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最新戦法の事情【振り飛車編】(2021年9月号 豪華版)

どうも、あらきっぺです。

タイトルに記載されている通り、振り飛車の将棋の最新型を解説したいと思います。

なお、当記事の注意事項は、こちらをご覧くださいませ。

前回の内容は、こちらからどうぞ。


最新戦法の事情 振り飛車編
(2021.8/1~8/31)


調査対象局は51局。今回は対局が少ない時期でしたね。

それでは、戦型ごとに掘り下げて行きましょう。


◆先手中飛車◆
~突然の消失~


たった3局のみ。前回の期間から出現率は16.9%→5.9%と激減しました。

これは先手中飛車に問題があるというよりも、後述する三間飛車に人気が集中していることが要因かと見ています。とはいえ、ここまで局数が落ち込んだのは、かなり驚きました。


◆四間飛車◆
~早々に美濃は決めたくない~


13局出現。先手番で8局。後手番で5局。二年ほど前までは後手番で指されるケースが圧倒的に多かったですが、このところ先後の偏りはさほど激しくないですね。

居飛車の対策は、持久戦(理想は端歩突き穴熊)を志向するものが多数派。ただ、持久戦と言えども、昨今では急戦を匂わせながら駒組みする手法がトレンドではあります。ゆえに、振り飛車も急戦を警戒しながら端歩突き穴熊を牽制する駒組みが求められていますね。(第1図)

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こういった局面は、四間飛車において頻出する形でしょう。この局面で注目すべきところは、振り飛車が▲6七銀と上がる手を保留していることです。

▲6七銀をあまりに早く指すと、端歩突き穴熊と急戦を両天秤にされたときに対処が難しくなる弊害があります。詳しくは、以下の記事をご覧くださいませ。

【端歩突き穴熊と急戦を両天秤 その1】
2021年1月号
【端歩突き穴熊と急戦を両天秤 その2】
2021年4・5月合併号

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ちなみに、振り飛車が▲4六歩や▲3六歩を優先しているのは端歩突き穴熊を妨害するためです。穴熊に組ませないためには、早めに▲3七桂と跳ねたり▲4五歩と突っ掛ける攻め筋を見せる必要があるので、これらは必要経費と言えますね。

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しかし、この二手は対急戦においては不要不急です。ゆえに、ここから居飛車が急戦を採用することは大いに考えられるでしょう。今回は、これをテーマに解説を進めます。

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