とりあえずデビューしたい!だけなら

とある新人漫画家です。


漫画家になるにあたって、一先ずデビューしたいと思う人はかなりたくさんいると思います。
デビューもしていないけど担当さんがついていて、ネームを何度も修正食らってる人は尚更。
私も「とりあえずデビューしたい」と考えていたので、実際その考えでどうやってデビューしたのかを書いていきます。

※あくまでも個人的な意見や偏見です。一つの考え方として捉えてください。


私には明確に目指している雑誌や出版社はなかったので、とりあえず手あたり次第いろんな賞に送りました。
デビューを目的にはしていましたが、何がチャンスになるかわからないのでいろんな出版社と関わりを持つという意味でも、応募自体は無駄にはならないと考えたからです。
同時に前回書いた「担当ガチャ」もできるわけで、漫画家側ができる数少ない取捨選択の幅も広がるのではないかと思います。

私が特に狙ったのは「倍率が少なそうな賞」です。
ネットにはネットにしかない賞がたくさんあります。
過去の受賞作品の数や作品傾向、その賞自体の開催回数、主催が大手ではないかを見て独断で判断しました。
昔からある大手雑誌の月例賞はこぞって全員が応募するので倍率はいつも高く、当たれば大きいですがとりあえずデビューしたい意識の人間にとっては非常に高い壁だと思います。

近年、漫画の主な媒体はデジタルです。
昔からコミックという紙で漫画を読んでいた世代にとってはまだ馴染めない方も多くいると思います。
漫画家も「コミック化」を夢見る人がほとんどじゃないのでしょうか。
しかし今はデジタルの世の中、紙の現物になるのは本当に電子売り上げの高い数冊のみです。
低い確率のものを一生狙っていくか、世の中の動きに合わせてデジタルに前向きになっていくか。
私は紙で漫画を読んでいた世代ですが、自分が漫画家として生きていける可能性が少しでも高い後者を選びました。
一途なプライドも大事ですが、一先ず横に置いて自分が進めそうな道を探すことも必要だと思います。

デビューする方法として「電子書籍配信サイトの賞に応募する」事が一番早かった気がしました。
大手の出版社より「画力に寛大」なところが多いからというのが一番の理由なのではないかと思います。
スマホは上下左右にスワイプするのが一連の動作なので、ささっとライトに読む層が多く、文字や絵は視覚的にしか捉えません。多くの人が小さなスマホの画面で漫画を読む様になり、細かく描きこむと逆にごちゃっとして読みにくくなります。
よく大手古参出版社の編集者さんたちは褒め言葉に「描き込み具合がいい」とか言うのを聞きますが、果たしてそれがデジタルの画面で見た時に生きるのかという疑問があります。
逆にパッと目を引いて分かりやすい絵を描く技術などそういったスマホで見る事をメインに考えた構成を考えて描く技術は必要となりますが、今まで言われ続けていた画力を上げろという言葉の意味は、電子書籍だと少し変わって来るのではと思っています。


電子書籍で今後必要とされている「webtoon、縦読み漫画の賞に応募する」のもデビューへ近い一手です。
これもかなり偏見ですが、横読みの漫画の賞よりは今のところ倍率が低いと思います。実際どこかの会社が先日行った漫画家へのアンケートで「自分はどのような漫画を描いているか」の項目に「縦スクロール」と答えた方は非常に少なかったです。
日本人が縦読みになれていないからというのが主ですが、ワールドワイドに見ると縦読みの方が主流になっています。
必ず近い将来必要となって来るものなので、今から先手を打って縦読みに切り替えて着手しても損はないのではないかと思います。
私も今後メインの活動の視野にいれている分野になります。


他にもたまに開催されているネーム賞、テーマが決められたコンテスト賞、1Pから送れる賞など様々な賞があります。
とりあえずデビューしたいなら送れるものには全部送った方がいいと思います。
もし他社で担当さんがいたとしても、他の会社の賞に応募してはいけないというルールは無いです。
自分の作品傾向が分からないのは漫画を描いているほぼ全員が感じている事なので、送ってみて何か掴めそうならそこで頑張ってみてもいいし、他のところにまた応募してもいいと思います。

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