最新戦法の事情【振り飛車編】(2021年10月号 豪華版)
どうも、あらきっぺです。
タイトルに記載されている通り、振り飛車の将棋の最新型を解説したいと思います。
なお、当記事の注意事項は、こちらをご覧くださいませ。
前回の内容は、こちらからどうぞ。
最新戦法の事情 振り飛車編
(2021.9/1~9/30)
調査対象局は74局。それでは、戦型ごとに掘り下げて行きましょう。
◆先手中飛車◆
~一直線穴熊にどう立ち向かうか~
12局出現。この内、9局が初手に▲5六歩を指しています。これは相振り飛車を恐れていないこと及び、積極的に先手中飛車を採用したいという意思を感じますね。
先手中飛車に対して、居飛車の対策は長らく後手超速オンリーと言える状況でした。しかし、現環境では振り飛車側の対策が整いつつあり、居飛車はそう簡単にはリードを奪えなくなってきています。具体的には、以下の記事がご参考になれば幸いです。
【後手超速の対処法】
2021年2・3月合併号
そこで、現環境では持久戦を選ぶ将棋がぽつぽつ増えつつあります。具体的には一直線穴熊は有力策の一つですね。特に、△4一金型を維持する指し方が面白い手法です。(参考図)
この指し方を選ぶと、居飛車は従来よりも得した状態で駒組みを進めることが出来ます。振り飛車にとって、なかなか油断ならない相手と言えるでしょう。
なお、△4一金型の利点については、以下の記事をご参照くださいませ。
【居飛車の有力策 △4一金型の一直線穴熊】
2021年8月号
そこで振り飛車もこれに対抗するべく、違う駒組みを模索しています。今回は、それを解説しましょう。(第1図)
一直線穴熊は、早めに△3三角や△4四歩を指します。もちろん、ここから左美濃に組んでくる可能性もゼロではないですが、この組み方ならほぼ100%穴熊でしょう。
なので、振り飛車は▲1六歩で様子を尋ねているのです。「穴熊にするつもりなら、端歩は受けにくいでしょう?」と問いかけている訳ですね。
これに対して、居飛車はシンプルに△1二香から穴熊を目指すのが普通です。もちろん先手は▲1五歩と位を取りますね。そこからの指し方はいろいろありますが、振り飛車は相穴熊の将棋にするのが最も有力です。(第2図)
さて、ここから振り飛車は左金を囲いにくっつけたいのですが、金が合体する前に△2四角や△7三桂→△6五桂のような仕掛けで動かれると芳しくありません。
端歩に手数を費やしているので、早い戦いになると駒組みの遅れが目立ってしまいます。ゆえに、戦いが起こらないよう、慎重に駒組みを進める必要があります。
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