炎上Apple iPad PROのPVにみる日本と世界の違い

今、話題になっているApple iPad PROのPV。
楽器やゲーム機や人形などをプレス機が潰すという映像が物議を醸している。

感情の部分で言えば、ものを壊すという行為が受け入れられないということだろう。特にこどものおもちゃや人形的なものが潰されるシーンが、より衝撃的に感じる方が多いのではないだろうか。

このPVの狙い

このPVの狙いは、新型のiPad PROが、PVで潰されたたくさんのものの代わりになるというだろう。おそらく多くの人は理性では理解できるのだと思う。つまり、Appleが伝えたいことは伝わっているのだが、内容ではなく、受け入れ側の気持ちの部分(受け皿)が、内容を受け止める状況にないのだ。

日本と海外の広告の違い

日本と海外の広告を見ると、大きな違いの一つに比較広告というものがある。海外では比較広告は一般的だ。例えばペプシの広告では、あからさまにコカ・コーラより優位だということを伝える。大統領選では、相手候補のネガティブ面を伝える広告もよくあることだ。
日本の場合、こうしたものが受けいられない。誰かを攻撃したり、下げたりして、自分をPRするということは、メンタリティとしてあまり良しとされないのだ。最近でこそ、少しづつ比較広告的なものは増えてきたが、それでも海外と比べると、あからさまではない。
こうした状況なので、今回のPVが日本で物議を醸し出すのは、まあそうだろうなということだ。

Apple 離れは起きるのか?


このPV騒動で、Yahooのニュースコメント欄などでは、Apple凋落の象徴とか、終わりの始まりというコメントも見受けられる。ではApple離れは起きるのかと聞かれれば、推測であるが、あまり影響ないだろう。もし影響があるとすれば、PVそのものよりも、円安による価格部分ではないだろうか。
このPVに反応しているのは、多くの日本人がAppleラバーだからである。私が思う「Appleはこんなのではない」という、好きだからこそのマイナス反応が出ているのではないだろうか。好きだからこその反応なので、また別の商品やクリエイティブなどが出て、それが良ければ「やっぱりAppleはこれだ」という感じになるだろう。
Apple離れが起きるのは、むしろ円安。Appleは一部のコアな人たちのものではなく、一般的な商品になった。日本経済が停滞減速し、円安が加速していけば、消費者のコスト意識はシビアになり、結果として競合製品と比べて価格の高いAppleから徐々に離れていくのではないだろうか。もちろんApple IDをはじめ、すぐには離れられない仕組みにはなっているので、徐々にということだ。

最後に

私は新卒入社で広告会社に入り、数十本のTVCMなど携わってきた経験がある。当時、CMは一般的に注目される部分もあり、影響力も多少なりともあった。しかし、今やCMは人々の話題にのぼることも少ない。今なお広告業界では20-30年前と変わらない形で動いている人たちもいるが、私自身は積極的にCMに関わろうとすることはなくなった。
騒動とはいえ、こうしてPVが話題になること自体、いまの広告業界ではめずらしく、Appleの存在の大きさを感じるものである。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
マーケティングの戦略から戦術までご相談はお気軽に



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?