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TOP interview vol.3

10年後の大野を考える

人口減少や高齢化、空き家問題など、
まちなかの景色はどんどんと老いていく。
不安に駆られて考えれば考えるほどブクブクと潜ってしまい、
思考が停止しかける。
観光とは別の仕事という軸。
大野にはたくさんの企業があり大野を支えている。
遠くない未来にやってくる地域の問題を
業界トップの方々はどう見ているのか?
そんなお話をお聞きする企画です。

第3回はIT業界。
労働人口が減るこれからの大野にこそ必要な仕事ではないか?
って思います。
お話を聞いて、課題解決の視界と目線にとても柔軟性を感じました。
悲観的になっているのは
ノスタルジーに囚われている自分だけなのかもしれない。
そう感じさせられました。

望郷と現実、そして新たなデジタルな仮想空間。
“つながる”という言葉は次元を越え、
より多様性を拡張させるのではないかと思います。
確実に予想できる未来を見て次に挑戦していく。
思考を広げれば“できる”ことはもっともっと増える。
そんな前向きになれるお話しでした。

大野でのITに興味のある人。
本気で今の会社を変えようとしている人にぜひ読んでいただきたいです。

企画・編集:荒島旅舎 桑原圭 / 横町編集部 三浦紋人


Interview 3

株式会社Better WEB
代表取締役社長
道下 宏一 さん(35歳)
※2022年11月現在

>大野で起業した理由

「大学時代から起業には興味があったんです。」
2020年1月“IT(WEB)で地域社会をより良く”というスローガンを掲げ
道下宏一さんは東京から大野へUターン、“Better WEB”を創業。
前職はNEC。
起業することを前提として、大きな会社で社会を学ぼうと入社。
「とにかく起業することは頭にあったのでなんでも手を上げてやりました。」
営業から企画、システムまで幅広く携わり、新規プロジェクトや海外案件も手がけてきたそうだ。

「28歳くらいの時は東南アジア、欧州などを中心に15カ国ほど仕事で出張に行き、30歳の時は空飛ぶクルマの事業を立ち上げていました。」
海外での活動を通して感じたこと。
“ITだったら場所を選ばない”
そして
“困っている中小企業をITの力でもっと救いたい”
地方にこそ、大手ではやらない小さな会社のできることがたくさんある。
そう確信し、大野に戻ってきた。

>IT業界の課題

「IT分野は慢性的に人不足。今後10年もその傾向は続くと考えています。」
“Better WEB”のメンバーは現在3人。
1人は中高時代の同級生でデザインを担当。創業から関わる。
もう1人は創業後、SNSからの問い合わせからアルバイトを経て、2022年の春から社員として働いている。
大野でIT企業は少ないので、問い合わせも多くあるそうだ。
そのなかでも本気の度合いはまちまち。
しっかり見極めたのち採用を決め、とことん育てる。
変化の早いIT業界には、時代の変化を感じとり学び続けられる人が必要となる。

「ITは横の産業なんです。」
どんな産業でも何かしらのITは使っていて、どの業界でも必ず役に立てることがある。
リモートが一般化され、スマホを持ち歩き常に世界とつながっている時代。
「中高生にもIT業界という選択肢を持って欲しい。」と道下さんは語る。
視野を広げるため、企業と子どもたちの接点を持つことはとても大切だと感じる。
それが人材をつくるまず第一歩。

>大野とIT

道下さんが特に不安に思っているのは労働人口が減っていくこと。
働き手が減ることは外からの流入が見込めない地方では大きな問題になる。
だから今のうちに企業は人手をかけるべきところを見極め、自動化を検討する必要がある。
業務を効率化させ、利益を得ることができれば生き残ることができる。
「人がやるべきことと、必要のないものを整理して、次世代にバトンを渡すことが重要であると考えています。」
そして、それがITを使ってできること。

「ITに期待されていることは2つだと思っています。
・売上を増やす
・固定費を削減して、生産効率、業務効率をあげる
そのためのサービスが各社異なっているのがIT業界なんです。」

例えば、売上を増やすためにHPやネットショップを構築する。
業務効率を上げるならシステム化して自動化する。
人がしていたことをITが補い、商圏を広げ、効率化させる。
そうすることで、人は本来するべき仕事の精度をあげることができる。
結果的にサービスの質が向上し、企業価値もあがっていく。

地方の製造業は価格以上の品質があるのでチャンスだと言う。
それを欲しがる人はたくさんいる。
効率よく新しい卸先を見つけるために使えるI Tサービスはたくさんある。
「例えば、」と、話しながら幾つもの既存のITサービスを見せてくれる。

しかし、なかなかそれに挑戦する企業は少ないと感じるそうだ。
「人が少ないとかネガティブなことを言って、じゃあなんかやっているんですか?って聞くと、何もやっていないことが多いです。」
悲観的、現状維持、継がせたくない、自分の代でたたむ。などなど。
事情はそれぞれあるが、自己都合で閉じてしまっている人も多いのではないのだろうか。
思考を停止させるのではなくまずは挑戦する。
その姿を見て、子どもたちは大野の未来を感じるのではないかと思う。

>人生は想像できないけど、未来は想像できる

コロナ禍もあり、時代は急速に変化していく。
「今は、特に非接触型の事業形態に注目しています。」
ネットやライブコマースといった売り方や商圏も国内だけでなく海外、そして次はメタバースといった仮装空間も視野に入ってくる。
さらにNFTや仮想通貨などの国を越えた新しい通貨の形も生まれてきている。

舞台は世界。
ビジネスをする上で、地域の人が減ることは問題ではなく
むしろ世界的には人は増え続けている。
世界基準で売れるものを考え、作り、売る(届ける)ことができる。

ネットで買ってくれた人がファンになり、実際に作っている土地を訪れたくなる。
それが大野に来る理由であってもいい。
世界に向けた点をたくさん作ることでそれがだんだんと線になり、面になっていく。

道下さんと話して感じるのは
問題提起してから“できます”までのスピードが速い。
できないことはないんじゃないかとすら思えてくる。
思考の枝葉があらゆる方向に向き
“まずやってみましょう”ってその一歩を後押ししてくれる。
この一歩の挑戦をもっと多くの人が軽やかにできるような
この“できますか?問答”をする場があるとすごくいい。

最後に、これからの方へのメッセージをいただいた。
「みなさんは、今知っている知識から将来を選択すると思いますが、将来は多分、今の想像と異なると思います。
自分の人生は想像できないけど、起こる未来は想像できます。
悲観的になるニュースも多いでしょうが、結局どれだけ前向きに考え、行動できるか、だと思っています。変化を楽しめる人であって欲しいと思います。」

>編集部memo

・経済の好循環を産むことは、教育、人材育成にもつながる
・自分の人生は想像を超えていくくらいがいい
・起こる未来は予想ができるから対処、解決は必ずできる
・できますか?問答をしたい


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