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小諸市「そば七」無愛想?うまいからよいのだ

店名 そば七
場所 長野県小諸市本町3-1-2
電話 0267-22-7688
ジャンル そば屋
バリアフリー ◯
食べたもの 「ざる 大盛り」1210円、「玉子焼き」440円

昔から愛想がいいねぇ、とよく言われる。たしかに話し好き、いや大変なおしゃべりではあるし仏頂面よりも笑っている方が多いとは思うが、こう見えても人見知りだし対人恐怖症だし初めて会う人と口きけないし、という赤ちゃんなみのコミュニケーションスキルしかないのであるが、父親からの
「男も女も大切なのは愛嬌。世の中可愛がられてナンボだよ」
という教えとトレーニングの賜物といえるが、あくまでもそれは表面的なもの。だからオレは人見知りなんだって!!!

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同様に
「営業やらない?」
というお誘いを受けることがしょっちゅうあるし、現実に何年かやっていた事もあるが、あの商売は愛想のよしあしで出来るものではない。なにを売るにせよしっかりとした知識と経験、そして根気あってこそ可能なのであり、私のような表面的笑顔かつズクなし人間には出来ない仕事だ。

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そして何はさておき、本物の営業は笑顔はいらない。私は某住宅メーカーの『伝説』と言われた営業マンを2人知っているが、ひとりはまったくのポーカーフェイス。一緒にいて腹が立つほど笑顔を見せないし、もうひとりは笑いはするが話ができない、というかコイツ日本語喋れるんかい?というほど話下手。だが、ふたりとも売りに売りまくるのだ。つまるところ営業とは笑顔でも話し方、トークではないく、そのものの存在感であり、どれほど安心感を与えてくれるか、なのである。


「そば七」

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そばなどという雅な食物とは日常的に深いつきあいをしていない。存在感ボリューム感ともに喰った気がしねーよ。とは乱暴すぎるがそんな風に思わなくもない。だからたまにお邪魔するのは草笛くらいという、風流もへったくれもない50オヤジだ。そんな中、ある方からこちらには『浅間盛り』なるすげーメニューがあるよ、とのご案内をいただき参上した。

小諸の少々古いが、ふうわりとした街並みにあるそば屋さん。古い家屋をリノベーションしたとみえ、広い土間に漆喰壁に竿縁の天井、墨絵の描かれた帯戸などをうまく使ったセンスのよい空間だ。

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平日、昼少し前とあって店内には他のお客様もいないので、座敷席を使わせてもらう。早速浅間盛りをお願いしたら店主が出てきて
「そば、あまり打ってないんだよ」
とぶっきらぼうにひと言。それだけ言って突っ立っているのでこちらも、え?なに?説明なしじゃわからない。となったが、要は浅間盛りは量が多いので予約してこいや、という事らしい。仕方ないので通常メニューを注文する。

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これが有名な無愛想店主か
あちらこちらでいろいろと取り沙汰される人物で悪口をいう者もいるようだが、生憎なことに変人の私は輪をかけての変人が好きなのだ。それにここにはそばをたぐりにきたのであって、店主と交流するためではない。さぁ早く来い腹がへったぞ。


「玉子焼き」440円

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そば屋のそばがき、玉子焼き、やっこ、焼き味噌なるメニューは日本酒のアテのために用意されているものであろう。酒は好まないし飲まない(車だからそもそも飲めない)が、池波正太郎っぽくてつい注文してしまう。

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ほんのりと暖かい玉子焼きが四切れ並んでいる。シブい黄色が和の魅力を発揮している。玉子の甘さ、香りと抑制された出汁の味わいが大人の存在感を放つ。私は甘い甘い玉子焼きを好むが、これはじつによい。オヤジ、熱いのを頼む!といいたくなるが飲めないんだって。

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「ざる 大盛り」1210円

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ざる、という割には板の上にのせられたそば。板そば、新潟であればへぎそばになるのか。小鉢には味噌を添えたゆでジャガイモに野沢菜漬け。薬味はネギに大根おろし、黄色は柚子胡椒であった。

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そしてそば

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二八というが、香り高くぬれぬれしたそばはとてつもなく太く硬い。甘すぎず辛すぎずほどよい味わいのつゆに太いそばがよく絡んでよい。そばは手繰ることはできるが、いつまでもすすりこむ事が出来ないので、噛みちぎらなければならない。江戸前そばは細打ちで噛んじゃいけない、という流儀があるようだが、これはまったく対極にある存在といえる。

美味い
このそばははっきりと美味い。様々な流儀、流派のある中で、このそばは
「わが道を行く」
存在であるといえるのではないか。玉子焼きといい素晴らしい店と出会う事ができた。


会計の際に店主が出てきたので、大将美味かった!そばも玉子焼きも絶品だった!と褒めちぎったら、笑顔までは出ないが満更でもない表情となる。
「浅間盛りは予約してきてよ」
とまた言うのでどれくらいの量があるのかと訊ねたら大盛りの4倍、食べ切れたら2,000円、残したら4840円という。なんだチャレンジメニューなのか。可愛げあるじゃないか、と思ったが次回挑戦するかどうかは検討中である。

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