【あひろ場3】角度が描く模様を読み上げること――ないしは占いの結果3(4590文字)
先日、ふと思い立ち、「あひろ場」なる場を作らせていただいた。
生年月日と出生時間を教えてくれたら「星占い」をしちゃいまーす!
みたいに呼び掛けさせていただいて
作っちゃった場所である。
「星占い」というものの詳しい定義を僕は知らず、だから、星占いをしちゃいまーす! だなんて書いたのは迂闊だったかもしれない。
プロフェッショナルな占い師の方からしたら、ちゃんちゃらおかしい蛮行であろうと思う、僕のやってることは。
「占い」――
と聞いて僕がイメージするのは、
「あたしってば何歳くらいで白馬の王子さまに出会えますかー?」
だとか、
「A社とB社から内定が取れたんだけど、どっちの会社を選ぶべきでしょか?」
だとか、
「どの馬券買ったら勝てますか?」
だとか尋ねるお客さまに、
「27歳だね。それまでに早まったりしなさんな」
だとか、
「絶対B社を選びなさい!」
だとか、
「アヒロシューティングスターに賭けて間違いなし!」
だとか、
現実的な利益に結び付く回答を、
いくらか怪しげななりをした先生が、
迫力たっぷりに提供する、
そんな場面であったりする。
さて。
そういうような占いを僕はしたことがないし、していただいたこともない。
星占いに限定しても、
トランジットのホロスコープ、
つまり今実際に僕らの頭上を運行している星たちの配置図、
これと
ネイタルのホロスコープ、
すなわち各自が誕生したときに各自の頭上で輝いていた星たちの配置図、
これを重ねて、
近い未来や、
あるいは先々の未来において何が起こるか、
すなわち運命やいかに?
――みたいなことを占うのも「星占い」であろうし、
実際のところ、多くの方が知りたいのもそういうことだったりするのかもしれない。
――でも僕は思う。
それを知ってどうする?
西暦××××年にほにゃららがほにゃらかするでしょう、
みたいに言われて、
それでどうなる?
悪い予言だったら、それを回避するような行動に出る?
回避しようと思って回避できる程度のことなら、それは運命ではない――
だなんて僕は思う。
運命は、回避し得ないからこそ運命なのではないか?
知ったところでどうしようもないことなら別に知りたくないかなあ――?
と僕なんかは思う。
そんなふうに思っているおまえがなにゆえに星占いの真似事なんてするのかっ!?
いかに? いかに?
と問われたらこう応える。
「諦め」にとてもよく似た「受容」を促し、もって「自己肯定」をしていただき、ひいては僕にも「覚悟」を分けていただきたいから。
僕が読ませていただくのは、もっぱら、ネイタルな(出生時点の)星の配置である。
配置とは、相対的な角度たちのこと。
被験者?さんの角度を読ませていただいていると、いつもなんか変なテンションになる。
星たちの模様に憑依されちゃったような気分になる。
知らないはずのことまで知っているような気がしてくるし、顔も知らない被験者?さんの人生の、葛藤や対立や調和を疑似体験させていただいている心地になる。
小説の場面のような具体的なエピソードとしてではないけど、詩のような象徴的な模様として、リズムとして、色合いとして、僕は、被験者?さんの内的な角度を眺め、理解し、そして受容する。
集中し、自分を消して、ただ景色を、ハイテンションのまま読み、書き殴る。
書き殴ったものをそのまま提出する。――以上で角度読みは終了だ。
あのとき……、と昔を振り返り、なんであんなふうにしてしまったんだろう?
だとか、
どうして自分は、何回も何回も、毎度同じ間違いを繰り返してしまうのだろう?
だとか、
いつも同じ黒雲が頭の上をぐるぐる回っているの(ってこれは、うろ覚えで正確ではないけど、村上春樹の小説の登場人物の台詞)だけど、これってどうして?
だとか、
そういうクエスチョンに、星たちの角度は回答を与えてくれる。
なーるほど、そうか、この星とこの星の角度がこうだからこうなんだ!
みたいな気付きが、占われた者と占った者、その両者を「納得」と「諦め」と「受容」に導いてくれる。
「足掻かずに癒されること」の安寧を知る。
よい角度だけの星空なんてない。
どんな人の配置にも葛藤角なり対立角なりがある。
しかしだ。
厳しい葛藤の角度があろうとも、容赦ない対立の角度があろうとも、そのような角度を調停的に切り分けたり、調和的に慰めてくれる角度も、これまた、たいていの場合において存在する。助けてくれる角度。
僕らがこうして存続できているのは、いや、遡って、そもそも生まれてこれたのは、葛藤や対立を調停したり調和したりしてくれる角度なりがあったればこそだ。
生まれてきて、そしてこうして生きられているのだから、僕らはみんな、結局のところ「大丈夫」なのだ。
だから、配置を受け入れて、葛藤なり対立なりを、ただ「具体的に生きればよい」のだ。
そして「統合する」。
対立角や葛藤角をアウフヘーベンして、階段を一段上がり、天空の中心点に目覚めることを目指すのだ。
困難を生きながら、中心点を目指す旅人。これが、つまりは、僕らなのだ。そんなふうに感じている。
――いろんな方の配置を拝読しながら思う。
僕もつらいけど、苦しいけど、つらいのも、苦しいのも僕だけじゃない。
それから、
つらかったりもするし、苦しかったりもするけど、うれしかったり、楽しかったりもするのだ、みんなの人生と同じように僕の人生も。
そんなふうに気付かせていただきながら、読む側も読まれる側も癒される――、そんな場所に「あひろ場」がなればいい。
配置に揺さぶられ、ほとんど酩酊して、「あひろ場」ならぬ「あひろBar」になっちゃったりすることもあるかもしれないけれど、失礼のない範囲で、率直に、模様を読ませていただきたいと思う。
よい角度も、わるい角度も、僕らを成り立たせている、いわば梁なのだから、しっかり見詰めて、大事にしてやるのがよいんじゃないかと僕は思う。
うーむ。この記事も、なにやらポエムなありさまになっちゃったかもしれないなあ。
ともあれ、僕は、「星占い」をさせていただいているんじゃなくて、星たちの角度が描く模様を読み上げることで、相互を癒すことをさせていただいているんじゃないかと思う。
あひろ場ってのは、そういう場でありたい。
*
3人目の被験者(!)さん、Cさんの占い結果を以下に、許諾を得られましたので掲載いたします!
Cさん、ご協力をありがとうございました!
あひろ場にご参加ご希望の方は、
1、生年月日
2、出生時間
3、出生地
の3つのデータをコメント欄に書き込んでご用命ください。出生時間はだいたいでも大丈夫です。出生地のデータはなくても問題ありません。
個人情報を晒したくない方は「クリエイターへのお問い合わせ」ボタン経由でも構いません。で、今回みたいな形で記事にしてよいか、よくないかも教えてくださいね。記事にされたくない方には、結果を、「お問い合わせ」にあったメアド宛てに送信させていただきます!
お代はいただいていませんが、結果に満足していただけましたら、サポートしていただけますと嬉しいです!
お気軽に、ってかテキトーにウェルカムです!
読んでくださりありがとうございました!
*2024/4/17追記
新規募集のお知らせは、【あひろ場∞】の記事のいちばん下にあります!
▼あひろ場
文庫本を買わせていただきます😀!