うちのサボ子とケサランパサラン
うちにはサボ子というサボテンがいる。
もちろんサボ子という名前だけど、性別は不明だ。
そんなサボ子は、週1回の水やりと適当なまぶしさがあれば文句をひとつも言うことなく、元気にスクスクと子株を増やし続けている。
あまりにも子株を増やし過ぎて栄養が行き渡らず、小さな「ケサランパサラン」みたいな子株の残念な末路を量産しているサボ子。
「幸せを運んできてはくれなさそうだ…」と、ケサランパサランモドキを見る度に、ちょっとだけ残念な気持ちになることも多い。
ケサランパサラン
写真でしか見たことがないけど、幸せを運ぶケサランパサランは、もっと、そう、毛が長い。
サボ子、もっと長い毛が必要だ(←
そんなサボ子は、元気が無くなってくると窓際に移動させられる。
元気が無いときは、ほとんどの場合水をやり忘れているときなのに、何故か日光に当てられるサボ子。
運ばれているサボ子は、心なしか不満そうだ。
だって、サボ子に必要なのは日光ではなく水。
移動後に「あ、土がカラカラ…」と思い出されるので、無事に水にありつくサボ子。サンサンと日光を浴びながら霧吹きで水をかけられる。その瞬間、ワタシの周りには日曜日の空気がどこからともなく流れてくる。
窓際にいい感じの高さの棚がないので、サボ子はいつも窓のサッシに半分足をかけながら、窓の外を眺めている。
今日もいい天気…
ご機嫌なサボ子。日当たりのいい窓辺にサボテンとか、幸せを切り取ったお手本のような構図。インスタ映え間違いなし。と写真を撮るけど、ワタシのインスタアカウントはROM専なので、サボ子よ、安心してほしい。
しかし、そんな幸せな気分は
「さぼこぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
という叫び声で終わりを告げる…。
日当たりがいい我が家のリビングは、晴れている日はテレビが反射して画面がとてつもなく見づらくなる。となると、ゲームをしている構成員が、
シャッ
と躊躇なく、サボ子に目をやることもなくカーテンを勢いよく引くのだ。
サボ子がいると、あれほど言ったにもかかわらず…
カーテンにはじかれたサボ子は、土をてんてんとまき散らしながらコロコロと転がっていく。BGMはカーテンでサボ子を吹っ飛ばした構成員の叫び声。
そんなサボ子から目を上げると、カーテンをまだ握りしめたままの構成員が、助けを求める顔でこちらを見て固まっている。
固まらずにサボ子を救出するがよい。
しっかり土も拾って鉢に戻すがよい。
‐‐‐
こんなサボ子だけど、まだまだ元気。なかなかタフなヤツだ。
そして、たまに床のすみっこに小さな「ニセケサランパサラン」がコロッと転がっている。
幸せを運ぶケサランパサラン
もし、サボ子の子株がケサランパサランだとしても、あの「カーテンに吹っ飛ばされた際にできたもの」だと思うと、幸せは運んできてくれないような気がする。
ふっとばさずに落ちたニセケサランパサランなら、ひょっとしてひょっとすると幸せを運んできてくれるのかもしれない。
なんてことを考えながら、
今日もニセケサランパサランを掃除機で吸い込む。
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