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価値は能力で測れるのか?(800文字)
「あたしには能力がないんだよ」
と妻が落ち込んでいます。
「Aさんみたいに上手に料理を作ることもできないし、Bさんみたいに素敵な絵を描くこともできないし、Cさんみたいに綺麗に楽器を奏でることもできない……」
Aさん、Bさん、Cさんは、妻と仲良くしてくださっているnoterさんなのでした。
「あたしにはやっぱり価値がないんだね」
『――あのさ』
と伝えました。
『ぬいぐるみにはさ、能力ってあるのかな?』
「ぬいぐるみ?」
『そう。例えばがーちゃんにはさ……』
と僕は、小さくて黄色いあひるを指して言いました。
『能力ってある?』
![](https://assets.st-note.com/img/1690334185841-eMtTZEvDKI.jpg?width=800)
「がーちゃんを、ぬいぐるみだなんて言わないで!」
(妻は、がーちゃんをモノ扱いされたくないのです)
『ごめんごめん。でもそれはこの際置いといて……』
と妻をなだめて話を元に戻します。
『ぬいぐるみはさ、料理を作ったり、絵を描いたり、楽器を奏でたりできるのかな?』
「――できなくったっていいじゃん!」
と妻。
「がーちゃんはすっごく大切じゃん!」
『それだよ』
「どれだよ?」
『がーちゃんはこんなに小さいのにさ、その存在はりーこにとってとてつもなく大きいんだろ?』
「そうだよ」
『価値はさ、能力によって決まるんじゃなくてさ、存在によって決まるんじゃないかな?』
「存在によって?」
『そう。りーこに何ができるかが大事なんじゃなくて、りーこが存在してることそのものが大事なんじゃないかな?』
我ながらいいこと言った。
と、そう思ったのですが、妻は言いました。
「そっか、あたしはぬいぐるみなんだね」
いや、そうじゃなくて……。
「カピバラのぬいぐるみなんだね」
いや、そうじゃなくて……。
![](https://assets.st-note.com/img/1690334598799-ZH9HPCkJDB.jpg?width=800)
「そっかー。じゃ、カピバラらしくのんびり暮らそっと!」
![](https://assets.st-note.com/img/1690334843994-qeKjusotS4.jpg?width=800)
んーんん、ちょっと違うような気がするけど、ま、いいか。
あんこヨーグルトを美味しそうに食べる妻を見て、眉を上げるしかない僕なのでありました。
文庫本を買わせていただきます😀!