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旅行先や出張先で「ついでの釣り」をするときのお役立ちTIPSを書き連ねたいって話

Q:ここ15年の間、世界で最も進化したものは何か?
A:パックロッドの性能

……なんて冗談をいいたくなってしまうほど、近年のパックロッド(仕舞寸法が短い釣竿)は高性能です。筆者は無類のパックロッド愛好家で、特段マルチピースである必要性がないときでも仕舞寸法60cm以下のロッドしかほぼ使いませんが、それでも性能面で不満を感じることはありません。

パックロッドの性能が向上した今は、LCCや高速バス、カーシェアリングなどお手軽な移動手段が数多く存在する時代でもあります(ここ2年ほどは新型コロナウィルスのせいでなかなか遠出ははばかられますが……泣)。コンパクトな釣り具と安価な移動手段が揃っているのなら、旅行や出張に絡めて「せっかくだしついでに釣りもしよう」と考えるアングラーの方は多いでしょう。

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▲筆者の愛竿。ルアーロッドの場合、4本継ぎ・5本継ぎのモデルが多い。

とはいえ、出先で別件のついでに行う釣りには荷物量の制約や時間的な都合がありますから、釣りのためだけの遠征とは異なる独特のノウハウが求められます。そして、釣り雑誌や釣り具メーカーのウェブサイトにはパックロッドの性能についての能書きはあっても、パックロッドを用いた「ついでの釣り」それ自体を解説する記事はあまり見られません。

そこで、本記事では筆者がこれまでに経験した旅行・出張ついでの釣りから得たテクニック……というと大げさすぎるかもしれませんが、豆知識・TIPS的な情報を書き連ねたいと思います。「釣りとは関係のない理由で出かけた先で、魚種やサイズはなんでもいいからとりあえず1匹でも釣れたら御の字」という価値観のゆる〜い釣り好きの方にはご納得いただける内容のはず! ですが、自身が納得できる一匹をストイックに狙い続けるような真面目な方にはヌルすぎると思われるかもしれません……ともあれ、少しでもお役に立てたましたなら幸甚です。それでは以下、所見を列挙いたします!

・ロッドはできるだけ汎用性の高いものを選ぼう。2本以上持参できるなら、大きくかけ離れた特性のものを持って行こう。

現代のカーボンロッドは非常に軽量ですので、複数本持参しても大して重量面での負担は増えません。6ft前後のルアーロッドであれば、重量が100gを切るモデルすらごく普通に見られます。パックロッドは継ぎ目が多いためどうしても重くなりがちですが、それでも同じ長さ・強さのワンピースロッドに大してせいぜいプラス数g〜数十gでしょう。

とはいえ、たくさんのロッドを持参すればそれだけ旅の荷物がかさばってしまいます。特に継竿は継数が増えるほど体積が増しますので、むやみに携行する本数を増やすわけにもいきませんし、釣りにはロッド以外にも様々な道具が必要ですから、複数本のロッドを持参するのであれば出来るだけかけ離れた用途のものを組み合わせると良いでしょう。例えばブラックバスが棲む湖で夕方の2時間と早朝の1時間釣りをするならば、以下のような感じです。

いい例:MHのベイトキャスティングロッド&#4のフライロッド&タナゴ竿
避けたい例:ジャークベイト用ロッド&ラバージグ用ロッド&巻物用ロッド

極端すぎると思われましたか? いやいや、このくらいの思い切りがあったほうが魚の顔は拝めるのです! だって「いい例」の3本があれば、タナゴやオイカワ・クチボソからブラックバスやブルーギル・ナマズ、さらには巨鯉やシーバスまで狙えるんですから。もちろんブラックバスのルアー釣りのことだけを考えるならば「避けたい例」の方がベターでしょうが、湖のコンディションによってはどうあがいてもバスを釣れないことだってあるワケで……その日・その時・その場所で一期一会の魚と遊ぶためには、狙う魚種を限定しない汎用性を追求したタックル選びが肝要なのです。

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▲フライロッドとルアーロッドを両方持参すると釣りの幅が広がる。エサ釣り用の延べ竿があればさらにヨシ!

・ランディングツールを持参しよう
タナゴ釣りなど狙う魚種のサイズが極端に小さい場合を除いて、ランディングツールは必ず持参しましょう。二度と訪れないかもしれない場所で一期一会の魚を逃さないために、取り込みの成功率を上げてくれるフィッシュグリップやランディングネットは多少荷物になったとしても省略すべき装備ではありません。現在はトラウト系を除き、多くの釣りでボガグリップやオーシャングリップなどに代表される下顎を挟み込むタイプのフィッシュグリップが使用されていますが、昔ながらの折りたたみ式ランディングネットも便利ですよ。魚を水面に引き寄せたうえで狭い口を正確に狙わらなければならないフィッシュグリップに対し、岸際の魚をただすくい上げるだけでよいランディングネットは扱いが格段にイージーです。一回でも使うと魚体のニオイがネットについてしまうので、片付けの際に洗ったり乾かしたりする手間が面倒ではありますが……旅先で出会う一匹の価値を思えば、それも大したデメリットではないでしょう。筆者は使い終わったランディングネットをレジ袋に入れて口を縛るなどして、他の荷物に魚臭さが移らないようにしています。

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▲折りたたみ式ランディングネットに収まった、札幌市街地のアメマス。

