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【8/10】二人の光る新人育成サードに注目!~F樋口・B大下に迫る~(徳)

0. はじめに

今シーズンはコロナ影響で開幕が遅れたことから、あらゆる日程が後ろへズレこんでいる。「支配下登録期限」もその一つであり、今シーズンは「9月30日」がその期限と設定されている。(参考:https://hochi.news/articles/20200601-OHT1T50272.html

開幕もズレ込んだため、例年に比べて有利かと言われるとそういう事もないが、海外からの助っ人を新規で連れてきづらい現状・特例による一軍枠拡大・過密日程による疲労分散の必要などから、例年以上に育成選手は必要な「戦力」として捉えられていることは確かだろう。現に8月9日現在15名の育成選手が支配下登録を勝ち取っている。ロッテ和田は貴重な代走の切り札に、中日A.マルティネスは一軍でクリーンアップを打ったり、巨人田中豊も登録早々背番号「19」を与えられ、一軍のリリーフに割って入る存在となっている。

そんな中で、今回注目したい選手が二人いる。その二人が「北海道日本ハム:樋口龍之介」と「オリックス:大下誠一郎」である。ファーム開幕から規定打席に立ち、両球団のサードを主に守るこの二人に、今回は注目してみようと思う。

1. 近藤門下の和製アルトゥーベ:樋口龍之介(F)

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(図)樋口の今季ファーム成績(2020.08.09現在)

横浜高校では近藤の一学年下であり、卒業後は立正大学に進学。立正大学卒業後はBC新潟アルビレックスでプレーし、昨年は.354 19本 69打点と大暴れ、見事プロ野球の門戸を叩いた。因みにBC新潟のHPによると二塁・遊撃が本職らしく、好きな有名人は竹野内豊。実は人見知りだそうだ。あと日ハムの資料では167cm84kgで、新潟HPでは167cm67kgである、これは大きく肉体改造に成功した証なのだろうか。話を成績に戻そう。

今季のファーム成績は驚異的であり、図の黄色い網掛けは全てリーグ一位である。投低打高傾向にあるイースタンリーグとはいえ、打率2位(.379)であり長打率2位(.545)の岩見に対し、長打率.726を誇るパンチ力は特筆すべきものがあると言えよう。BCリーグでの活躍そのままにNPBでも日々活躍している。(因みにギリギリ規定未達ながら.327 8本 17点 OPS 1.262 長打率.827を残す海老原というとんでもない育成外野手もファイターズにはいる)

次に、樋口の守備位置を見てみよう。

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(図)今季のファイターズ一二軍、樋口守備位置の出場数上位3名守備成績

樋口の主な守備位置はサード、ファースト、そしてセカンドも守れるという、一回り小さな横尾のようなユーティリティ性を持っている(先の新潟HPを参考にすればショートも守れるため内野は全て守れることになる)。一軍のファーストは中田メインで清宮を育成、セカンドは渡邉メインと考えると、狙うべきポジションはやはり現在の主戦場・サードである。そして、今井は守備に安定感がある一方まだバッティングで成長過程にありファーストメインであること、難波は選手タイプが違う上に二遊間がメインの選手であること、郡は捕手登録であること(昔いた尾崎みたいな起用(?))より、目下のライバルは高濱、野村、そして大きな壁・同タイプの横尾ということになるだろう。守備面では現在主要3ポジションでまずまずの守備率を残しており、一軍昇格の障壁とはならないと考えられる。

続いて、現在の正サード争いに加わっているビヤヌエバを加えた今季(一部昨季)のライバル達の打撃成績をまとめてみる。

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(図)ハム・正サード争い中の選手、今季(一部昨季)成績

野村、高濱といった今季昇格を果たした選手達の昨季成績はOPS6割台中盤以上かつ200打席以上をこなす体力といった点が特筆事項だろうか。開幕直後に抜擢され結果を残し始めた野村が無念の骨折、ビヤヌエバも不調の上に怪我で一度離脱、同じく育成で枠を争う投手の長谷川がオープン戦の勢いを失い、海老原は争いが熾烈な外野手であることなど、樋口を早めに登録する理由はいくらでもあるのだ。が、今日登録に至っていない理由は、まさにこの野村の離脱を実績ある同タイプの横尾がしっかり埋めている点にもあるだろう。樋口はここから疲れてくる時期も二軍で腐らずにプレーできるかが、今季または来季の支配下登録に繋がってくるだろう。横尾が不調になった際にも打っていられるか注目したい。

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(図)2019年横尾のファーム成績

最後に昨年の横尾のファーム成績をご紹介しておきたい。見ていただいてどうだろうか、ちょうど現在の樋口の成績にそれはもうめちゃめちゃ似ているのである。つまりは、二軍でこれだけ出来れば、一軍でも十分通用する可能性を秘めていると私は希望的観測を持ちたい。年齢はルーキーながらに26歳、ファイターズの方針を考えると1年目ながら決して悠長に構えてはいられない立場だが、非常に面白い存在である樋口。いつか一軍で近藤や万波と横浜高校旋風を巻き起こす日を、楽しみに、じっくりと待っていたい。


