今日の科学 8月10日 生理学者クリスティアーン・エイクマンが生まれた日
1858年8月10日は、オランダの生理学者クリスティアーン・エイクマンが生まれた日。エイクマンは当時、オランダ領だったインドで脚気の研究をしており、人間の脚気と同じような症状となったニワトリの餌を精米から玄米にすると治ることを発見。ビタミンB1を発見するための先鞭をつけました。
ビタミンとは、人体の正常に保つために必要な有機化合物です。体内でほぼつくることができないため、食べものから取る必要があります。18世紀には壊血病の予防と治療に効果があることが知られていましたが、詳しい成分までは調べられませんでした。
エイクマンの発見は1905年のことで、1910年には日本の鈴木梅太郎が米ぬかの中に脚気を予防する新規成分を発見し「オニザリン」と名づけました。しかし、農学者である鈴木の発見は、日本国内でもなかなか認められませんでした。そのため、1911年に同様の発見をしたカシミール・フンクが命名した「ビタミン」の方が世の中に定着してしまいました。鈴木とフンクが発見した成分は、後にビタミンB1となります。
1912年、イギリスの生化学者フレデリック・ホプキンズは、ミルクの中にネズミの成長に必要な未知の栄養素があると発表した。ホプキンズは、具体的にビタミンを発見したわけではありませんが、栄養素の概念でビタミンを初めて説明したことで、1929年に「成長促進ビタミンの発見」でノーベル生理学・医学賞を受賞しました。このとき、エイクマンも「抗神経炎ビタミンの発見」の功績でエイクマンも同時受賞しました。エイクマンもビタミンB1そのものは発見していませんが、脚気の予防と治療に効果のある成分の存在を最初に指摘したことが評価された形になります。
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