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エアモビリティ産業へ高まる期待~中部財界人新春サロンから

 初春の恒例行事、名古屋のCBCテレビ「第64回中部財界人新春サロン」。2023年1月4日、中継会場に足を運びました。地元財界人が新事業など今年の抱負を示す初の場です。
 記者は隣室の控室のモニターで視聴します。それなら、自宅のテレビで観ていたらいいのでは~と思われるかも知れません。ですが、名古屋の経済記者にとって、トップの「出入り」を待ち、新春のあいさつとともにコメントを聞き出す機会です。新聞業界で「ぶらさがり」という取材方法です。
 お堅い記者会見の中継ではないので、テレビ番組としての見せ方にも工夫があります。今年は、中継会場を自在に飛行する「生ドローン」の映像と操縦技術でした。
 操縦したのは、愛知県江南市のドローン撮影会社を運営する高校3年生、小沢諒祐(こざわ・りょうすけ)さんです。経営者の父親の背中を見ながら中学3年で起業。桑田佳祐らミュージックテープに使われている映像の撮影もするドローンカメラマンです。
 昨年2月に大分県で開催されたドローンムービー世界大会では、参加1000組の中で優勝しています。
 中継会場の廊下を飛び立った小沢さん操縦の手のひらサイズのドローン。その動きをCBCテレビの大石邦彦キャスターと柳沢彩美アナウンサーの実況中継風で再現してみます。
 「今飛び立ちました。 はい、今我々の目の前にやって来ました。急にスピードが上がって、好本さん(好本達也J.フロントリテイリング社長)の辺りを飛んで 前に進む。 どこへ行くのか? 我々の舞台裏だ。いったん止まった。ここから足場を組んだその下をくぐって、増田さん(増田信之東邦ガス社長)、小林さん(小林茂日本ガイシ社長)の後ろを通って来ましたよ。近くに来ると羽根の音がダイナミック。番組セットの小さな輪をくぐっています。小沢さんの手にかかると、これもおもちゃのようになってしまいます。今、会場の高さ6.2㍍ の天井の上空付近を旋回しています。このあと『どうする』『どうする』~。私の手のひらに板が載っています。そこに着地しました!すごい!」
 小沢さんは大型のカメラを搭載できる世界に1台のドローンも披露。テレビ中継や映画の撮影ができる高機能なドローで、価格は高級車1台分とのことでした。卒業後は東京に拠点を移してハリウッドや国内映画の撮影などに本格的に関わっていきたい答えています。
 間近に高速飛行を見た中部経済連合会の水野明久会長は、「自分でも操縦したことがありますが、小沢さんの操縦技術には驚愕です。ドローンもエアモビリティ産業として中部でぜひとも開発を進めていけたらいいなと思っている」と意を強くした様子でした。
 番組内ではエアモビリティ産業の期待をになう「空飛ぶクルマ」の映像も紹介されました。スカイドライブ株式会社(豊田本社・愛知県豊田市)の福澤知浩代表取締役CEOは昨年9月、米国で開かれたベンチャー企業のワールドカップに出場し、1万5000社の中から準優勝しています。空をはしる技術に加えて、実現性が評価されたからでしょう。
 ドローンビジネスや空飛ぶクルマといったエアモビリティ産業を中部地区に根付かせるには、どうしたら良いのでしょうか。
 出席した名古屋鉄道の高﨑裕樹社長は「当社の愛知県犬山市の観光CMで小沢さんの映像を使わせていただき、とっても良い仕上がりになりまし」と紹介しています。   
 中部地区は技術の集積とサプライチェーンは整っていますが、その後の販路を支援する仕組みが弱いと常々思っていました。頭脳流出を止めるためにも、「鳥の目」とともに、地をはうような「虫の目」による地道なサポート体制が求められています。
(2023年1月9日)※2023年10月1日再掲

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