担当というガチャ

とある新人漫画家です。

漫画という作品を何かの媒体に掲載するとき、必ず担当編集(以下:担当さん)の力が必要不可欠となります。

基本的に、漫画家は担当さんを選べません。
画風を見て「この人の担当になりたい」と思った編集が拾ってくれるのが基本スタイルです。

今回は新人漫画家目線の「担当ガチャ」をお話します。
あくまでも個人的に感じた事、感想です。
一つの意見としてこんなのもありますよということで。


編集者にも何年も原稿に関わってるベテランから今年スタートした若手編集者、今まで何作もの有名作品の立ち上げに関わった凄腕編集者などいろんな事を経験された方々がいます。
誰に拾ってもらえるかは「運」です。
もちろん漫画を描く技術や能力によって「運」は上がるとは思いますが、漫画家の希望制ではないので基本的に向こうが差し伸べてくれた手を取るしか方法がありません。

しかし担当さん自身にも能力やセンスがなければ、何もかも進みません。

私は一番最初についてくれた担当さんが読切ネームの冒頭2Pにずっと突っかかり半年間永遠と2Pを修正していたことがありますが(その時は私が毎回出版社に出向いて打ち合わせをしていた)別の出版社の担当さんに「それは編集者としてヤバイですよ」と言われて担当さんにもやばいとかあるんだと知りました。
自分の技術面も低かったという事もありますが、担当さん側に問題がある事も多いです。

新人漫画家やデビュー前の人にとって担当さんの存在は大変ありがたく、盲目になりがちな存在だと思います。
基本的に全信頼を置いてるわけです。
担当さんがいるということが漫画家としての大前提、自分の作品を商業で世に出せる確率がぐんと上がります。
自分が成功するには担当さんが必要。でも良い担当さんに出会えるかは「運」。

私もデビューする前にいろんな編集者さんたちと出会い、お話をして、考えを変えた部分があります。
そうして行きついたのが「担当ガチャ」。
「運」がなくても「ガチャ」だからしょうがない。

もう少し硬く言うと「担当さん」はその会社に勤めてる「社員」、サラリーマン、OLです。
漫画家は「漫画」という商品を「ビジネス」として取引先の「社員」と交渉しているわけです。
そう考えると「あの取引先の社員とは合わなかった」と自分の運のなさも「あちゃー」ぐらいで諦められるし、じゃあ次はあっちの取引先にしてみようと次への挑戦もしやすくなりました。
ガチャまわしたけどノーマルしかでなかったから時間空けてまた回そう、でいいわけです。

昨今、世間の働く事情が変わり、そのガチャ状態も少しだけ変わって来ています。
リモートワークが主流に加わったおかげで漫画の持ち込みもリモートで見てくれる出版社が増え、ツイッターを通じて直接漫画家側が望む編集者と連絡を取れる機会が増えました。
あの有名作品を立ちあげた編集者さんに見てもらいたい!この編集者さんからアドバイスをもらいたい!という希望が叶います。

もしそれで自分の思ういい結果が得られなくても、相手の人としてのなりを自分で確かめられるので損は無いと思います。あと別のところで思わぬパイプが広がる可能性も。
少なくとも「運任せの担当ガチャ」の結果より自分で選んだ結果の方が納得がいくし、頑張らなきゃって思うことができるような気がします。

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