見出し画像

QUEEN(クイーン)と名古屋~50周年展で旧名古屋ボストン美術館に新たな魅力

 英国の人気ロックバンド「QUEEN(クイーン)」の50周年展が昨年から東京、大阪で開催され、9月10日から名古屋でも始まりました。
 会場は、これまでもnoteで企画展を紹介してきた名古屋市中区の金山南ビル美術館棟(旧名古屋ボストン美術館)です。開幕前日の9日、内覧会がありました。

QUEENの衣装も見ごたえがある

 会場ではクイーンの歴史に沿って、七つのコーナーで見どころ満載でした。1991年に45歳で亡くなったボーカルのフレディ・マーキュリーの衣装や未公開写真、直筆の歌詞といったファンが期待する展示が続きます。
 驚いたのは、元美術館の一室に150インチのマルチスクリーンを4面設置し、1982年の日本公演の演奏を映し出す「イマージュ・シアター」でした。ガンガン響く音響と照明効果でライブの熱狂を追体験できたことでした。もちろん、映画の題名にもなった「ボヘミアン・ラブソディ」の楽曲もあります。

ウェルカムボードで記念撮影(左上から時計回り)、会場で手にできるフリープレス、トークショーの東郷さん、廊下には日本での演奏活動沿革、手書きの歌詞、ショップ@aratamakimihide 

 内覧会には音楽雑誌の編集長としてクイーンを紹介してきた東郷かおる子さんがトークショーで魅力を語りました。1975年の初来日のとき、羽田空港に女性の人だかりができて東郷さんもクイーンのメンバーも驚いたことなどエピソードを満載でした。日本で人気が爆発して、その後も全米チャートや世界でのヒットにつながったことも知りました。東郷さんはクイーンについて「日本人にうけるメロディアスな曲だった」と評価していました。
 東郷さんが編集長を務めたミュージック・ライフに掲載された写真のコーナーでは、クイーンが名古屋を訪れたときの写真も展示されています。名古屋城を背景にした写真などコンサートを離れたメンバーの表情も印象的でした。
 旧名古屋ボストン美術館は、1999年に東海銀行(当時)を中心とした名古屋財界の肝入りで開館しました。当初から米ボストン美術館との契約により、専門的な企画展が続いたことで、初年度70万人だった入場者数が2001年度には30万人にまで減少してしまいます。名古屋財界の応援団も減少し、運用財産も取り崩され、2018年10月に最後の企画展を終えています。
 その後、「貸しギャラリー」のようにスポットで企画展が開かれてきて、私もnoteでいくつか取材して紹介してきました。
 例えば、今年4月のXジャパンのギタリスト・hideの企画展、2021年11月のトリックアート展、2021年2月のバンクシー展などです。
 クイーン50周年展で感じたのは、この美術館は巨大な映像と大音響を生かした展示に向いているのかなということでした。
 「旧名古屋ボストン美術館」は、名前の通りボストン本館の分館という位置づけでした。格式と静寂を重んじるかのように、地元では浮世絵展を望む高齢者ファンが多かったのも事実です。

ミュージック。ライフの特別号(左)、内覧会で説明する本展キューレター吉田聡志さん(右上)、会場のあちこちにビジュアルな演奏シーンが待っている(右下)@aratamakimihide 

 前回のhideや今回のクイーンが、この美術館のイメージを大きく変えてくれた気がします。
 クイーン50周年展は11月17日まで。見どころ、聴きどころがたっぷりのうえ、旧ボストン美術館の新しい魅力にも気づかされることでしょう。
(2022年9月19日)




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?