書籍化・WEB版【稀代の悪女、三度目の人生で……】(一章)21
『居留守を使うなんて、よほど傷つかれたのね。お可哀想なお義姉様。私だけ楽しんでごめんなさい。シュア様がぜひそうしろって言うから、仕方なく……』
あの子が夜に帰宅してから1度来たらしいけど、特等席で花火を見てたらそのまま眠ってしまって。帰宅が遅くなったのよね。
何かしらを勘違いしたらしいシエナはそう言いながら両手で顔を覆ってポロポロ目から水を溢していたのだけれど、惜しかったわ。
口元がニヨニヨと笑っているのが指の隙間から見えるのよ。
『残念ね』
『ええ、シュア様も