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日本たばこ産業株式会社(JT)株主総会レポ

今日、会計イさんは日本たばこ産業株式会社(JT)の株主総会へ行ってきたのだ。初めて買った日本株の会社ということもあって、すごく緊張しながら出席してきたのだ。会場内は撮影禁止だったけど、できる限りメモを取ってきたから、みんなにも参加した気分ができるようにまとめたのだ。


1.会場へ

赤羽橋駅を出て目に飛び込んでくるのは大きな東京タワーだったのだ。なれない場所に戸惑いつつも、事前に地図で確認した通りに進んでいくと今回のJTの株主総会の会場となるザ・プリンスパークタワー東京が見えてきたのだ。ここは通常結婚式や大きなパーティーで使われる会場であるということもあって、とても落ち着きつつも窓の外には青空と東京タワーと水を使った庭園が広がるという場所だったのだ。
「おはようございます!」と元気に挨拶してくださるスタッフの方々にお辞儀をしながらエスカレーターを下って地下二階に行き、しばらく歩くと受付が見えてきたのだ。検温を済ませ、ここであらかじめ郵送されてきた議決権行使書を手渡すと小さな番号の書かれた受付票をもらったのだ。どうやらこれを首に下げて株主総会に参加するらしいのだ。
そうして実際に総会が行われる会場に入ると、やっぱり高い天井にシャンデリアが何灯も天井から下がっていたのだ。大きな会社の株主総会に来ている、この感覚だけでも参加してよかったと思えてしまうのだ。
前方の席に座り、ふと後ろを振り返ったのだ。出席している株主を見渡した感覚だと会場には300人ほどの株主がいて、男女比は男性が9で女性が1、ほとんどが見た目50代くらいで会計イさんのような20代の株主はほぼ全くと言っていいほどいなかったのだ。
総会が始まる直前にはJTが制作したCMが横のモニターに映し出されたのだ。少し長めだけど、よく作りこまれていて思わず見入ってしまったのだ。

2.事業報告

午前10時になると続々と寺畠代表取締役社長をはじめとした取締役会の面々、並びに執行役員、関連会社役員、常勤・社外監査役の面々が壇上に姿を現したのだ。最初に議長となる寺畠代表取締役社長の挨拶があり、今日の流れについて(目次の通り)説明がなされ、さっそく事業報告のほうへと移ったのだ。

① 財務報告
2021年度は調整後営業利益が22.9%増え、過去最高の営業利益を記録することができたのだ。医薬事業において減益となってしまったものの、加工食品事業での増益、海外たばこ事業でのシェア増加などにより全体として営業利益は増加したのだ。
売上収益は2兆3,248億円(前年度比11.1%増)、調整後営業利益は6,104億円(前年度比25.4%増)、当期親会社帰属純利益は3,385億円(前年度比9.1%増)となったのだ。一方でフリー・キャッシュ・フローについては前年度に行った本社ビルの住友不動産への売却に関連する剥落の影響で4,820億円(前年比△219億円)となったことが報告されたのだ。

② 各事業の報告
イ.医薬事業・加工食品事業
医薬事業についてはJTの次世代戦略として特化する方針を行っており、主に自己免疫・アレルギー疾患用薬品やⅡ型糖尿病(後天的な糖尿病)用の経口薬を中心に開発・販売を行っているのだ。ただ今期については研究開発費の増大、子会社の鳥居薬品による販管費増加に伴って減収減益となったのだ。
加工食品事業については、サンジェルマンに挙げられるベーカリー部門のほか、冷凍食品部門を展開しているのだ。その中で昨今の感染症蔓延を踏まえて冷凍食品を中心とした販売戦略を行っているのだ。今後はよりコストの低く、より高い利益を獲得できるような質の高いトップラインの獲得を目指していく方針と話していたのだ。

