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第9章 長野県人会の活動♪「信濃の国」の文化と経済(note9)

 この章では、県人会活動の今昔を振り返り、これからの県人会のあり方について考えてみます。

~目次~
第1章 県歌「信濃の国」秘話
第2章 文化圏と美術館
第3章 2022年の大遭遇~伝統の祭り
第4章 個性的な企業群
第5章 地場産業
第6章 食と農
第7章 人国記~「信濃の国」では
第8章 教育県とは
第9章 長野県人会の活動★
最終章 あとがきにかえて~名古屋と長野県との一体感

■名古屋長野県人会の歩み
 愛知県内には北海道から沖縄まで38の道県人会があります。このなかで最も長い歴史を持つのが名古屋長野県人会です。設立は1897年(明治30年)。会員数は現在294人(2021年3月現在)。
 筆者が1985年5月に富士コーヒー社長で、名古屋長野県人会の第6代会長を務めていた塩沢実社長(当時67歳)にインタビューしたことがありました。その時の会員数は約1200人でした。塩沢会長の話では、1972年に県人会会長に就任した時には、会員数は約800人で、年々、交流の輪を広げてきたそうです。
 最近では2021年3月23日の読売新聞中部支社版の県人会紹介記事「遠くにありて」の最終回で掲載されました。特に「信州アスリート応援団」にスポットが当てられました。
 ひとつは、長野東高校(長野市)出身の選手が主力の名城大学女子駅伝部です。10月に仙台市で行われる「杜の都駅伝」の常勝チームで、県人会ホームページで詳細に伝えて応援していることを紹介しています。毎年新年の県人会懇親会(2021年は中止)に招待して、会員全員で激励しています。
 また、大相撲名古屋場所には、郷土出身幕内力士の御嶽海の応援団を募り、3日間に分けて約50人が愛知県体育館(ドルフィンズアリーナ)に出向きました。感染症の対策で声援はできないため、名前の入ったタオルをかざしての応援となりました。
 2018年名古屋場所は私も応援に加わり、「がんばれ 御嶽海関」の横断幕を掲げた会員のみなさんの様子をカメラに納めています。ちょうど優勝が決まった14日目。長野県出身の幕内優勝は初めてで、アスリート応援に力をいれる名古屋長野県人会の面目躍如の一日でした。
 「江戸の大関より国(郷土)の三段目」といわれるように、郷土力士の応援は力が入ります。各郷土力士の来場所以降の活躍を期待しています。
■70年を迎える会報誌「中京の信州人」

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 毎年1月に会報誌「中京の信州人」を発行しています。A4版100頁あります。県人会会長の挨拶に始まり、愛知県、長野県両知事からの年頭の挨拶をいただいて掲載し、会員からのふるさと自慢の投稿や郷土の企業の協賛広告が紙面を飾ります。
 なかでも三つの企画記事は、広報文化委員や役員による力作です。「我が郷里の名士」は19 回、「我が母校の紹介」は15回、「我が郷里のうた」は9回を数えます。
 ちなみに「我が郷里の名士」をさかのぼってみます。※出身地は現在の自治体名
69号「ヤクルト創業者 代田稔博士」(飯田市)
68号「飯沼正明飛行士と神風号」(安曇野市)
67号「ノーベル賞の有力候補だった山極勝三郎」(上田市)
66号「最後の大和艦長 有賀幸作」(辰野町)
65号「浅田飴の浅田宗伯」(伊那市)
64号「唱歌ふるさと作詞 高野辰之」(中野市)
 令和4年号(2022年1月1日発行)は、70号の節目となります。
■全国にある長野県人会のネットワーク
 東京、大阪、兵庫、京都、滋賀、広島、島根などで活動が盛んで、名古屋長野県人会との交流もあります。
 東京には長野県人会連合会(本部・千代田区)があり、毎月「信州の東京」を刊行しています。会長はセブン&アイ・ホールディングス会長を務めた鈴木敏文さん(坂城町)。私が東京で勤務していたときにインタビューをお願いしたことがあります。消費者に身近なコンビニを運営していただけに「バブルの崩壊」をいち早く指摘していたことが印象に残っています。
 大阪を中心とした近畿長野県人会は、会報「信濃」を出しています。兵庫県長野県人会は、2019年に創立70周年の記念植樹と祝賀会を開いています。会報は「白樺」。 
 京都長野県人会は年末年始に開催される高校駅伝、女子駅伝で長野県勢の応援を続けています。滋賀県の「淡海長野県人会」の会報は「信濃之国」。在広島信州県人会は名古屋長野県人会など各地の県人会と交流が活発です。2019年には島根大学の服部泰直学長(松本市)を会長に「島根・長野県人会」が発足しています。
 先日、昔のはがきを整理していたら、1984年の「小牧長野県人会」の新年総会の写真を刷り込んだ1枚を見つけました。愛知県小牧市在住の信州人50人が集っていました。年々、高齢化が進み、県人会活動も懇親の場だけではいけないと感じました。今は、ふるさと納税や農産品の購入といったかたちで郷土の応援をしています。
 これからは在住地とふるさと信州を結ぶ応援団として、アスリート支援や地元への提言など積極的な貢献が求められてくると思っています。
(2021年7月22日) 
 このリポートは、長野県の文化や経済について人からたずねられたときに、関心を持ってもらえるようにと、個人的にまとめたものです。タイトルにある「信濃の国」は、1900年に発表された県民の唱歌で、のちに県歌に制定されました。多くの長野県民によって今も歌い継がれています。この歌詞を話の軸にして、信州の文化と経済を考えてみようと思います。少しでもご参考になれば幸いです。

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