、、、」
令夜が申し訳なさそうに大広間に入る
令夜「ち、ちわーっす、、、」
比蘭「よ、令夜〜上手くいった〜?
          ミーちゃん見つかったかい?」
令夜「そ、それが
    さ〜あともうちょっとだったんだけど、、、」
比蘭「まさか失敗したんじゃ、、、」
令夜「いやいや!ちゃんとバックアップは廻光ちゃ、、いや有朱ちゃんに頼んだから!大丈夫っすよ!」
比蘭「あ〜あ、大丈夫かしら有朱の奴」
令夜「有朱ちゃんなら大丈夫っすよ!
  最近、奪還率めっちゃ上がってますからね」
比蘭「それに比べてお前は、、、」
令夜「あっ、それひどいっす〜!!」

猫を抱き抱え部屋に入る有朱
「比蘭さーん!令夜さーん!
ミーちゃん確保しましたよ〜!!」
比蘭&令夜「でかしたぞー!!有朱!」
有朱の手を離れ、猫のミーちゃんは
飼い主の金平が近付く
金平「あぁぁ!ミーちゃん可愛いミーちゃん
  どこ行ってたの!?パパ心配したでちゅよ」
一同「気持ちワルッ」
金平「よーしよし、
  あとでいっぱい遊びまちょーねぇ」

一同の軽蔑する視線を感じた金平は咳払いして
我に返る。
金平「ご、ご苦労だった奪還屋の諸君!
   報酬は帝都銀行に振り込んでおくので
   もう帰ってよいぞ!!」
一同「まいどあり〜ありがとうございました!」
金平は奪還屋達が帰る姿を見送る。
金平「ミーちゃーん!!
  今日のおやつはちゃおちゅーるだよぉぉぉ」


奪還屋本部
雅落の魂が鎮まったRequiem
あれから奪還屋は名を上げ、事業も上手くいった
猫の捜索はもちろん、
奪われた文化遺産を取り返したり
借金をかたにヤクザに囚われた女の子を奪還したりと、、魔都東京で奪還屋を知らない人はいないほど奪還屋は有名になっていた。
そのほとんどが有朱のセンスと才能によって
解決されていた。

令夜「うぃーす!たっだいま〜!」
戻ってきた令夜を出迎えたのは
蒴螺の右ストレート。令夜腹にめりこむ
令夜「ぐはっっ」
蒴螺「ちょっと令夜!
 またあんた会社の経費で
 アイドルのプレミアムLiveチケット買ったでしょ!!?しかも5万円もするじゃない!?」
令夜「い、良いじゃないですかー最近
   お仕事も軌道に乗ってますし、、、」
蒴螺「よくなーい!」
再び、蒴螺は令夜の腹に一発
令夜「デュクシ!」
蒴螺「たーっく、、アイドルにすっかりハマっちゃって大変だっつーのあ!、有朱ちゃんおかえり!」
有朱「ただいま〜蒴螺さん、
   お腹の方は大丈夫ですか?」

蒴螺のお腹は膨れ上がっている
どうやら妊娠しているようだ。

2階で事務仕事をしていた待宵が降りてくる。

待宵「蒴螺さん、あなたは
もう一人の身体じゃないんですよ、、、少し
安静にしてくださいよ〜今は貴方が王将、じっとして頂かないと、、、」
比蘭「うぃす、うぃすー、蒴螺、ただいま」
蒴螺「ちょっと比蘭、令夜の奴!またアイドルのチケット無断で買ったのよ〜!ちょっとは叱ってよ〜」
比蘭「それより〜そんな事より〜俺はお腹の子が心配だよね〜」
蒴螺「あっ、、うん大丈夫よ。
   ちゃんと病院にも行ってるから安心して」

比蘭と蒴螺は2年前に
蒴螺さんの猛烈アピールに比蘭も折れて結婚
そっから二人はどんどんラブラブになり
そして待望の、、、!

