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今日の科学 6月2日

2003年6月2日は、ヨーロッパの火星探査機「マーズ・エクスプレス」が打ち上げられた日です。マーズ・エクスプレスは、ヨーロッパ宇宙機関(ESA)による初めての火星探査機で、同年12月に火星に到着し、現在も運用を続けています。

火星探査機マーズ・エクスプレスのイメージ(画像提供:ESA)

マーズ・エクスプレスは、ステレオカメラ、可視光赤外分光器、地下探査レーダーなど、8つの観測機器を搭載し、火星の周回軌道を飛行する周回機です。火星の表面を高解像度で撮影、火星表面や大気の組成調査、深さ数kmまでの地下構造の調査などを目的にしています。

マーズ・エクスプレスは高性能ステレオカメラで火星表面の詳しい画像をたくさん撮影しています。また、赤外線分光観測によって火星の南極に広がる極冠に水の氷がたくさん含まれていることを確認しました。

火星の北極と南極に氷で覆われた極冠があることは知られていて、その成分の大部分は二酸化炭素の氷(ドライアイス)だと思われていました。しかし、マーズ・エクスプレスの発見によって、南極の極冠にはたくさんの水の氷があることがわかってきたのです。

マーズ・エクスプレスの当初予定されていた運用期間は2年ほど。搭載していた着陸機「ビーグル2」の着陸には失敗したものの、打ち上げから20年以上経過した今でも観測を続けています。

マーズ・エクスプレスが撮影した巨大な断層タンタロス・フォッサの一部
(画像提供:ESA/DLR/FU Berlin)


火星といえば、天体写真家で長年、天文観測の魅力を伝えてこられた藤井旭さんとの共著となった『火星の科学』もおすすめです。よかったら、読んでみてくださいね。


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