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「光る君へ」 第36回 待ち望まれた日

このところ自分の「文句言い」の熱量が、下降する気温と共に(?)急降下しているのを感じる。
まずい。何も感じなくなってきた。。(最終回まで持つのか!?)
いや、ここ数回以来「同じ虚無感を感じている」と言った方が正しいか。
怒る気さえ起きなくなった最終段階は「無関心」なんだよな。
ここ数回の過度な「まひろ無双」にも悪い意味で慣れつつある。
(不快でないとは言っていない)

まぁともかく気になったところを挙げていくとするかー!


露骨すぎるまひろ無双

彰子のまひろ重用、いくら主役とは言えあまりに安直、極端すぎだし、なぜそこまで?という疑問が晴れない。
あんなに女房たちがいてまひろ程度にさえ気遣える者がゼロだったってこと?
あそこまでの偏重は彰子がまだ子供で人心をわかってないという描写なのか、単にまひろがそのくらい素晴らしいという描写なのか(もちろん後者)。
彰子に「そなたがおればよい」「私の大切なご指南役」、出産直後の疲労困憊な状況でまで「私の今日は藤式部の導きによるものです」と言わせるんだもんなぁ。。
倫子のまひろへの嫉妬心の一因にもしたいのか。

まひろ、不敬・わけ知りスナックママ発言集

  • 新楽府を「帝のお好きな書物と存じます」(勝手に主上の好みを語るな!)

  • 「政の頂にある者が人々の心をまことにつかむのは並大抵のことではございませぬ」(何様?)

  • 「瑕とは大切な宝なのでございますよ。瑕こそ人をその人たらしめるものにございますれば」(自分のこと?説教強盗?)

  • 「恐れながら中宮様のお気持ちよく分かります」(中宮と自分を並べんな)
    「私にも娘がおりますが」(やっと思い出したのか!)
    「帝のお喜びになるお顔を思い浮かべてくださいませ」(不敬)

ソウルメイト無双

  • 土御門殿で漢籍講義中、倫子・道長が子供たち(妍子、教通、威子、嬉子)を連れて登場。
    「瑕とは大切な宝なのでございますよ(フフン)」なんてドヤ顔気味で言った直後にソウルメイトが「よそ」で作った大勢の子供を目の前にしたまひろ。
    さすがにちょっと動揺?
    道長が目を合わせないようにしてたのは肝が小っちぇー感じがしてよかったw

  • 邸内の廊下ですれ違うソウルメイト。まひろがニヤついててキモ!
    倫子にまひろ用個室に案内された時と同様、相変わらずまったく良心の呵責っぽい描写ないよね。
    北の方、妾に拘ってたり、宣孝に灰をかけたりしたのは何だったの。

  • 敦成誕生後、縁で柱を背に並んで座るソウルメイト。
    おいおい、いくらなんでもそんな人目つくとこで大丈夫か??
    「…今宵の望月のすばらしさそのままに千代もめぐり続けるでありましょう」
    まさか望月の歌までまひろが元ネタ!?
    後年、道長がまひろの方を見ながら望月の歌を詠む場面がありそう。

  • 道長、まひろを訪ね紫式部日記を依頼。
    「中宮様の晴れの場。後に続く娘たちにも役立つように残したいのだ」
    …ん??ちょい待ち。
    「後に続く娘」?野心満々じゃん。私利私欲のないって設定はどこへ?
    今度はなんのための「いけにえ」?
    まずはこの2年後、妍子を東宮に入内させるもんね。

  • ついに倫子が二人の妙な気配に気づいた?
    あの不快そうに立ち去る倫子を慌てて追う道長はよかった。
    それにしても、赤染衛門に「どういうお仲なの」なんて言わせたり、この倫子の様子といい、安っすい昼メロ展開になってきたな〜。。
    そもそもはソウルメイト設定自体だけど、せっかくいい素材を揃えても、肝心の味付けがマズければ料理としては大失敗、のいい見本だな。
    せっかく大納言の君を配役しといて召人のことはやらないの?

敦康と彰子

公式の人物紹介説明文からなんか嫌な予感はした。
敦康「お子が生まれたら私と遊ばなくなるのでしょ?」
彰子「帝のお渡りもない頃から親王様だけが私のそばにいてくださいました。この先も私のそばにいてくださいませ。」
…皇子に向かって父親(帝)が「お渡りもない云々」って言う??
「彰子にとって自分は特別でなくなると不安な敦康を慰めるほっこりシーン」にしちゃってるのは、そういう感情面を強調して道長の政略面から目を逸らせる意図?

東宮居貞と娍子、敦明 with 道綱

  • 道綱はこの頃、大納言、東宮傅。
    いくらなんでも東宮も敦明も呼び捨てにはしないだろ(権記では「傅殿」)。
    「大納言」呼びじゃダメだったのか?

  • 東宮が彰子懐妊を悔しがって、次期東宮には敦明を!と息巻くけど、この時点でそんな思惑があった?冷泉ー円融交互という順番通りなら三条(冷泉系)の後は敦康(円融系)でおかしくないんだけど。

  • 敦明はいかにもの軽薄そうな描写。直衣の柄がゴージャスw

敦成誕生の宴、久々のF4(…)揃い踏み

この場面で公任に言わせてたセリフ、全部道長の脳内のつぶやきそのものだよな。
「皇子であったらややこしいことになるな」
「敦康様の後見は道長だがもし道長が後見をやめたらどうなる」

そして案の定、このドラマの道長はそういう「下世話」な話には乗らない。
「次の東宮様のお話をするということは帝が御位をお降りになる時の話をするということだ。」
へー?
実際は彰子懐妊後、皇子(敦成)誕生前から「定子様所生皇子女に対する道長の対応には明らかに、変化が生じている」状態だった。