令夜「赤ちゃん
          早く生まれてると良いですね〜!」
待宵「比蘭さんが父親になるとはねぇ、、」
有朱「可愛いんでしょうね〜きっと」

蒴螺「あ、ちょっと動いた」
比蘭「どれどれ、、、あ、ほんとだ」
三人そっちのけで二人のラブラブタイムは続く

令夜は何かを思い出したかのように慌てる。
令夜「あっ!ごめんごめん!TVつけていい!」
待宵「どうしたんですか?急に」
令夜「今日、音楽番組で俺の好きなアイドルが出るんだった!早く早く!」

「はーい!音楽駅のお時間となりました!
司会はもちろん!DJ.レッドでーす!イェーイ」

レッド「今日のピックアップアップアーティストは。。。PRM(プライマル)8だーっ!
みんなよろしくっ!」

煌びやかなステージに8人の姿が映し出される
そして口上が始まる。
バンシー
「みんな〜会いたかったよ!ロリロリイエロー!
 バンシーだぞっ♪🧚‍♂️」
レモラ
「ぷはーっ!みんなの心を!スパイブルー!
 レモラであります!🐟( ゚Д゚)ゞ」
バステト
「にゃんにゃんにゃーん!あざとい猫の神
    バステト!バスティンって読んでね🐱💕」
紅東芋子
「みんなよんだぁ〜?おさつを求め、三千里
   紅東芋子でございます。🍠」
アマクサ
「意地っ張りブラックのアマクサじゃ!🐏💦
 そんなに見つめるんじゃないよ、恥ずかしい」
オロチ
「燃える紅き血!滾るは熱き剣!!🐍
   貴方の折れない心の傍に!オロチだ、馬鹿たれ」
コノハナサクヤ
「白き華咲く、母なる息吹、貴方を包む🌸
 コノハナサクヤ、、奉仕開始」
ガブリエル
「みんなのこころを救済してあげる♪
計算高いのはみんなの為♪ガブリエルだよ👼」

全員
「天津の国に愛を届けたい!我らPRM 8 !!」

「皆様!今は大変なご時世ですが!
どうか私達の声を聞いて元気になってください!
ではお聞きください!」

「I Will Follow bias 」

私は推し達についていく。
推し達がどこへ行こうとも
そして全ての推しの近くに、私はいつもいたい
私を遠ざけることはできないから、
推しは私の大切な人達
推し達について行く
推す方々が私の心に触れて以来、私は知りました
どんなに深い海でも
どれだけ高い山でも
私から推しを愛する気持ちは遠ざけられない
世界は推し達を愛しています、世界は推し達を愛しています、私は推しを愛しています。
推しが出るところ、私はついていく
私はついていく、私はついていく

I will follow  bias
私は推しについて行く

follow bias where ever he may go
推しがどこに行こうとしても

There isn't an ocean too deep
どんなに深い海でも

A mountain so high it can keep, keep me away
どれだけどれだけ高い山でも

We will follow bias
私は推しについて行く

Follow biasw where ever he may go
推しがどこに行こうとしても

There isn't an ocean too deep
どんなに深い海でも

A mountain so high it can keep
どれだけ高い山でも

Keep us away, away from bias love
推しを愛する気持から遠ざけられない

Oh yes, I love bias
私は推しを愛している

I'm gonna follow
私はずっとついていく

True love, he'll always be my true love
真実の愛、私はいつまでも推し達を愛するだろう

From now until forever, forever, forever
永遠に、永遠に、永遠に

There isn't an ocean too deep
どんなに深い海でも

A mountain so high it can keep
どれだけ高い山でも

Keep us away, away from bias love
推しを愛する気持は遠ざけられない

(映画、天使にラブソングを。の劇中の曲
 i will follow himを推しを思う気持ちに変換して
書いてみました。ぜひ本作も良い映画なので観てくださいね) by Akira


令夜「いやー!最高!PRM 8!!」
待宵「良い歌ですねー」
令夜「でしょー!」
有朱「私はね、ピンクの猫の子可愛いと思う!」

?「あのー、、、」

令夜「俺の推しはやっぱりバンシーだよなぁ、、
         こう、なんつーの、守りたくなるっつーか」

待宵
「私はコノハナサクヤさんですかねー、、、」

令夜「あ!待宵さんも行きます!Live!でわ!
          善は急げと言いますから予約予約っ、と」

?「あの、すいません。ここ奪還屋ですよね」
お下げの髪でちょっと地味な感じの女の子が
奪還屋を訪ねる。

令夜「あ、はいはい、いらっしゃいませ〜
          、、、って、えええええ!!!?」

一同「どうした、どうしたどうした!」

令夜「ばっ、、、バンシー!!!」

一同「はぁ?」

?「、、、良く分かりましたね、TVの私は
      ちょっと派手というか、、正解です。」

一同「えーーー!!?」


ーつづくー

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