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今日の科学 6月10日

6月10日は、時の記念日です。
日本最古の歴史書とされる日本書紀には、671年4月25日に天智天皇が漏刻(水時計)をつくり、その時刻を鐘鼓によって知らせたという記述があります。この日は太陽暦に換算すると6月10日になります。この記述をもとにして、1920年に時の記念日が制定されました。

時間は現代社会にはなくてはならないものです。人と会う約束をして、その場所に行っても、時間がずれてしまえば会うことはできません。また、国を越えた国際的な活動をおこなうためにも、世界で共通の時間の単位を持つことは重要です。

現在、世界共通の単位系として国際単位系(SI単位系)が使われてます。時間の単位である秒(s)は、SI単位系で定められている7つの基本単位の1つです。SI単位系では基本単位を組み合わせて、様々な物理量を表現します。

SI単位系では、1956年まで1秒は地球の自転をもとに定義していました。1日の長さは、もともと太陽が東から昇り、南を通り、西に沈み、また東から出てくる日周運動をもとにして決められています。この日周運動をつくり出しているのは、地球の自転です。

太陽の日周運動に基づく時間を太陽時といい、太陽が真南に来る南中をしてから、次の南中を迎えるまでの時間を視太陽日といいます。視太陽日の長さは季節によって微妙に変わるので、季節によって変化しない平均太陽日が考えられました。

1秒は、この平均太陽日の86400(24×60×60)分の1の長さと定義していたのです。1967年までは基準を公転周期に変え、「地球が太陽の周りを1周する長さの31556925分の1」としましたが、地球の自転や公転の周期は一定ではなく、1秒の長さが少し長くなったり、短くなったりする要素がつきまとっていました。

そこで、より精密な1秒の長さを定義するために使われたのが、セシウム133原子だったのです。セシウム133原子は、光などを当てたときに一定の周波数の電磁波を出します。その電磁波が9192631770回振動する長さを新しい1秒と定義しました。

このようなセシウムの性質をもとにしてつくられた時計をセシウム原子時計といいます。この時計は3000万年年に1秒しか誤差の出ない高い精度を誇っていて、GPS衛星などに搭載されています。

時間は不思議なもので、アインシュタインの相対性理論では、時間と空間は一体となっていて、個別に分けて考えるできないものとなっています。でも、私たちは時間と空間は別のものと感じています。空間は自由に移動できますが、時間はただ過ぎて行くだけで、戻ることができません。

その不思議な時間について少し考えてみるのもいいのではないでしょうか。

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