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TOP interview vol.5

10年後の大野を考える

人口減少や高齢化、空き家問題など、
まちなかの景色はどんどんと老いていく。
不安に駆られて考えれば考えるほどブクブクと潜ってしまい、
思考が停止しかける。
遠くない未来にやってくる地域の問題を
業界トップの方々はどう見ているのか?
そんなお話をお聞きする企画です。

第5回は税理士というお仕事。
事業をする上で必要になっていくお金や数字のこと。
その事業者が安心して仕事ができる環境をサポートする。
それは社員や家族のためだったり、生きるためだったり、
夢を叶えるためだったり。
お金を別の価値に変える仕事なんだと実感。

山本さんには仕事へのこだわりと大野への愛がある。
常に勉強し続け前に進むことで切り拓いていこうとする未来。
厳しい言動のなかに見える大野への愛。
山本さんのお話を聞いていると
“まちづくり”には責任感と行動力が大切だと感じます。
本気で愛をもってまちのことを考えている人とは
こういう人なのかもしれないなって思いました。

ここで働くことに真摯に向きあっている
すべての人に読んでもらいたいです。

企画・編集:荒島旅舎 桑原圭 / 横町編集部 三浦紋人


Interview 5

山本総合会計事務所 代表
税理士 米国公認会計士 薬剤師
山本庸介さん(40歳)
※2023年1月現在

>大野にこだわって仕事をつくる

”大野が嫌で高校卒業後は都会へ出る”
大野の高校生のあるある話。
山本総合会計事務所代表の山本庸介さんは
高校卒業後、大阪にでた。

薬学部を卒業して大手の製薬会社、外資系などを渡り歩き
世界を相手にする大きな仕事もした。
“福井で仕事がしたい”
そう思って大野に戻ってきたのは35歳の時。
これまでのような仕事は福井ではできないだろうと思い
“福井で働くこと”について一から考えた。

「どんな仕事であっても常に勉強していかないといけない。
だったら興味のあることをしようと思いました。」
これが山本さんの仕事に対する考え方。
元々数字が好きだった山本さんは
数字に関わる仕事がしたいと思い税理士になろうと決めた。
しかし、資格をとるのに平均10年はかかると言われる税理士の仕事。
諦める人も多い。
山本さんは覚悟を決めてひたすら勉強した。
これで取れなかったら終わる。その一心で。
これまでのキャリアに甘えず、偉ぶるわけでもなく、
何者でもない自分に危機感を覚え、それを素直に受け止め行動する力。
自分で仕事をつくるという気概。

税理士の会社にバイトとして入社し
働きながら資格をとり、その会社の幹部にもなった。

企業に勤めるなかで感じた組織と自分の想いの違い。
大きな仕事はもちろん大切。
しかし、自分がこだわったのは福井で働くということ。
この地域の人の役に立ちたい。
事業者に寄り添ってもっと事業がよくなるお手伝いがしたい。
それは地域の発展にもつながる。
そう確信をもって独立へと向かっていった。
“やりたいこと”ができる環境を大野で作る。
そこには深い郷土愛があった。

>税理士という仕事

税理士とは経営者と並走し長くお付き合いをしていく仕事。
この業界も高齢化しているそうで
経営者と税理士との年齢差はネックになる。
だからこそ事業継承の時には、次の経営者がこれから付き合っていく税理士を改めて考えることはとても大切。

「属人的な仕事なので、山本にお願いしたいっていう人は最後までお手伝いしたいんです。」
税の計算をすることは税理士としては最低限のサービス。
それだけでなく、事業者の想いを汲んで
もっと働く環境を改善し、事業拡大のお手伝いもする。
これが山本さんが選ばれる理由。

「自分の人生で一番面白そうって思っているのは、大野や福井という地域をビジネスの力で維持発展させていくことできるということ。
難しいことですし、だからこそ自分の興味を満足させてくれるんです。」
仕事への強いこだわりは地域を発展へと導く。
それは終わりのない勉強と挑戦の連続。

>“大野で働く”未来

「私は常に20年後を考えています。その時、大野の人口は約2万人。
子どもの数は私の時の1/5になると予想されます。」
20年後の大野。
もちろん学校は合併され、学習塾はなくなり、子どものお店もない、小児科だってなくなる。
自ずと産業もなくなっていく。
「一定の人口規模がないと町としては成り立たなくなると思います。
安心して住めない町になる。これが一番怖いですね。」

大野が消滅するのは嫌。
そのためには、まずは現状を悲観する大人を減らすことだと山本さんは言う。
マイナスな言動は子どもにも派生し、大野の未来を自ら暗くし、閉ざしてしまうことになる。
「現状を不満に思うなら自分で変えないと。だから口だけで行動しない事業者はしばいていきます(笑)。大野に関しては自分ごとやと思っているので。」
地域のことを自分ごとに考えられる責任感。
この想い、こだわりは他に代替えできる人はいない。
「だから頑張れるんです。」と山本さんは言う。

“自分の持ち場で頑張る”こと。
それは1つ1つの事業者が考えていかないといけないことだ。
「働く人を増やし、キャリアを育てる環境を作る。そして、その人たちが安心して子どもを育てられる待遇も作りたいです。」
同じ想いをもつ仲間を増やすこと、関連士業を100人くらい輩出したいというのが山本さんの夢だ。

>行動を重ねて次に伝えていく

「僕は誰かに頼るより自分でなんでもやってみようと思う気持ちが強いです。言葉だけではだめだと思います。言葉は軽いって思っているので。」
まずは行動に移し、実績を積み上げていくこと。
実績をもとに伝えることで、もっと多くの人の心を動かすことができる。

これからの人に伝えたいこと。
「いろんな価値観を知ってほしいですね。今ある大野が自分の常識になっていると思うんです。だから一度大野を出て、想像力と見識を広げて欲しいです。」
コミュニティを広げ関係性の視野を広くすると、瑣末な問題がどうでもよくなる。
それで大野を好きだと思ったら戻って来ればいい。

「お金に携わる仕事をしていますが、携われば携わるほどお金って一番重要じゃないって思います。一番の判断基準にしたらあかん。お金以外に重要な価値観があって、それに気づいている人の方がお金儲けがうまいですね。」

「田舎を言い訳にせず、大野で頑張っている方々は支援していきたいですね。」
地域への愛を行動に。
“言葉は軽い”という山本さんの言葉には重力がある。
それは、“まち”は思想や想いでつくられるのではなく
1人1人の責任ある行動の積み重ねの結果が強力な矢印となり
地に足をつけ、新しい大野をつくっていくのかもしれない。

頑張ろう!大人。

>編集部memo

・自分の持ち場で頑張ること
・言葉よりも行動
・時間の概念、行動計画をもつことで責任感が生まれる
・成果から考える“まちづくり”

お付き合いいただきありがとうございました。
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次回をお楽しみに!

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