2. ひたむきで熱き九州男児:大下誠一郎(B)

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(図)大下の今季ファーム成績(2020.08.09現在)

福岡県北九州市で生まれ育ち、中学時にはボーイズリーグで日本代表にも選出。高校から野球留学で栃木の白鷗大足利へ渡ると、白鷗大へ進学。白鷗大黒宮監督の指導の下、大学2年時にチームのキャプテンに選ばれるなど名実共に中心選手へ成長。やんちゃながら仲間想いの熱い選手だそうだ。大学OBには阪神大山やソフト塚田など右の中長距離砲がおり、大下にもその期待がかかっている。

育成ドラフト6位と決して高い評価でプロ入りしたわけではないが、紅白戦で漆原の内角への直球を京セラの2階席へと叩きこむホームランを放ち、オリックスファンにその存在をアピールした。ファームでも広島山口から初アーチを記録。ファームをたまに見るファンなどは数字以上に打っているイメージがあるのではないだろうか。私もその一人である。

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(図)今季のバファローズ一二軍、大下守備位置の出場数上位3名守備成績

登録自体は外野手ながら、今季の出場は全てファーストとサードである。外野の頭数は多く、吉田ジョーンズT-岡田がおり、守備走塁のプロ小田駿太佐野もおり、同じような守備位置で捕手もできる西村凌が外野手で出場を重ねている現状はサードで勝負をかけるのが現実的ではないだろうか。

勝俣の故障・宗や太田の一軍昇格もありサードのレギュラーを手中におさめている。守備率も.955を記録と及第点の成績。ファースト守備も数字を見る限りなんなくこなしているようだ。(ファームのファースト守備が堅い。)

となると、ライバルとなるのは中堅ベテラン格の実績ある白崎、同期ルーキー勝俣、一つ上のサードメインかつ外野ファースト可能本職セカンドな昨年の交流戦首位打者中川、内野全ポジション可能で外野も守れる俊足ユーティリティ山足、現在の一軍サードでありセンターレギュラー候補でもある宗あたりになるだろう。うち、年齢の近い3選手にタイプの被る一軍枠山足を加えて打撃成績を比べてみた。

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(図)オリ・正サード争い中の選手、今季(一部昨季)成績

開幕は中川スタートで始まった今季の正サード争いは中川の失速(オープン戦での死球の影響...?)もあり、ここまで計8選手が起用されるなど固定されていないポジションに。うち、勝俣は故障、福田は大城抹消で昨年までのメインポジションセカンドに戻り、現在宗や太田、時に山足が起用されている。

やはり降格後の中川の成績を見るとファームでは別格のようだ。よって調子が戻り次第、宗と併用されそうである。となると目下枠を狙うとすると山足だろうか。山足にはショートが守れる・俊足で代走起用が可能という売りがある分、山足以上に飛ばせる、代打時起用に期待が持てる存在になっていきたい。残念ながらファームの代打成績までは追えなかったのだが、現状のOPSや長打率から鑑みるに昨年のファームでの山足よりは飛ばすタイプでありそうなため、代打適性があれば、遠くないうちに二桁の背番号で一軍舞台を踏むことが可能だと考えたい。

オリックスの代打陣は14名が起用されているなか、現在安打を放った選手が4名(西村・小島・伏見・山足)しかおらず、昨年の代打1番手小島は不調で抹消された。他3名が好調なだけに今すぐの昇格はないかもしれないが、例年控え層の薄さを露呈しているオリックスだけに、大下のパンチ力が必要となる時は、そう遠くないと踏んでいる。

3. おわりに

個人的に好きな選手を選んだだけに、書いていてワクワクしてしまった。

日本ハムはここまで実は支配下復帰の高濱しか育成昇格者がおらず、BC新潟出身の樋口と長谷川には大きな期待がかかる。そして大下はファーム観戦をしているファンのレポートによれば本当によく声を出し、ピッチャーがピンチの際には真っ先に声をかけにいく選手だそうだ。「伏見の声しか聞こえない」ような試合が少なくない大人しめなチームにおいて、是非一軍に来てほしい存在である。

今季の「リミット」まで残り2カ月弱、彼らの笑顔と背中に光る二ケタの背番号に出会うことは出来るだろうか。楽しみに見守りたいと思う。

(参考記事・HP)

http://archive.bc-l.jp/player/%E6%A8%8B%E5%8F%A3-%E9%BE%8D%E4%B9%8B%E4%BB%8B

https://sportiva.shueisha.co.jp/clm/baseball/hs_other/2019/10/28/___split_115/

https://www.nikkansports.com/baseball/column/bankisha/news/202003210000962.html

文責:徳

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