日本を離れる若者
以前、久しぶりに大学の友人と東京で食事をした際に、「正直、今はいつ海外で仕事や子育てができるかしか考えていない」という話がありました。
優秀な若者が、自分の人生を考えた上で、当然のように日本ではなく海外を選ぶのだという感覚に、軽い衝撃を受けた覚えがあります。
全員が同じだと言うつもりもありませんし、海外を選ぶことが間違いだとも思いません。
ですが、ある意味でエリートコースを歩んできた人間の思考の中に、「日本で暮らしたい」という感覚がほとんどないことに、ちょっとした焦りを覚えました。
ましてや、地方で暮らすことなど、想像もできないのではないでしょうか。
それは、「彼ら/彼女らの人生の問題」というよりも、私は「日本の課題」なのだと思います。このままだと、優秀な人材の多くが日本を見捨ててしまうのではないかという懸念を、はじめて肌で感じました。
私自身、たまたま地方で生まれ育って、たまたま東京の大学で学びました。
いま地元に帰ってきているのも、最終的には自分の意志ですが、必ずしも初めから強い希望があったわけではありません。そういう意味では、彼らの気持ちも分からなくはないのです。
自分がいま地元にいるからこそ、そのギャップが強く印象に残ったのだとも思います。
地方→都会→海外で、憧れを感じることを否定はしません。私も似たようなものかもしれません。
でも、その一方通行だと、どんどん地方は、日本は、ジリ貧になっていくような気がします。
都会や海外に出た人材が、学んだ知見をふるさとに還元していく。日本を拠点に、グローバルな仕事だってできる。そういう形こそが目指すべき姿なのだと思います。
海外で学ぶ彼らが、日本のために仕事をする。そういう感覚を持ってもらうには、どんな日本であるべきか。
同じ若者世代だからこそ、同じ目線で、魅力ある日本のあり方を考えたい。ふと思い出しました。
増える海外移住、専門家「人口減を加速」 背景に日本の閉塞感:朝日新聞デジタル
digital.asahi.com/articles/ASR10…