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愛知の旬見つけた~スーパー店頭にイチオシ農産物並ぶ

 スーパーの店頭に愛知県特産の旬の農産物が出始めました。
 「犬山のもも」は、1個から個包装で並んでいました。価格は498円。2022年7月にnoteに紹介した記事があります。

■犬山のもも

犬山のもも販売で店頭のディスプレイにも工夫(2022年)

 犬山市は県内でも有数の桃の産地です。各地で生産者の高齢化が進む中、大手スーパーへの直接販売と市民サポーター制度の両輪で産地の支え合いが成功している地域です。
 JA愛知北(犬山市)管内には、7つの出荷組合(組合員31人)があります。それまでは軒先販売や市場に出荷していました。市場出荷の場合、どこへ売られていったのか、生産者には分かりませんでした。
 そこで、JAを中心にイオンを展開するイオンリテールに働きかけ、2019年度から4組合がJAに集荷し、イオンに直接出荷するようにしました。翌年度6組合、2021年度には全7組合が参加し、イオンの25店舗(名古屋市、愛知県尾張地域、岐阜県)で販売しています。
 この結果、2019年度570万円だった販売高は、2022年度は1500万円になる見込みです。JA愛知北は「これまでは市場から日本中に送られ、どこで売られているのか実感がなかった。今はイオンで生産者が陳列現場を見ることができ、売り場に生産者の写真が掲示されるなど生産者の意欲が増した」と言います。
■モモ栽培サポーター育成
 生産面でも工夫があります。生産者の集まる犬山市果樹園芸組合連合会は、犬山市と共催で2012年から桃栽培に関心の高い市民を募って「犬山のモモ栽培サポーター養成講座」を始めました。
 愛知県農業改良普及課の専門家による講義や実習を年間9日間実施。摘蕾、摘果、整枝、収穫までの一連の作業を習得してもらいます。これまでの受講生は85人。このうち「犬山のモモ栽培サポータークラブ」に約30人が入会し、収穫時には無償ボランティアとして農家のお手伝いをしています。無償といっても協力したサポーターさんたちには農家からもぎたての桃が提供されます。
 犬山市果樹園芸組合連合会は、桃の生産面積(現在20㌶)を維持していくため、会員が桃の苗木を購入するときに1本あたり上限1000円(補助率2分の1)の補助をしています。
 2021年度の品評会のデータですが、平均糖度は14.8度で、なかには最高糖度16.8度もあり、見学者から歓声が上がっていたそうです。
■赤シソの季節 

茶の葉を刈る機械を活用する碧南市のシソ農家(JAあいち中央提供)

 茶園で使われる機械が赤シソの収穫にも使われていることをご存じでしょうか。JAあいち中央のしょうが・しそ部会(11人)が5月下旬から赤シソの収穫を始めるという話のなかで知りました。
 機械は「茶葉摘採機」とか「茶刈機」と呼ばれています。お茶の一大産地、静岡県の牧の原台地を臨む菊川市で、創業90余年の落合刃物工業が生産しています。愛知県碧南市の赤シソ農家では、この茶刈機を収穫用に活用しているそうです。表紙の写真は、JAあいち中央提供の作業風景です。

へきなんあかしそのパッケージ

 赤シソは和歌山県など梅の産地の出荷ピークに合わせて、収穫を始めます。JAあいち中央の話では、3月中旬の種まき、4月上旬に発芽します。300グラム入り10袋で1ケースとして、7月上旬までのシーズン中は一日1500ケースを出荷する予定です。
 この赤シソは茶刈機で軸が入らないように浅めに刈り取っているため、梅を漬けたり、赤シソのジュースを作るときに、軸を取るなど手間がかかりません。
 刈り取った赤シソは水洗いされ、1カ所に集められて、葉を傷めないようにネットに入れて脱水。その後、手作業で軸の長さを確認しながら袋詰めして、出荷します。
■赤シソジュースは夏の栄養源

飲むときにレモンジュースを入れると栄養満点に

 梅を漬けるために袋で売っている赤しそは、わが家では「赤シソジュース」に使われます。いつもなら、借りている菜園に自生えしている赤しそを使うのですが、今年はまず、プロが丁寧に栽培した愛知の旬を使いました。
 しその葉を洗い、お湯に入れて、鮮やかな色が出たら葉を取り出して、氷砂糖を加えて作ります。取り出したしその葉は、乾燥させて味付けのゆかりにもなります。
■赤と青といえば大葉
 「赤」に対して、「青」もあります。こちらも個包装のパックで売られていました。

とよかわおおば パッケージは2021年紹介したときよりカラフルに一新

 青ジソの若葉を摘んだものが大葉です。2021年1月30日に「そうだ!青じそでジュースをつくろう~つまもの需要減少への妙手」で書きましたが、コロナ禍の最中は、飲食店やホテルなどの業務用の単価が下がり、愛知県東三河地区の生産農家は販売に知恵を絞っていたことを思い出しました。

2021年のパッケージ

 2021年5月のnoteの記事です。JAひまわり(蒲郡市)は、豊川市観光協会と協力して、「とよかわ大葉」のブランド名の認定を受けました。価格が低迷する業務用に加えて、これからは巣ごもり需要も狙って、家庭用に販路を広げていくそうです。10枚入り小袋や、葉が不ぞろいでも味に遜色がない25グラム小袋(30~35枚入り)などに「とよかわブランド」のロゴマークを入れていきます。

6次産業の大葉味噌の瓶詰め商品

 また、大葉を使った風味の良い「大葉味噌」(瓶入り、140グラム)を販売しているほか、「豊川産のトマトと大葉のおいしいトマトスープ」など加工品にも力を入れていました。
 今年見たパッケージは、豊川市のキャラクターの©️いなりんが登場して、地域をあげてブランド作りに力を入れていることがわかりました。
 とよかわの大葉で評価したいのは、栽培における減農薬の取り組みです。ハダニ類など大葉の生育を妨げる微小害虫に対して、天敵の虫を放して駆除する取り組みです。
 より安全で安心して食べることができる大葉へ、生産地も工夫していました。
■まだまだ続く愛知の旬

味来㊧の収穫は午前3時前。小玉スイカ㊥は6月16日にJA産直施設「すいかの朝市」で直売。エダマメ㊨は脱莢機(だっきょうき)を使うものの、水洗い、選別、箱詰めなど人手がかかります

 これからも愛知県特産品が店頭に並びます。JAあいち中央管内では碧南市のトウモロコシ「味来」(みらい)があります。17人の生産者が20㌶で収穫を始めています。未明に収穫した朝どれなので、甘味が凝縮され、人気があります。
 刈谷市では児玉スイカが最盛期を迎えました。丸ごと冷蔵庫で冷やせるサイズで、しかも中が黄色です。皮が薄くデリケートなため、常温で日持ちしないため、大半が地元で販売される希少種です。
 7月中旬からは碧南市のエダマメの収穫が最盛期を迎えます。2015年から適地適作で参入した新顔です。
 まだまだ、店頭から目が離せません。
(2024年6月15日)


 


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