ロ.たばこ事業(国内・海外含む)
たばこ事業については国内たばこ事業が数年ぶりに増収増益となったのだ。これは従来のメビウスやセブンスターといった紙巻きたばこに加え、近年発売されるようになったRRP(Reduced-Risk Products:加熱式たばこ等、喫煙リスクを低減させる可能性のある製品)製品となるPloom Xを世界に先駆けて日本国内にて上市したことが大きいものとみられているのだ。
JTでは今後Ploom XなどのHTS(Heated Tobacco Stick:高温加熱型の加熱式たばこ)製品が継続的な成長・ポテンシャルをもたらすものと考えているのだ。これらHTS製品については現在カテゴリシェアが10%程度であるが、今後は2027年度末までに15~20%に引き上げる見通しでいるのだ。さらにHTS含めたRRP製品全体に関しての黒字化を達成するために、広告宣伝等、これらの部門に今後3,000億円程度の経営資源を投じる見通しを示したのだ。
また、海外たばこ事業についてもウィンストン、メビウス、キャメル、LDなどの国際ブランドの牽引によって仏、伊、露、西、台、土、英などの主要市場において軒並みシェアの拡大がなされたのだ。その影響により円ベースで前年比18.5%増、ドルベースでも為替一定の調整後売上収益前年比10.6%増、調整後営業利益で前年比29.6%増を達成することとなったのだ。

③ 中長期的な経営戦略について
イ.中長期な経営戦略
しばらくはたばこ事業を利益成長の中核的な存在として位置づける方針らしいのだ。たばこ事業については年平均としてmid to high single digit(一桁台半ばから後半のパーセンテージ、5~9%程度)の成長を目指していく方針なのだ。
この上で株主還元方針としては4Sモデル(お客様を中心として、株主、従業員、社会の4者に対する責任を高い次元でバランスよく果たし、4者の満足度を高めていく)に基づいて事業投資による利益成長と株主還元のバランスを重視する方針から配当性向を75%程度とすることとし、自己株式の取得は当該年度における財務状況及び中期的な資金需要等を踏まえて実施の是非を検討することとするとしたのだ。
また、サスティナビリティへの取り組みとしてESGを重視することとしていたのだ。環境面では、SDGsをはじめとした取り組みを行うことで環境負荷の軽減を実現することとしていたのだ。さらに企業統治の面では役員報酬KPI(重要業績評価指標)の見直しとして短期的・中長期的な指標として考慮する項目を増やし、さらに株主に対する情報開示を増やすこととしたのだ。社会面では、女性の管理部門登用比率を2030年度までに25%程度までに引き上げることを目標として掲げたのだ。

ロ.感染症蔓延に伴う経済活動の低迷に関して
2020年度から感染症の蔓延に伴い消費者への行動に大きく影響を与えていることは確かなのだ。今後さらなる感染症の拡大による消費者行動の変化及び新たな変異株の出現による経済停滞リスクを抱えている以上、引き続き経営環境が不透明な状態が続くものとみているのだ。
JTとしてはたばこ中心で引き続き利益を計上し、さらに今後成長がみられるRRP製品に対する投資を強化して安定的な利益確保に努めていく方針と話していたのだ。

ハ.ウクライナ・ロシア間の戦争に伴う事業への影響について
JTはウクライナおよびロシア両国内にて工場を保有しているのだ。両国にはそれぞれ、ウクライナには1工場と900人の従業員、ロシアには4工場と4,000人の従業員を抱えている状態であるのだ。
主要な市場となるロシアをはじめとするCIS+地域については現在海外たばこ事業のおよそ23%を占める市場であり、ロシア政府などによる日本への名指し批判・非友好国指定に伴う今後の見通しは現在時点では精査中であるらしいのだ。もし大きな影響があるということが判明するならば、速やかに株主総会後に追加的に報告を行う次第とのことだったのだ。

3.議案についての説明

今回は6つについて株主総会決議を行うこととされたのだ。
① 剰余金処分の件(普通決議)
中長期にわたる持続的な利益成長につながる事業投資並びに株主への還元との調整を考慮した結果、総額の配当性向74.8%となる1株75円(総額133,089,352,425円)の配当を行うこととしたのだ。

② 定款一部変更の件①(会社法309条2項特別決議:出席株主の議決権数の3分の2以上の賛成必要)
新任機会の増加による企業統治体制の一層の強化を目指し、取締役の任期を選任後2年から1年へと短縮するものとしたのだ。

③ 定款一部変更の件②(会社法309条2項特別決議)
法改正によって株主総会を定款規定によって公衆無線通信上のみに限ることができるようになったことを受け、株主総会を場所の定めがない状態でも開催できるようにするよう変更するのだ。

④ 定款一部変更の件③(会社法309条2項特別決議)
会社法第325条の2の規定によって定款に株主総会参考書類や議決権行使書面などの株主の権利行使にかかる資料等を電子提供する旨を定款に定めれば、書面を郵送しなくても電子提供だけで要件を充足することが可能になったため、これに伴う電子提供措置等に関する条項並びに経過措置に関する定款規定を改正・新設することとなったのだ。

