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気づかなければ良かったが、いずれ気づく不安

この奮闘記はコロナ陽性判定を受けて隔離入院で感じていること。
今、同じように入院している方で同じ悩みがある人や、まだ感染していないけど、こういう人は気を付けてという感じで書いています。


<病棟へ>


車で病院まで向かい駐車位置の案内を受けてサバサバと病室まで案内してもらう。
途中、高齢者が車いすで移動している側を通ることになり、本当に申し訳ない気がした。

感染隔離の病室だからとわかってはいた。ドラマで見るようなビニールで二重入口で仕切られた先が隔離病棟だ。
そこをくぐるときには、お世話になる看護師さんたちに「お世話になります」と一礼して、意気揚々と入った。
病室を案内されると、友人のSNSで見たような個室ではなく、4人部屋だった。
面食らったが、病室確保すらままならない中、しょうがないのかと受け入れる。
案内されたのは幸いにも窓際だった。外を眺めることで時間もつぶせる。

すると入り口側の2人が退院だったようで、出て行った。
心から「おめでとう」と拍手したい気分だった。
「さて、次は俺の番だ!」と気合いを入れた。

渡された案内文を読む。
テレビも見れるし、トイレもシャワーもある。売店で売っているものであれば、後清算で看護師さんが買ってきてくれる。「まあ、家でもそんな感じだし。むしろ食事でてきてくれるし」と軽く考えた。
ところが、「基本的にはこの部屋から出られません。窓は開けられません」との説明に、「そりゃそうだよな。しょうがないな」と思いつつ、違和感が少しあった。

すると30分もしないうちに出たはずのベッドが消毒を終えて再び部屋に運び込まれ、2人が入ってきた。
「こりゃ医療現場は大変なはずだ」と、病院への労いの気持ちが強くなった。

その日はテレビを見ながら携帯をいじって、これまで変わらない感じで過ごした。
だが、自分よりも後に入ってきた1人の様子がおかしい。
ひっきりなしに電話をして、荷物をもってきてもらうように話したり、いつ出られるのかと不安げに聞いている。

「不安だよなー。頑張れ。頑張ろうぜ」と思いやった。
たら、4人部屋とはいえ、何かお互い話をするような感じではない。同じ部屋にいながらカーテン仕切りで孤独だ。
でも、一人暮らしの孤独な身としては、戦う仲間がそこにいるだけで心強かった。

そのまま初日は普通に就寝した。


<2日目>


いつもより早い6時に目が覚めたが、別に不安からではなかった。
朝からシャワーを浴びて、携帯でゲームをしたり、高校野球準決勝をテレビで見て過ごす。
ただ、朝食で出た牛乳とバナナは苦手で残してしまった。

昨日、不安そうにしてた人が看護婦や医師に、いつ出られるのかとか聞いている。
「しょうがないよ。昨日も病院抜け出して銭湯行ったとか信じられないのもあったやん」と心の中で励ましていた。
そして外を見ながら、ふと考えてしまった。


「あれ?外の空気って吸えないのか」
「太陽を浴びれないのか」
「あれ?仕切られた範囲から歩くこともできないのか」
「え?いつまでだっけ?あと2週間?」


それがいけなかった。引っ張られてしまった。
思い出した。
「俺、閉所恐怖症の気があるんだった」
一気に不安が襲ってきた。
「しょうがないよ、は自分に言わなきゃ。人のことか考えている場合じゃない」
汗が出てきた。
呼吸が浅いのは、これだ。

コロナを倒そうとしてくれている自分の細胞が頑張っている。
でも、心が、頭が足を引っ張っている。

自分に勝てるのか?
勝たなきゃいけない。
勝つしかない。

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