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理想の商店街をつくる vol.2 〜敷居をまたぐ〜

「空き家とサーカス」でもう1つ考えていたこと、それは今あるお店との関わり方。
この商店街には今でもたくさんのお店がある。しかし、中に入ったことのある店は少ない。
例えば「地酒を買いたい」「和菓子が食べたい」など目的によってお店を目指し、その前で車を止めて買ってきてしまう人がほとんどなんだと思う。歩く必要がないと感じさせてしまう商店街は、とても大切な機能を失っている。どうやったら他のお店にも興味をもって関わってもらえるのか。悩ましいけどスルーできない問題。

駐車場に車を止め、和菓子屋を目指して通りを歩く。買い物ついでに足りない日用雑貨を買ったり、お土産のたこ焼きを買ったり、そういう商店街になるとすごくいい。

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だから、歩く理由をつくりたい。空き家とサーカスは、ひとつの会場で行うイベントではなく、お店を点在させて擬似的な商店街をつくることで歩く商店街をつくりたかった。お店に入る理由をつくる。そこで、既存店の中にも出店者を入れ、普段は入らないお店の中も見てもらいたい。考えていたのはここまでだった。あくまでも機能としてのコラボレーション。

イベントではその機能を越えた、もっと素敵な関係が生まれていた。築100年以上の趣ある酒屋さんの店主と、県外から移住してきたママさんとの出会い。

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後から聞いたら、2人は初対面で、お互いの感性に惹かれあいビビッときたらしい。この場所が醸す空気感、活けてある花に店主の人間性を見つけ一目惚れしたママさん、そのママを娘のような目でみる店主。すごく嬉しそうにお互いのことを話す2人がとてもいい。さらに、イベントが終わっても2人の関係が続いていることがまた嬉しい。人と人との関係の構築は、企画書でかけるものでもないし、機能的に考えてつくれるものでもない。衝動的であったり感性であったり、予期せぬところで起こるのが最高に面白い。このイベントをやってよかったなと心から思える。

このことをきっかけに、酒屋の店主、恵美子さんとは私たちもよく話すようになり、もうすでになんでも相談できる仲良しになってしまった。つい先日、改装中の宿泊施設のお披露目も兼ねた「おもちつき」をした時も、もち米を蒸すところから全部教えてくれた。余談だけど、できないことは先人の知恵を借りるのが一番いい。道具もスキルもだいたいのことは商店街にある。自分たちで全部やってしまわない所に商店街の人たちの入る隙もできる。一緒にやれることが増えていくと関係はもっと深まる。

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私たち荒島社の事務所は商店街のなかにある。しかし、商店街にいながら入ったことのないお店の多いことにだんだんと違和感を感じてきた。この場所のことを何も知らずにコトを起こすことの矛盾。これは、関係を作ることから先に始めないと何も言えないなと思った。

だから、考えるより先に臆することなくまずは敷居を一歩またぐ。話してみる。そこから始まりそうなことを考える。そうすると、できることはもっともっと広がる。さらに、そこには想像を遥かに越える面白コンテンツが眠っていると最近感じる。理想の商店街のつくるなんて、体のいい言葉で勝手に言ってるけど、ここで暮らしている人を無視しては面白い商店街はできないんじゃないかなって思う。

今ある商店街をどう楽しめるか。これからできる宿泊施設では、自分たちが足で歩いて集めたコンテンツを武器に、ゲストをどんどん商店街に送りこもうと思う。

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ここからは、空き家とサーカスイベント終了後に、先ほどのお2人に話しを聞いた記事です。

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勇気を出して一歩進んだ先はみたこともない素敵な世界でした。

「何か表現する場所が欲しい。」他県から嫁いできた巴さんは大野で小さくネットショップを始めた。自分の好きなものを仕入れて販売する。すると、ネットの向こうにいるお客さんに会いたくなる。しかし、大野でお店を出す勇気はなかった。そんな時にこのイベントを知った。

 「このお店じゃなかったらできなかった」。その最大の理由は、山田酒店の店主、山田恵美子さんとの出会いにある。

 初めて訪れた時、生けてある野花をみて「これだ!」と直感、出店への勇気を後押しした。そして、恵美子さんも最初から「この方に使って欲しい」と思ったそうだ。お店がお互い引き合わせ、人と人の縁を繋いだ。感性が共鳴し、心のマッチングが起こった。店舗の2階で書道の先生もしている恵美子さんにお店の屋号「静かな木漏れ日」の看板を書いてもらうという素敵なコラボレーションも生まれていた。

 これまで巴さんにとって大野はどこか知らない場所だった。しかし、ここで出店したことで、商店街の人が子どものためにお菓子を持ってきてくれたり、近くのおもちゃ屋さんの存在を知ったり、まちとの関わりが生まれ世界が急激に広がった。

 大切なのはその一歩。お店の敷居を一歩またぐことで、人や物事が混ざり合う。この化学反応で商店街は劇的に変わるのかもしれない。理想の商店街のヒントは常にお店の中にある。「事件は現場で起きてるんだよ」と恵美子さんは笑った。

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空き家とサーカスのイベントの様子は下記の大野が誇るYoutuber 仲村屋の動画をご覧ください。


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