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『伊集院光とらじおと』終了の報を受けて。

 ショックだった。その一報を知って、心臓がズキンとなった。

 前々からゴシップ記事で「春にも終了か」と書かれたものの、そんな馬鹿な、という思いの方がずっと強かった。あれだけ面白い番組をなぜ終わらせる必要が、と。だが間違いなく事実だった。伊集院さん本人の口からもう語られてしまったのだ。

「しゃべりたいことをしゃべろうとすれば、3時間でも4時間でも”どうして終わるんですか”っていう話はできるんですけれども、その時間がさすがにとれないのならば、あまりたくさんのことを言うと誤解を与えていくんじゃないか、ということでとりあえず、今日のところはこのご報告をしておこうかなと。
 TBSラジオの上層部のほうからは”伊集院君、今日こういうふうなことを話したらどうですか”というご提案をいただきましたけれども、それに従っているともう、さすがにもはや、僕はラジオパーソナリティーではないっていうことになるので、そちらのほうはご遠慮させていただきますけれども」

上記の日刊スポーツ記事より

 既に他の方も言及してますが、この部分だけでも極力言葉を選んで「上からの圧力」に対する必死の抵抗をしているように感じますね。

 こうなってくるとTBSラジオそのものへの不信感を抱かずにはいられません。むろん『安住紳一郎の日曜天国』等々面白い番組も多々ありますし、今後も聴きますけど、ここ数年だけ見るとTBSラジオはどうも変な舵取りをしています
 採算の厳しさを理由にプロ野球中継から撤退して情報番組のアトロクに変えたり、毎年恒例のスペシャルウィーク企画を辞めたりとか。前者は「随分思い切ったことしたな」と受け止めましたが、後者は「聴取率一位とはいえ、そんなに余裕でもあるのか」と正直微妙でした。

 しかし一番驚いたのは、金曜日に同じ枠でやっていた『有馬隼人とらじおと山瀬まみと』がいつの間にか終了していて『金曜ボイスログ』なる番組に変わっていたことでした。木曜のアシスタントに有馬さんを入れて、そのまま金曜に託す流れは良かったと思います。通勤途中のカーラジオからお二人の声が聞こえてくると「お、ようやく週末が来たか」と思えるようになってきた矢先に、突然そうでなくなった
 2017年6月期の調査では個人聴取率ランキングのベスト10にも入っていた番組を、なぜ終わらせたのか? 聴いた話だと、伊集院さんはこれに対する不満も漏らしていたそうで……

 同年8月の記事だと取締役編成局長・古川博志氏はこう語っていました。

(故人となった伝説級パーソナリティの名を挙げて)急激ではなくゆっくりとしたペースで、しかし確実に変わってきています。ラジオの改編は気づいたら変わっていたぐらいの方がいいんです。ガラッと変わるとリスナーにフィットしない局になってしまいがちですから。番組はたいてい2年続けてやっと腰の据わった番組になっていくものなので、いたずらに改編してはいけないと思っています。

上記マイナビニュースより抜粋

 『伊集院光とらじおと』の終了は、どう考えてもTBSラジオがリスナーにフィットしない局へと変貌する第一歩だろう。ネット上の反応を見てもそうとしか思えない。 

 『らじおと』は、放送枠こそ『大沢悠里のゆうゆうワイド』を受け継ぐものだったが、そこに伊集院テイストをしっかり差し込んだ。「俺の五つ星」はかつて『日曜日の秘密基地』にあった「ヒミツキッチの穴」を汲むものだし、「放哉と山頭火と」も『深夜の馬鹿力』で20年以上前に一斉を風靡した「だめにんげんだもの」を思わせる。それらはキッチリとリスナーの心を掴んでいた。そうでなければ書籍化もされないし、元店主の人が料理を再現まではしないはずだ。
 何より自分の大好きな「アレコード」も、『秘密基地』内の「おバ歌謡」を復活させたコーナーだ。おかげで自分の音楽レパートリーには迷盤や珍盤が毎週必ず増えていき、いつしか定点観測の如く備忘録をしたためるように……それだけでもラジオを聞く楽しみがあった。

 このままだと、それらが全て無くなってしまう。こんな内容のnoteを書くのは、もっと先の話かと思ってたんですが……あまりにも寂しいです。

 ただこれだけは書いておこう。「アレコード」枠の行方は明日以降に言及されるだろうけど、コーナーがある限り「備忘録」も毎週続けます。

 では、また明日。

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