見出し画像

オペラ歌手になるわけがない

猫も杓子もClubhouseである。

「猫も杓子も」ってすごい表現ですね。杓子て。まあそれはいいです。Clubhouse、僕はだいたい夜少し飲んだくらいのときにつないでちょっと遊ぶくらいしかしてないんですが、そこで20年前の友達と邂逅しました。20年前なにをやっていたかというと、僕は大学に行きながらイメージフォーラムという映画の学校に通っていました。そこで知り合ったのが彼で、当時はかなり仲良くて気が合って、お互いのアパートで泊まりで遊んだりするぐらい仲良かったんですが、卒業後は会わなくなりました。彼が地元の広島に帰り、オペラ歌手になったからです。こう書くとすごい変なやつみたいでウケますね。伊集院さんがラジオ始めたてのころオペラ歌手と名乗っていたという話が思い浮かぶからでしょうか、人は「オペラ歌手になった」と言われても「オペラ歌手になるわけがないだろう」と思ってしまう習性があるので、すごく嘘っぽいのですが、本当です。

それから20年がたち、Clubhouseで再会したのです。もうひとりの共通の友人と3人の部屋でした。もうひとりの友人とはその当時から今までずっとつながっていて、たまに会っていました。オペラ歌手になったという情報も、そのもうひとりの友人から伝え聞いていた情報でした。
最初は近況報告なんかをするわけですが、彼は今東京に出てきているということでした。な〜んだ言ってよ〜。電話番号知ってるんだからさー。ということになるわけです。まあそこからいろんな話でひとしきり盛り上がりまして、そろそろ寝ようかなというころになって、彼が言い出しました。

「俺離婚したんだ」

いやいやいや、知らなかったんですけど、ていうか結婚してたのも知らなかったんですけど。言ってよ。

「養育費が大変なんだ」

子供いるじゃん。

「ひとり目がさ」

ふたりいるじゃん。言ってよまじで。
僕は彼のことを何も知りませんでした。知らない間に結婚して子供ふたり作って離婚して東京に戻ってきてた。あんなに仲良かったのに全然知りませんでした。いやーびっくりした。ほぼおいでやすこがのコントでした。

ところで「孤狼の血」って映画あるじゃないですか。あのおもしろい映画、あの映画の中で、石橋蓮司の病室でベッドの横でうな重持ってるヤクザの下っ端がいるんですが、それが彼です。言ってよ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?