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青いルアーは淡水でも効くよって話

記事タイトルだけで言いたいことをすべて言い切ってしまいました。青はソルトウォーター用の色だと思っている方が多いかもしれませんが、偏見を持たずに試してみると、バスやトラウトなど淡水魚の釣りでもいい思いができるかもしれませんよ――以上、本記事おしまい!

……というのはあまりに乱暴ですので、以下に筆者なりの持論を述べてみます。免責事項として記しますが、わたしは生物学も海洋学も修めていないただの釣り好きですので、これから書くことは一個人の経験則に乗っ取った、信憑性のアヤシイごく私的な知見であることをご容赦くださいね。いやいやそこまで予防線を張るならそもそもこんな記事をポストするなよ、と思われる方もあるかもしれません。が、アナタも釣り人ならわかるでしょう!!  釣りを愛好する者は例外なく"オレ理論"を得意げに語りたがるんです!!!

さてさてのっけから蛇足みたいな始まりになってしまいましたが、そもそも「青いルアー」はなぜ「海の魚」に効くのか? その答えは当然ながら「海には青い魚がたくさん住んでいる=海に生きる肉食魚は日常的に青い魚を捕食しているから」です。イワシ、小サバ、サッパにコノシロ……海水魚には青みを帯びた種がたくさんいます。そして、ルリスズメダイやイラブチャーなど南洋系の魚を除けば、多くの魚は全身が真っ青なわけではなく、背中側のみ青みを帯びています。ルアーもそれを模して、ベースは銀色や白色にしておき、背中側だけ青く塗ったものが世界中のメーカーから発売されています。これも一種のマッチザベイト(釣りたい魚がふだんから食べている餌にサイズとか動きとか色とかを合わせたルアーを使うとよく釣れるよ!という考え方)ってやつですね。

シーバス

▲多摩川の中流域で釣れたシーバス。純淡水域で釣れたシーバスだが、以前は海で青い魚を捕食していたのかも。

それなら、イワシやサバなどの海水魚を目にしたことがないはずの淡水魚に対しては、ブルーカラーのルアーは効果が低いんじゃないか――と短絡的に考えてしまいたくなりますが、実際には淡水魚だって青いルアーで問題なく釣れますよ! チャートリュース(蛍光イエロー)やオイカワパターンなど、淡水で効果を発揮する他のカラーと比較して相対的に青が有効なシチュエーションはあるのか? と聞かれてしまうと回答に苦しみますが、少なくとも筆者は今から25年ほど前にブルーバッククロームカラーのラトリンラップで人生初のブラックバスを釣り上げてから、ありとあらゆる釣り場で青いルアーを投げ続けています。筆者の実力のせいもあってそんなにたくさん魚を釣れてはいないですけれども、他のカラーに比べて青が劣るとは感じません……あくまで主観的にはですが!

青いルアー

▲手近にあったタックルボックスから青いルアーだけを取り出してみたが、ボディ全体が真っ青なルアーは少ない。

筆者が考えるに、淡水でも青いルアーが有効な理由は以下の3つが挙げられます。

①白や銀に対してコントラストが強い色だから
②青いルアーを淡水で使用する人が少ないから
③そもそもルアーの色は釣果にたいして影響しないから

①は青+別の色で塗り分けられたルアーについての話ですね。例えば引くとローリングするルアーの背中側が青、側面が白、腹側がオレンジで塗られていた場合、真横から見た場合の色は青→白→オレンジと次々に変化します。魚から見たときにチカチカする=明滅効果によるリアクションバイトが期待できるわけですね。ボディを横倒しにする、いわゆる「ヒラ打ち」の動きをした際の見え方の変化を、塗り分けによってより強調しているともいえます。

また、ボディ前部1/3が青、ボディ後部2/3が白で塗られたルアーの場合、青い部分がルアーを狙う魚にとっての目印になり、頭からルアーを飲み込んでくれる可能性がアップするかもしれません。この場合は「青いこと」が重要なのではなく「ボディカラーのなかにコントラストがある」ことがキモなんだと思いますが、定番カラーのレッドヘッドと同じくらい、ブルーヘッドにも効果が期待できますよ。そういえば最近復刻されたへドンの「スロープノーズ」にもブルーヘッドカラーがラインナップされていましたね。

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▲頭部だけが青色のスイッシャーに騙されたツクナレ・ポポッカ。

②については皆さまもご納得いただけるハズです! 日本の内水面で釣りをする限り、人的プレッシャーは嫌でも意識せざるを得ませんから。この狭い国のなかで、釣り人が竿を出したことのない河川はもはや存在しませんし、あるとしてもよほどの深山幽谷か、そもそも釣り禁止の私有地かのどちらかでしょう。

多くのアングラーが訪れる釣り場で他の人が獲得できなかった魚を狙うのに、できる限り魚が「見たことのない」もっといえば「餌もしくは攻撃対象だと判断して食いついた結果、嫌な思いをしたことがない」ルアーを投げるのは非常に有効です。例えば濁った水域において、チャートカラーのルアーを目にしたことがないフィッシュイーターは少なくとも岸からキャスティングで届く範囲にはほとんどいないかと思いますが、ブルーバック/シルバーボディのルアーは初めて目にするという個体も多いハズですし、試してみる価値はあるんじゃないかと。特に海から遠い距離にある湖や沼など、完全なるフレッシュウォーターの水域ならなおさら、青いルアーを見たことがなく、疑いを持てずに食いついてしまう魚も多そうです。

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▲ブルーメタリック(イワシカラー)のワンダー60で釣り上げた、生まれてから一度もイワシを目にしたことがないはずの練馬サーモン。

③について。これを言ってしまうと身も蓋もないようですが、ルアー釣りにおいて重要なのは兎にも角にもルアーの「サイズ」と「アクション」であって、カラーの優先順位はこれら2つより明確に低いです。ペンシルベイトにミスバイトがあった場所に、フォローとしてジャークベイトを投入したら食ってきた――というような経験をされている方は多いかと思いますが、たとえば赤いルアーにチェイスがあったがバイトには至らなかったので、青く塗られた同じルアーを投げてみたら釣れた……なんてのはレアケースでしょう(管理釣り場でトラウトを狙っているときなど、閉鎖的&魚の密度が極端に高い環境で釣りをしている場合は別として)。適切なポイントに適切なサイズのルアーを投げ入れ、適切なレンジで適切なアクションをつければ……カラーなんかどうだって、魚は口を使ってくれるんです!

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▲このツクナレ・パッカはきっと青いルアーじゃなくても釣れたけど……青のK-TENで釣れたこともまた事実なのだ。

ここまでつらつらと記してきた内容を一言でまとめれば「何色だろうとそれぞれのメリットがあるので、自分がそのときその場所で最も信じられるカラーを投げればよい」という雑な結論になってしまいますが……魚に直接「何色が好き?」と尋ねても回答が返ってこない以上、それは仕方がないのかもしれません。わたし・新木正はこれからも青いルアーをフレッシュウォーター・ソルトウォーターを問わず投げまくりますので、本記事を読まれた方もご自身が一番大好きなカラーのルアーを、あらゆるシチュエーションで100%のコンフィデンスをもって使い続けてくださいね!



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