見出し画像

「だいち4号」機体公開

2024年3月11日、三菱電機が先進レーダ衛星「だいち4号」の機体を公開した。「だいち4号」とはいったいどんな衛星なのか、簡単に紹介する。

ジャーン、これが、その機体だ。

これだけだと、ちょっと大きさがよくわからない。人が一緒に並ぶとこんな感じ。重さ約3トンもある大きな人工衛星だ。

公開時はH3ロケットに納まるように太陽光パネルやフェイズドアレイレーダーが折りたたまれている。ちなみに、白い部分がフェーズドアレイレーダーで、黒い部分が太陽光パネルとなる。打ち上げ後はこれらのものが展開され、形態が変わる。

模型で見ると、わかりやすいが、向かって右側の大きなものが公開時の状態で、左側の小さなものが、宇宙で観測態勢になったときの「だいち4号」だ。この2つの模型を比べてみると、ちょっとおかしいなと感じることはないだろうか。

実は、「だいち4号」はロケットに搭載されて、打ち上げられるときの上下の向きと、観測時の上下の向きが変わる。打ち上げられるときは、逆立ちしているように、上下逆さまになっているのだ。打ち上げられ、所定の軌道に乗ると、フェーズドアレイレーダーのある方を地球側に向けて太陽光パネルを展開する。これで電力を得るようになると、3段階に分けてフェーズドアレイレーダーが展開される。

この模型で、「だいち4号」の下の方に太陽光パネルと直交するように伸びている金色のパネルがフェーズドアレイレーダー。アンテナとなっている白い部分は下を向いているので、ちょっとわかりにくいかもしれないけれど。

フェーズドアレイレーダーというのは、簡単にいうと、たくさんのアンテナを並べたレーダー。このアンテナから、地球に向けて電波を発射し、地球から跳ね返ってくる電波を受信することで、地表の様子を観測する。この手法は合成開口レーダー(SAR)という。可視光で観測する可視光カメラでの観測とは違い、太陽光が必要ないので、夜間でも観測できるし、雨や雲も通り抜けるので、天気が悪くても観測できる。

「だいち4号」の主な仕事は主に4つ。
1.高精度な地殻・地盤活動の監視
2.迅速な災害把握
3.海洋状況の把握
4.地球規模の課題への対応

1と2はつながっている。日本は世界も有数の火山国であり、地震大国だ。地殻の変化を宇宙から常に監視し、災害が起こった場合には、その状況を観測し、状況把握に貢献する。実際、1月に起きた能登半島地震でも「だいち2号」の観測データが活用された。

「だいち4号」にはフェーズドアレイレーダーだけでなく、船舶の種類や位置など情報を送受信する船舶自動識別装置(AIS)も搭載されている。3はAISを使ってそれぞれの船の位置を地上に伝える。さらにSAR観測と組み合わせることで、海上交通の安全にも寄与する。

4はちょっとあいまいな表現だが、地球全体をSARで頻繁に観測することで、森林の変化、農業利用の様子なども把握できる。宇宙からの観測で、様々な課題に貢献していこうということだ。

「だいち4号」の打ち上げ時期などはまだ決まっていないが、H3ロケット3号機で打ち上げられるとみられている。無事に打ち上げられることを願っている。



<皆様へ>
いつも、僕のnoteの記事を読んでいただき、ありがとうございます。今回は、三菱電機の記者公開に参加し、取材することで記事を書けました。今後も、いろいろな現場に行って取材活動をしたいと考えています。取材経費など、支援してもいいなと頭の片隅を少しでもかすめたら、サポートなど考えていただけると幸いです。どうぞよろしくお願いします。

サポート頂いたお金は、取材経費(交通費、宿泊費、書籍代など)として使用します。経費が増えれば、独自の取材がしやすくなります。どうぞよろしくお願いいたします。