⑤ 取締役10名選任の件(普通決議)
今回の株主総会をもって現在の取締役9人全員が任期満了となるため、8人については再任、そして新たに2人を迎え入れた10名の体制となることとしたのだ。

⑥ 社外取締役報酬額改定の件(普通決議)
第五号議案が可決されると社外取締役は3人から4人に増えることとなるため、これに伴う措置となるのだ。取締役全体の報酬額(11億円以内)は変更せず、社外取締役の報酬額のみを増額(8,000万円から1億円へ)するものとしたのだ。

4.質疑応答

質疑応答ではあらかじめ配られた色紙を掲げて質問をする意思を表すという方法がとられたのだ。なお、質問を行った際色紙は回収されて再び同じ人物が質問することができないように措置が取られていたのだ。執筆の関係上、回答者の発言については体言止め調になっちゃうのだ。ご了承くださいなのだ。

⓪ 事前にインターネット上にて参加の株主からいただいた質問について(どちらも回答者は寺畠代表取締役会長(記憶が曖昧))
イ.取締役の選定及び非業務取締役の選定の基準について
JTでは、ジェンダー、人種等の多様性、事業の経験などに対するスキル等に基づいて取締役の選任を行っている。この選任に関しては出自等に関係なく、4Sモデルに共感することができる人を適宜選定している次第である。
また、中長期的な監督機能、特に副社長の選任に関しては代表取締役等の補佐的な役割を行うことを期待できる人物を選任している次第である。

ロ.配当性向の方針と来年度での株主優待制度の廃止について
先ほど説明した通り、資源配分方針と株主還元方針のバランスより、国外のたばこ産業会社の実態も参考にして配当性向を75%としている。また、自社株の購入についても先述の通り、中期的な資金を考慮して買い入れを行う方針でいるが、資金面での問題が発生した場合は中止することがある。以上を踏まえて、期末配当は1株当たり75円、中間配当含めると1株140円となった。昨今の情勢を踏まえ、減配となってしまったことについては重く受け止めている。
現在は配当とともに株主優待として商品を送っている状態ではあるものの、今後はより株主に対する公平性の確保、配当による還元を重視することを念頭に置く方針より、株主優待を廃止する流れとなったことは承知おきたい。

さて、ここから会場にいる株主さんに対する質疑応答に移ったのだ。実際は株主の受付番号を言って質問をしていたけど、特定を防ぐために一部を除いて番号・発言者は伏せるのだ(このうちの1問は会計イさんが質問したのだ)。

① 日本国内などでは日々重いたばこ税が課されているところではあるが、この税金に対するJTの対策はどのようなものをしているのか?
嶋吉JTインターナショナル副CEO(以下、嶋吉JTi副CEO):JTとしては、たばこ税は喫煙を行う消費者のみならず、小売店や葉タバコ農家といった幅広い方々に考慮して慎重に決定されるものであるべきだと考えている。さらに国外であると違法取引(いわゆる闇たばこ)の引き金になりかねないため、特に慎重に議論されるべきという立場をとっている。
たばこ税については日本政府をはじめとして国家に関する事項になってくるが、JTはこうした消費者や小売店、葉タバコ農家、さらに違法取引のことなどを勘案して当局と対応、対話を続ける姿勢をとっている。

② 東洋経済の報道でJTは広告宣伝費にかなり予算を割いている企業ということを目にした。現在JTなどのたばこ産業では広く広告が規制される傾向にあるが、そうした広告宣伝に対してどのような方針をとっているのか?
見浪副社長取締役(記憶が定かでない):広告宣伝の予算の配分の内訳については競合他社との関係上残念ながら企業秘密に該当する項目のため回答は控えさせていただく。しかし、JTがこうした様々な情報を発信するなどの多様な広告を行うのは、消費者に対する認知のほかにもステークホルダー(株主等)に対する理解やステークホルダーの意見を反映させるためである。
また、説明を行った通りRRPへの投資継続・HTSの市場成長を背景としてPloom Xを中心としたターゲティング広告を広告会社とともに現在そしてこれから行う。もちろんこれらの広告は成年者にしか表示されないような形で行う次第である。

