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飴を噛む。氷も噛む。かむカムcam

基本ワタシは『対物』に関してはせっかちなので、問題を見たらすぐ答えを知りたがり、本を読めばオチに早く辿り着きたくて、ガムは味が無くなればすぐに吐き出し、麦茶を沸かせば熱いうちから飲み始めてしまう。

なので当然のように、飴は周りのゼロコンマ数ミリを溶かした時点で無意識にかみ砕く。

舐めよう舐めようという気持ちはもちろん、溢れんばかりに持っている。しかし、口に放り込み『美味しいな』と思いながらコロコロと転がしているはずなのに、気が付いた時には既に半分に割れている不思議。

歯に何かセンサーでも付いていて、いいポジションに来たら思考を通さずにオートでかみ砕くように調整されているのかもしれない。と最近疑うようになってきた。


このオート噛み砕きセンサーは、実は飴だけでなく、氷にも適応されていて。

ワタシは冷蔵庫の横を通りすぎる度に製氷機で作られた氷をひとつつまむ習性を持っていたりもする。喫茶店では流石にやらないけど、居酒屋では当然のようにグラスに入ってきた氷は全部食べる。

それくらい氷を食べるのが大好きなのだけど、この氷も口に入れて楽しもうと思っているにもかかわらず、口に入れた瞬間噛み砕いてしまっている。もちろん無意識のうちに。


氷を食べるといえば、『氷食症』というものがあるらしい。

とりあえず、氷が食べたいかじりたい。異食症の一種らしいけど、鉄欠乏性貧血の人によく見られる症状でもあるらしい。

ワタシも昔「よく普通に生活してるね?え?自転車こいできたん?ホンマに?入院でもええレベルやでこれ?」と、極度の貧血でお医者さんを驚かせた時は、マグカップに山盛りの氷を入れ、1日中延々とかじっていた。

ご飯とかオヤツとかじゃなく、とにかく氷が食べたい。かじりたい。

ぼりぼりがりがりと、小気味よい音をたて(ワタシ比)あまりにもずっとかじっていたので、家人から「うるさい」と苦情が出たこともあったし、冬にも関わらず冷蔵庫の氷を作り出すスピードが追いつかず、製氷機の扉を開けては『まだできていなーい』と絶望することも多かった。

氷を食べ過ぎて寒くて寒くてしょうがなくて、毛布にくるまりながら暖房器具の前で氷を食べたことも数知れず。

客観的に見ると非常におかしい。でも、その時はそれどころじゃないんだよねえ。これが。

製氷機が空っぽにもかかわらず、あまりにも氷が食べた過ぎて最終手段としてコンビニでロックアイスを購入したこともあるけど、ロックアイスは口に入る大きさに砕くのも一苦労だし、いい大きさになったからと言って口に放り込んでも、固くてなかなかかみ砕けない。力任せにかみ砕こうとして、奥歯を全部持っていかれそうになったことが何度あったことか…。

味がしないくせにアジなことをしてくれるアイツ。
それがロックアイス(←

ロックアイスは製氷機の氷とは似ても似つかないくらい硬いので本気でお気をつけて


貧血の治療が済んでからは、製氷機が追いつかないくらいの勢いで氷を消費することは無くなった。

でも、冷蔵庫の横を通った後、ふと気が付くといつの間にか口の中に現れた氷をかみ砕いている自分はまだ存在している。

氷を渇望しているつもりは無いのに不思議。

ああ、そうか。
これは多分、腕にいつの間にか誰かにつけられたセンサーの働きで、冷蔵庫の横を通ったことを感知したら勝手に製氷機の扉を開けて、氷をひとつ口に放り込んでいるんだろう。


オートメーション化されている「冷蔵庫の横を通ったら氷を口に含み、そしてかみ砕く」という一連の作業は、ワタシが自覚している何十倍、何百倍の頻度で行われているのだろう?

視界の端に、知らないうちに山のように積みあがっている飴の小袋の残骸を確認しながら、そんなことを考えた。

ふと意識を口の中へと向けると、食べた覚えのない飴がいつの間にか口の中で、砕け散っている真っ最中だった。


あれ?ここもオートメーション化してる?

センサーの増加といい、ワタシの機械化は知らないうちにどんどんと進んでいるらしい。



ちなみに、ご飯はそんなに噛まずに飲み込むタイプです(誰得


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