この頃、完子所生皇子女に対する道長の対応には、明らかに変化が生じている。四月二十四日、一条が、病悩している媄子内親王の加持を奉仕した文慶阿閣梨を権律師に任じることを道長に提案したが、道長はこれに難色を示している。
その媄子も、五月二十五日に薨去してしまった。定子の死と引き替えに生まれてきた媄子に九歳で先立たれてしまった一条の悲しみは察するに余りあるが、道長の『御堂関白記』には、これに関して何の記述もない。
五月二十九日、一条は行成に敦康御修法のことを仰せた。行成は道長の許を訪れてこれを伝えたが、結局、これは六月二日に高階業遠邸(高倉殿か)において行なわれており、道長が関与することはなかった。七月十三日にも、敦康は道長邸ではなく内裏で御読経を行なっている。

倉本一宏「一条天皇」

この太字の部分、「御堂〜」の現代語訳で見るとすごく嫌味で感じ悪い。
右少弁藤原広業が伝えてきた「文慶を権律師に任じるのは如何であろう」という主上の仰せに対して、

奏上して云ったことには、「先日、文慶を褒賞なされよと奏上しましたのに、重ねて仰せが有るのですな。ただ、天皇の仰せに随います」と。

倉本一宏「御堂関白記」

「だからそれ、私が先に言ったやつですよね?(鼻で笑う)」って感じ?

ききょう、伊周邸を訪れる

そう、上に書いたように媄子内親王が薨去してしまう。
ききょうは、竹三条宮(元 平生昌邸)で脩子様と媄子様に仕えていた設定なので鈍色の装束。
皇子が生まれたと聞いてききょう「皇后様一筋の帝が何故…」
天皇の役割を何だと?
確かに定子様への思いは特別だったかもしれないけど、それはそれ、これはこれ。子孫を残すのは国家事業なんだってば。好き嫌いで済む幼稚な話じゃない。
賢帝一条天皇を恋愛脳で語るな。
清少納言にこんなまぬけなセリフを言わすとは。
それにまるで物語(まひろの!)の力でそこに至ったと言わんばかり。
脚本家は「源氏物語」には枕草子と違ってそんな力があると言いたいんだろうな。

主上

彰子懐妊を聞き「懐妊祝いにしるしの帯」を手配指示場面、敦成誕生後の土御門殿行幸場面、いずれもいまひとつ浮かない顔をしてるのはいいな
前掲の「一条天皇」によれば「敦康の時とは異なり、諸資料に一条天皇の喜びの言葉は残っておらず、御書も持たせていない」という様子だったらしい。
主上のシーンはどれもこのドラマでは珍しい(小声)違和感のない適切な描写なんだよな。
あ、でも媄子内親王薨去で主上のシーンがなかったのは残念。
…主上Xデーまであと3年になってしまった。。。


【(久々)今日の行成】
なんか、今後のフラグ立てまくりのセリフ言わされてたな。
この時点であんなことをわざわざ言わすのって絶対(脚本家の)魂胆あるよな。

「ややこしいことは ございませぬ。これまでの倣いによれば居貞親王様のあとは帝の一の宮敦康親王様が東宮になられるのが道理にございます。」
「そのようなことを道長様がなさるはずはございません。」

ここからあの発言をするまでの“変心”をどう描くのか。
道長に説得されて?
道長の苦悩(プ…)を察して自らの考えを抑えて説得?
どっちにしろ、矢面に立つのは行成なんだよな。
これはやっぱり行成の転向に非難を集めさせて、道長を無傷にするための前振りだよな。
今作ではモブは主役を輝かせるか、代わりに泥をかぶるかの役割しかない。

そしてドラマ的には完全に無視されてるけど、この年(寛弘5年)7月17日、行成の叔父義懐が入滅(52歳)。
かつての主君花山院の薨去から遅れること5ヵ月。
今回はさすがに同時にとはいかなかったがそれでも同じ年のうちに後を追った。


先週の「一たび物語になってしまえば〜」の場面、批判に対して『テロップやナレではっきり描かないのが上品なのに』というポストを見かけた。
…上品?うーん。。
あれこれ想像できる余地を楽しいと思うか、雑と思うかなんだろうな(←)。
さすがに「心情をテロップやナレで」とまでは望んでないけど、あれ、脚本家がこのドラマで一番描きたい“ソウルメイト”のさらにキモとなるポイントの話でしょ。
心が通じ合っているのでお互いあえて口に出さなくてもわかってる…ってこと?
「心の声」でト書きレベルの説明入れることもあるのにこの差はなんなの?
…まぁいいか。
モヤってるのは演出方法にであって虚構のソウルメイトの心情とかにはあまり興味ないんだった。

* * * * * * * *

文藝オンラインのインタビュー。
9/15配信だけど対談自体は今年の1月に文藝春秋に載ったものらしい。
内容は去年春のアエラでの林真理子との対談と同じ。整合性あるじゃん!
「作品は作者を映す鏡」というのは真理だわ。
「メインをアゲるために相手をサゲる」のはもう手法じゃなく体質なんだな。
恋愛ドロドロもこの手の内容のドラマも苦手な自分には、平安大河にさえ関わらないでくれたら縁のない人だったのに。。


第37回予告 「波紋」
・賢子反抗期?
・第二の直秀登場?(二匹目のドジョウ狙い?)

今回、敦成の五十日の儀はやったけど、百日ももかの儀はやらないのかな。
自分としては五十日よりこっちを見たかったんだけど。
次回、源方理と高階光子が出るということは伊周のあの冤罪?事件発覚か。
ということは伊周のXデーも近づいてるなぁ。。


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