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イスラエルのイノベーション2019/11/21

週に一度のペースでイスラエルに関する面白そうなニュースをピックアップします。今回は合成はちみつ、大麻応用、アルツハイマー対策の3件を紹介します。

イスラエルの学生が、ミツバチなしで蜂蜜をつくることで、iGEMの金メダル獲得

 世界的にミツバチの数が減少しており、蜂蜜はスーパーでも珍しい商品になる可能性があります。
 テクニオン(イスラエル工科大学)の学生12名からなるチームは、ミツバチに頼らない蜂蜜の開発に取り組んできました。この合成蜂蜜は、実験室での再プログラミング後に蜂蜜を作ることを「学習」する、Bacillus subtilis(枯草菌)という細菌によって生成されます。
 彼らの努力は見事に報われました:チームは最近開催されたボストンで開催されたiGEM (International Genetically Engineered Machine)大会で金メダルを獲得したのです。この大会には、世界中の大学から約300チームが参加しました。
 iGEMは、マサチューセッツ工科大学が学生たちに合成生物学を実験する機会を与えるために2004年創設され、以来、テクニオンの学生は5回優勝しており、今回が6回目の金メダル獲得となります。

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BGU(ベングリオン大学)は、米国大麻企業と提携して、スキンコンディショナー向けの局所CBD(カンナビジオール)製品を開発

 ベングリオン大学の技術移転会社BGN Technoogiesは、コロラドに本拠を置くバイオテクノロジー企業で大麻をベースにした非精神活性製品を開発するANANDA Scientificと提携し、局所利用用のカンナビノイド製品を共同開発し、ライセンス提供します。
#カンナビノイドとは大麻に含まれる薬効成分の総称
 初期の研究は、慢性皮膚疾患である乾癬の治療のために、CBD(カンナビジオール)、追加のカンナビノイド及び他の植物由来物質が皮膚に浸透・通過するような、特許取得済の革新的ナノテクノロジーにフォーカスします。

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アルツハイマー患者を助けることのできる有望な開発10選

 11月はアルツハイマーの啓発月間です。進行性があり不治の脳障害をどのように予防、診断、治療するかという分野でのイスラエルの最新の進歩を見るのにふさわしい時期です。
 アルツハイマー病(AD)は、毎年世界で認知症と診断される990万人の、最も一般的な原因です。この病気は主に高齢者を襲い、85歳以上の人々の30%が罹患しています。
 この病気はアミロイドベータと呼ばれるタンパク質が脳組織内で凝集するときに起こります。これらのタンパク質の塊が神経細胞を殺し、脳機能メカニズムにダメージをあたえることにつながります。
 過去2年間に報告された有望なイスラエルのアプローチを10例示します。

予防
1.潜在的な抗アルツハイマーワクチンが、バーイラン(Bar-Ilan)大学のエイタン・オークン教授(Prof. Eitan Okun)のPaul E. Feder アルツハイマー研究所で開発されています。
2.血液脳関門(BBB : blood-brain barrier)を保護する2つのFDA承認薬の組み合わせで、脳卒中やアルツハイマーなどの神経疾患を予防できる可能性があります。ベングリオン大学、アロン・フリードマン教授(Prof. Alon Friedman)
3.テクニオン(イスラエル工科大学)とバーイラン大学の研究者が、アルツハイマーの発症を抑制することが知られているタンパク質の新しいデリバリーシステムを開発しました。

診断
1. RetiSpecアルツハイマー網膜の非侵襲スキャナー
2. 脳組織の分子変化を記録する新しいMRI技術(ヘブライ大学)
3. AIベースのチャットボットClaraはADの初期兆候の発見に使える
4. エルサレムのヘルツォーク病院のジャウル博士(Dr. Efraim Jaul)はAD患者は床ずれを発症しやすい傾向があることを発見

治療
1. 高圧酸素療法は、AD患者の症状を緩和する可能性がある(テルアビブ大学)
2. ProteKt Therapeuticsは軽度の認知障害等の場合に、長期記憶を強化することのできる薬を開発
3. テルアビブ大学の研究は、タンパク質の凝集を解消できる可能性があることを示す

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