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最新戦法の事情【豪華版】(2019年11月号・居飛車編)

どうも、あらきっぺです。

タイトルに記載している通り、プロ棋界の将棋から居飛車の最新戦法の事情を分析したいと思います。

なお、前回の内容はこちらからどうぞ。

当記事の注意事項については、こちらをご覧くださいませ。


最新戦法の事情 居飛車編
(2019.10/1~10/31)


調査対象局は99局。それでは、戦型ごとに見て行きましょう。


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◆角換わり◆


26局出現。全体の約3割が基本形から△5二玉→△4二玉と玉を往復する将棋になっており、相変わらず注目を浴びていることが窺えます。

これに対して、先手は大まかに分けると三つのプラン(攻撃志向型・無理攻め誘発型・駒組み移行型)を選ぶ権利があり、現環境はどれが最適解なのか精査している状況といえます。


ただ、この三つのうち攻撃志向型と無理攻め誘発型はリスキーなところがあるので、最も無難な駒組み移行型に人気が集まっている(4局出現)傾向があります。今回は、この形の将棋を掘り下げていきましょう。


000解説だよ

先手が▲4五歩と位を取ったところ。次は4六に角を打つ手を視野に入れています。

ここで後手が堅実に指すなら△6三銀ですが、それには▲6八角と打たれる余地を与えます。銀を引いたことで後手は攻撃力が落ち、自分から動いていくことが出来ません。(詳しくは、前回を参照)


なので、△3一玉と指すほうが反発力のある指し方ではあります。もし▲6八角なら、△4四歩▲同歩△同銀という要領で局面を解すことができるので、これは先手も選びにくいところでしょう。

ゆえに、この場合は▲4六角と据える方が自然です。後手もここでは△6三銀と引くのは妥当ですね。以下、▲6七歩△5二金と進みます。(第1図)


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2019.10.11 第32期竜王戦七番勝負第1局 ▲豊島将之名人VS△広瀬章人竜王戦から抜粋。(棋譜はこちら)

先手は何を目指しているのか分かりにくいかと思いますが、百聞は一見に如かず。まずは本譜の指し手を追っていきましょう。

まず豊島名人は▲7七桂と跳ねて桂交換を図ります。後手はこれを単に取ってしまうと歩が交換できなくなるので、△8六歩▲同歩△同飛▲8七金△7七桂成▲同銀△8一飛▲8六歩という手順を踏みます。(第2図)


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さて。一段落したこの局面をどう評価するか。ぱっと見は持ち駒が充実している後手が上手く立ち回ったように見えますが、筆者は先手の模様が良いと見ています。その理由は、桂の使いやすさです。

ここから先手は▲6六歩→▲6七銀で自陣を固める手が一案です。後手もそれに対抗するべく△4二金右→△2二玉と囲いを強化したいのですが、それを指すと▲2六桂や▲2四桂といった攻めを誘発する嫌いがあるのです。


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この攻め筋を権利にしていることが大きく、後手は潜在的にプレッシャーを掛けられています。対して、先手陣には桂を使った有効な攻め筋が見当たらないので、この布陣は安定感がありますね。▲8七金型は妙な配置ではありますが、上部が手厚く桂の攻めに強いことが自慢です。


このように、駒組み移行型の将棋はゆっくり指していると、後手は少しづつ息苦しくなってくる展開になりがちです。そこで、この状況から脱却するべく、後手は攻め味の強い指し方を選ぶようになります。改めて、駒組み移行型のテーマ図に戻ってみましょう。


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