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審判は誤審をしたときどんな感情を抱くか

現在実施している「#勝手にJ1ユニフォーム総選挙」という企画でアンケート欄を設けたところ下記のような質問を現在時点で受けています。今日はそのうちの一つ「自分が誤審して負けたチームの選手とサポーターに対して思うことがありますか。」という質問にお答えしたいと思います。

(他の質問にもお答えする企画は用意する予定です!少々お待ちください)

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審判は審判である前に、一人の人間です。

皆さんはお仕事や学業でミスがあると、落ち込みますよね?それと同じことが審判にも言えます。

審判をしている人は審判という「人格を切り捨てられた」状態で見られることが多いですが、人格をもった一人の人間です。

当たり前ですが、感情を持っています。試合中にネガティブな声をかけられたとするともちろん腹が立つことはあります。しかし、選手のために審判をしていますので、その感情をコントロールして前向きな気持ちで取り組むようにしています。

是非、今日の話題について語る上で「審判」として一般化するのではなく、それぞれの個人を思い浮かべていただけると嬉しく思います。

誤審をした瞬間に誤審をしたことはわかります。

本題についてお話しします。明らかな誤審をしてしまったときには、選手のリアクションを見れば、その瞬間に誤審をしたことが分かります。

選手の詰め寄り方には大別すると2種類あると考えていて、「とりあえず詰め寄る」反応と「絶対間違えているから詰め寄る」反応の2種類があると思います。後者に関しては本気度や目の色が違うので、その判定が誤審だと分かります。

仮に副審や第4の審判員が明らかな間違いだと気づき、サポートした時には修正することも可能ですが、実際には難しい部分があります。

そして、審判員は映像を見ることができず、コンマ数秒で起こる事柄をたった一度で見極めて判定しないといけません。仮に選手の反応から誤審だと分かったとしても、「自分が見たこと」から判定をしているため変えることは基本的にできません。

語弊があるかもしれませんが、たいしたことない勝敗に影響のないミスですと、正直に謝ればいいと思います。ただ、質問のような「誤審のせいで負ける」という結果になるミスについてはそういうことができない可能性が高いです。

試合中に誤審に気づいても、試合は90分あります。仮に1分に大誤審をしてしまっても、89分間主審として職責を全うしなければなりません。申し訳なさがあってもなるべく引きずることなく、平常心を保たなければなりません。

やはりメンタルが沈むと判定に影響しますし、残りの時間そのメンタルのせいでさらにミスを重ねると選手に余計な迷惑をかけてしまうからです

だからこそ審判は試合中誤審の後でもしれっとしているように映るのかもしれないですし、反省していないと思われるのかもしれません。

試合後には落ち込みますし、猛省しています。

試合中は上のような理由でなるべく影響しないようにしていますが、試合が終わると落ち込みますし、本当に猛省しています。

また試合後のルーティンについても書く記事は用意しますが、基本的に試合後にはアセッサーと呼ばれる評価をする方と審判団で反省会があります。

もし、大きなミスをした場合アセッサーの方から指摘されるでしょうし、自分でもわかっているので、自分がしたミスを言語化する必要があります。

みなさんもミスをしたことを言葉にすると落ち込むでしょうし、悔しいでしょうし、なるべく言葉にしたくないですよね。それを強制的にしなければならないということでまず落ち込みます。そして、まずは反省会で分析し、家に帰ってからは一人で自責の念に駆られます。

また、当たり前ですが選手の皆さんをはじめとする不利益を被った皆さんに申し訳ないと思います。「この試合は返ってこない」という言葉もあるかと思いますが、それは重々承知しています。どうすればよかったのか考えることはできますが、結果を覆すことはできません。

どうすれば「償い」をできるのか

選手のためになるようにと試合に入った結果、選手のためにならないことをしてしまうという皮肉な結果です。しかし、そういうことも残念ながらあります。

そんなことになってしまったとき「償い」をする方法はあるのでしょうか?残念ながら本当の意味で「償い」をすることはできないと思います。

なぜなら先ほども書いた通り、「誤審をした試合は戻ってこないから」です。

誤審で迷惑をかけた選手や指導者、サポーターの皆さまに「償い」をすることはできません。謝ることはできたとしても、試合は返ってきません。

だからといって、「償い」をしないわけにはいかないと私自身は考えています。その私なりの「償い」として、今後試合をするチームの皆さんのために一生懸命努力して、同じミスをしないことを意識しています。

ミスをして迷惑をかけたチームには何もできませんが、サッカー界に返すというイメージを持っています。これが正しいかわからないですが、私にはそれしかできないと思います。だからこそ、しっかりと自分のミスに向き合って、改善するための努力を重ねています。

まとめ

質問の答えになっているかわかりませんが、私の誤審に対するスタンスはこのような感じです。他の考えを持っている審判員はもちろんいます。なぜならそれぞれが一人の人間だからです。

誤審をしてしまえば、少なくとも私は申し訳なさもあります。悔しさもあります。そして、落ち込みます。それは私が感情を持っているからです。人間だからです。一生懸命準備したつもりでも、ミスをしてしまうということは準備が足りないのかもしれません。だからこそ試合後に反省して、改善をしていきます。それが私の償いです。

審判のミスを叩くなとはもちろん言いません。選手もミスをすると叩かれますし、監督は弱いチームを作ると叩かれます。

批判的な視点は大切だと思いますが、選手も監督も審判も一人の人間です。そのことを考え、目の前にその人がいたら言えないような言葉はかけないことが大切だと思います。一度心無い言葉を吐く前に自分の胸に手を当ててみてください。自分が言われて怒らないか。

以上です。まとまりのない文章でしたが、等身大の私の思いが伝わっていれば幸いです。

本日もお読みいただき、ありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。



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