・ボウズ逃れ用のエサ・仕掛けを準備しておこう
通い慣れたフィールドでは、自己新記録の大物を狙ってイチかバチかの釣りをするのも楽しいものです。が、滅多に訪れることのない場所ではボウズ覚悟の大物狙いをするよりも、とにかく一匹釣り上げることの方が重要ではないでしょうか。筆者は遠出する際、狙う魚種に応じてタナゴ仕掛け、パワーイソメ、マラブーフライ、パン鯉用の強い針などなど「これを使っても釣れないなら諦めがつく」ルアーやエサ・仕掛けを持参するようにしています。

たとえばブラックバスを狙うのであればトップウォータープラグやクランクベイトで釣れるに越したことはありませんが、それはそれとして極小のワームと1/32ozのジグヘッドで獲る一匹にも価値はあると思うのです。なんなら現地で調達したミミズや昆虫をエサにしたって構いません! どんな手段で釣り上げようとも、初めて訪れたフィールドでの「最初の一匹」が嬉しくないはずはないのですから。筆者は以前投稿した長島用水でのテラピア釣りで、メバル用ワームの切れっ端をタナゴ釣り仕掛けに付けるという超セコリグで一匹目を釣り上げていますが、もしこのときに大物狙いで強いプラグを投げ続けていたらボウズを食らって後悔していた可能性が高いです。

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▲必殺の「2インチヤマセンコー」ジグヘッドワッキーで釣り上げた猪苗代湖のスモールマウスバス。小物でも初めてのフィールドで出会う一匹は至宝。

・なんでも釣れるルアー・フライを持って行こう
前項とちょっとカブり気味ですが、大事なことなので改めて記します。ルアーやフライには「特定の状況・対象魚種に特化し、ハマる状況において絶大な効果を発揮するもの」と「あらゆる状況においてそれなりの効果を発揮し、魚種やサイズを問わず使えるもの」の二種類があります。

前者の代表格はキャスティーク社のレインボートラウトを模したルアーや、巨大なマスキーパイクを狙うために作られたA.C. プラグに端を発するビッグベイトたちでしょう。ビッグベイトは肉食魚たちの側線を刺激し、限られた状況においては爆発的な効果を発揮しますが、極端に強いアピール力で魚を散らしてしまうというデメリットもあり、考えなしに投げられるものではありません。また、投げるのに専用のロッドが必要とされることからも「ついで釣り」には向かないルアーといえそうです。

対して、ニジマスの管理釣り場で用いられるような小型のスプーンや、ラパラのカウントダウンシリーズに代表されるバルサ製シンキングミノー、メバル用のピンテールワームなどはどのようなシチュエーションであっても投入できます。場を荒らさずアピール力の強すぎない小型ルアーは、どんな魚に会えるのか分からない旅先で、きっと役に立ってくれることでしょう。

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▲マレーシア・クアラルンプール近郊の湖で釣ったツクナレ。ルアーはメバル用の極小ピンテールワーム。セコリグは世界中どこでも有効なのだ!

・替えスプールを活用しよう
スピニングリール・ベイトキャスティングリール共に、異なる特性のラインを巻いたスペアスプールを持参すると釣りの幅は大きく広がります。リール自体を1台増やすとそれだけで200g以上荷物が重くなりますし、容積も食いますけれど、スペアスプールはリールのサイズやモデルにもよりますがせいぜい15g〜30g程度です。大きさもフィルムケースに毛が生えた程度ですから、「ついでの釣り」にはピッタリです! 例えばとある釣行の際、筆者は一台のベイトキャスティングリールに対し、8lbsのフロロカーボンラインを巻いたスプールと、4号のPEラインを巻いたスプールの2つを用意しました。前者はバス釣り用で主にワームや軽量プラグを、後者はナマズ釣り用で中型のトップウォータープラグやミノープラグを投げるためのものです。日中にブラックバスが釣れるポイントで夜にナマズが釣れることはしばしばありますから、夕マズメ〜夜帯にかけて竿を出せるならこんなチョイスも面白いですよ。

また、何故だか理由は分からないのですが、ヨーロッパブランドのエントリーモデル〜ミドルクラスのリールは購入時から替えスプールが同梱されていることが多いです。特に日本全国の釣具店で最安モデルとして販売されているAbu GarciaのカーディナルSXシリーズは、実売五千円強という価格設定ながらアルミスプール・グラファイトスプールのふたつが付いてくる、非常にお買い得なスピニングリールなのでオススメです! 筆者のnoteではあまり具体的なモデル名を記さず「小型スピニングリール」「中型ベイトキャスティングリールなどのようにぼかした表記をすることが多いのですが(ぶっちゃけ道具の質なんてさして釣果に関係なくて、対象魚種と釣り方に合ったバランスのものであれば好きなものを使えばよいと考えているから)、カーディナルSXシリーズに限っては名指しで推します。何故ならこのリールが売れることによって、日本メーカーにもエントリーモデルに替えスプールを同梱するという文化が広まってほしいから!

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▲こちらは筆者愛用のAbu Garcia DECIDER7。シャロースプール同梱の中級機だ。コンパクトなボディは旅行のお供にピッタリ。

さてさて、ここまでばらばらと思いつくままにTIPSを記してきましたが、使えそうなモノはありましたか? もし本記事をきっかけに、読者諸兄姉が出かけた先で今までなら出会えなかったはずの一匹をその手にできることがありましたら、筆者にとって望外の喜びです!

短い時間であっても、今まで釣り糸を垂れたことのない水面にアプローチする――それは釣り人にとって無上の幸せといえる体験でしょう。釣り竿を一本持っていくだけで、旅行や出張の楽しさは何倍にもアップします! 「ついで釣り」の楽しさを、皆さま是非ぜひ味わってくださいね。

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▲家族旅行の途中、10分だけ釣りをしたときの1枚。小さなフィッシュグリップがあれば、針を外した状態で子供に魚を手渡せる。

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