最新戦法の事情【豪華版】(2020年2月号・振り飛車編)
どうも、あらきっぺです。
タイトルに記載されている通り、振り飛車の将棋を見ていきましょう。
なお、当記事の注意事項については、こちらをご覧くださいませ。
最新戦法の事情 振り飛車編
(2020.1/1~1/31)
調査対象局は72局。それでは、戦型ごとに掘り下げて行きましょう。
______________________________________
◆先手中飛車◆
12局出現。1月はぐっと対局数が増え、人気が戻ってきた感がありますね。
現環境の先手中飛車は、後手超速に対してどのような球を投げるかが大事です。今回は、目新しい作戦を披露した将棋があるので、それを紹介してみましょう。(第1図)
2020.1.19 第13回朝日杯将棋オープン戦二次予選 ▲菅井竜也七段VS△藤井聡太七段戦から抜粋。
先手の早い▲7五歩が目を引きますね。これは昨年の7月に登場した構想で、石田流への組み換えを目指すことが趣旨です。
これだけでもかなり意欲的なのですが、菅井七段はさらに一捻りを加えた駒組みを展開します。実戦は、第1図から△1四歩▲2八玉△1五歩▲1八香と進みました。(第2図)
美濃囲いでは飽き足らず、穴熊を選んだのが大胆な構想です。自陣が安定するまでに時間が掛かることは火を見るよりも明らかなので、かなり危なっかしい印象は受けます。しかしながら、居飛車がその立ち遅れを咎めるのも簡単ではありません。なぜなら、6二の銀が6四の地点へ配置できないので、先手の位をタダで取るような展開にはなりにくいからです。
ひとまず、互いに陣形整備を進めることになりますが、中飛車はその過程で一つ押さえておかねばならないポイントがあります。(第3図)
ご覧のように、飛車を3六に配置して後手陣を揺さぶっておくのが大事なところです。△3三銀を強要することで、後手の角道を遮断させる意味があります。もし、これを怠って▲6八銀と上がると、△5四歩という反発を許すので自陣がまとめにくくなってしまうところでした。
ここから先は
¥ 300
今後ともよろしくです!