③ 財務大臣の代理として今回出席した者です。JTの現在のウクライナ・ロシア間の戦争に対するスタンスについてのコメントは差し控えさせていただくものの、こうした国際関係が現在非常に流動的な時期にあると思います。こうした部分について日本政府としてはJTに適切な対応・判断を要請します。
山下取締役:日本政府の要請はJTとしても受け止め、東京のJT本社、およびJTiそれぞれに危機管理室を設置している。この危機管理室を通じて流動的な国際情勢などを逐次報告・判断を行っている。
JTグループ全体のベースとなる4Sモデルを確保するため、そうした危機管理を徹底していく次第だ。

④ 一か月ほど前のYahoo!ニュースの報道でウクライナの工場にて日本向けのCamelの生産が停止されたとの報道を目にした。今回のウクライナ危機に限らず今後このような状況は発生しうるため、JTiとしてのリスク分散に対する考えをぜひ聞きたい。
嶋吉JTi副CEO:日本国内向けのCamelの生産停止について国内に心配をおかけしていることは申し訳なく思っている。現在日本国内のみならず葉タバコ生産やこれらを加工したり、フレーバーやフィルターを生産するなどの拠点および最終的にシガレットの形態にする拠点を世界中で保有したりするなどリスク分散を図っている。これは東日本大震災が発生した際にとられた改善であり、さらに完成品に関する関税も勘案して総合的なリスク分散を行っている。
ウクライナ国内でのCamelの生産停止については代替の工場についてすでに検討し、その選定はすでに終了している状態にある。今後はCamelの材料や梱包材などそうしたものを代替の工場に送るつもりだ。しかしこうした代替設備を複数持つのは投資上二重三重に同じものに対してコストをかけることになるので、どうしても緊急的にならざるを得ないことは承知おきたい。

⑤ 株主総会決議事項第五号議案について、現在感染症や国際情勢など見通しがかなり不安定な状況が続いているものの、なぜこのような情勢下で新たに社外取締役を迎え入れる選択をしたのかその理由をお聞かせ願いたい。
廣渡副社長取締役:現時点で取締役は9人(内社外3人)であるが、これを10人(内社外4人)に増やすことによってなお一層の監督機能上昇を期待している。新しく入る社外取締役(庄司哲也新社外取締役)についてはサッポロホールディングス、日立造船、三菱倉庫、エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションの4社の社外取締役・相談役を兼任していて、JTがこれから力を入れるEC事業、デジタライゼーションに関する経験を有している。JTとしてはこれから投資・強化をするこのような部分についての監督機能を庄司新社外取締役に期待している。
もちろん、先に説明を行った通り、社外取締役の選任についてはJTグループの4Sモデルに共感し、人種・経歴についても多様性を尊重して監督業務を遂行することができる人を考慮している。

⑥ 現在ロシア政府による接収等、CIS地域における事業展開が難しくなっているが、ロシア・ルーブルの為替相場不安定の影響と日本人従業員の安全について説明願いたい。
廣渡副社長取締役:日本人従業員については、現在JTiの日本人従業員が2人現地にいる状況である。この2人の従業員についてはJTグループとして安全を確保するなどのサポートを行っている。
見浪副社長取締役:ロシア・ルーブル下落については今期当初は100円あたり70.2ロシア・ルーブルの想定為替レートで見積もっていたが、当初の想定を超える為替相場の乱高下により現在ピンポイントでどの程度影響が出るかについてははっきりとは申し上げられない状況になっている。ただ、想定為替相場より10%レートが上下すると営業利益としては150億円程度の影響が見込まれることになるため、仮に現在の100円=100ロシア・ルーブルが続くとなれば30%程度の下落となるため、450億円程度の減益になることは目安として見てもらいたい。

5.採決&解散

定足数に足りているかの確認は取れたことが発表され、それぞれの原案について採決が行われたのだ。原案に賛成を行うものについては拍手をするという方法で採決を行ったが、どのような方法で各株主の議決権数を把握しているのかまではわからなかったのだ(おそらく質疑の時に出ていた日本政府代理の人(総議決権数の37.58%を保有、特別決議について拒否権を持つ)にスタッフがついていて、その人が反対しなければOKとかそういった感じ?)。

採決が終わるとすぐに解散という流れになったのだ。帰りは行きの時とは違い、芝公園を見てから帰ろうと思ったのだ。途中の回収ボックスにて受付表を返したのだ。その後少し歩き、芝公園に出るとすでにあたたかい気温にさらされて公園内の桜がだいぶ咲いているようだったのだ。果たして、次に総会に出席するときは安心した情勢になっているのだろうか、この桜のように、あたたかな情勢が社会にやってくるのだろうか。そう複雑な心境になりながらも家路についたのだ。


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